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薬局×本屋「ページ薬局」に健康や医療の本を置かない2つの理由

「ページ薬局」の外観だけで本屋との併設だと気づいていただける方はそう多くはありません。

店舗外観写真①

ロゴと店舗の名称で「本と何か関係があるのかな?」との気付きはあっても、何も知らずに目の前を通っただけではさすがにわからないでしょう。

そのため、本屋の機能があると認知してもらうのにポスティングをしたりビラ配りをしたりとオープン当初は広報活動にも力を入れました。


少しずつ地域の方々に知っていただけるようになり、興味を持ってもらえた中で多かった質問が「本の品揃え」について。

「どんな本があるのか?」とジャンルを聞かれた方から、チラッと覗いて「医療の本ばかりかと思っていた」と感想を述べられた方まで様々です。

健康や医療の本と相性が良さそう?

薬局であるため、医療情報の書籍を取り扱うとマッチしそうです。

先ほど述べた地域の方以外にも「ページ薬局で健康関連の本は置いてあるのか?」といった質問や「薬についての本なんかあったら良さそう」という声は多数いただきました。

上の記事で前にも紹介しましたが大きく分けると

・児童文学、絵本

・文芸書

・エッセイ

・自己啓発、ビジネス

・人文書(宗教、歴史、哲学など)

・実用書(料理、子育て、旅行、デザイン、芸能や音楽、脳トレやパズルなど)

というのがページ薬局で取り扱っているジャンルです。

お分かりいただけると思いますが健康や医療の本はほとんど置いてありません。

相性が良さそうなのになぜこれらの本を揃えないのか、そこには2つの理由があります。

その①「偶然の出会い」を大事にしたいから

ページ薬局のコンセプトは、「普段本屋に行かない人にも薬局に本を置くことで偶然の出会いを提供する」

いつもは本屋さんに行かないような人が、患者さんとして薬局を訪れた際にたまたまそこに置いてあった本が気になって手に取る、という光景を理想としています。


薬局で健康や医療に関する本を置くのは、どうもこの「偶然」の要素が薄まってしまいそうだと感じたのです。


それに在庫数は1000冊程度と少なくはありますが、小説やビジネス書、絵本や実用書を並べてなるべく本屋さんらしくしたい、との思いもあって、売れそうだけれどもあえて健康や医療の本は外しました。

置かない理由はもう1つありますが、気持ちとしてはほとんどこちらの理由が占めています。

その②保健所からの指摘があったから

調剤薬局で本や雑貨を少し販売しているところはあっても、壁一面の本棚を設置しているのはおそらくページ薬局ぐらいだと思います。

少なくとも市では前例がなく、開局前の事前相談で窓口の担当者さんも警戒されているように感じました。


部署での協議の結果、薬局なのか本屋なのか誤認を招かないようにしてもらいたいという注意喚起と、健康や医療の本は避けてほしいという要望を仰られました。

例えば「○○でガンが治る!」とか「○○は腰痛に効く!」といった本を薬局で置いたとして、それらの本を手に取ってしまったが故に受診をしない、あるいは治療を中断してしまう、といった医療行為の妨げになる恐れも考えられるから、と説明を受けました。


確証のない情報でも、「薬局に置いてある本に書いてあったから」と患者さんが信じ込んでしまうかもしれません。

なので通常の本屋さんでこれらの本を扱うのと薬局に置くのとでは一線を引かなくてはならない、というのも十分理解できました。


以上、

①「偶然の出会い」を大事にしたいから

②保健所からの指摘があったから

という2つの理由があって、健康や医療の本は取り寄せの依頼がある場合には仕入れて販売しますが、積極的には陳列していません。


元々置きたい意思があったわけでもないので品揃えについてはそれ以上保健所の担当者さんと深く話すこともなかったのですが、他に障壁があったとすれば店舗の名称でしょうか。

店舗名については何度もやり取りを繰り返したのですが、それはまた機会があったら綴りたいと思います(笑)。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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