本屋開業までの道のり③~理想の書店像~

前回は取次さんとの打ち合わせについて、序盤の部分をまとめてみました。

今回は第2回打ち合わせの終わりに、次回各々の理想とする書店、書店員像を発表することと決まったため、そちらの宿題を考えた過程を紹介していきたいと思います。

理想の書店員像

取次さんとの打ち合わせの際に売上にコミットする、コミュニケーション力に長けた書店員がいれば、と仮説を立てました。

そしてもう少し煮詰めてみようとこれまでお会いした方々、SNSでお見かけした方々を思い浮かべながら、要素を書き出してみました。

・接客レベルが高い
→お客さんの趣味嗜好を把握してオススメが提案できる
→購入された本を覚えていて、感想を共有できる
→御礼の手紙や葉書を送る
→清潔感があって愛想もある
→接客の際にタイミングをみて声をかける

・仕事の基礎がしっかりしている
→依頼に対してレスポンスが早い
→期日を守る

・情報発信ができる
→SNSでの発信を継続して行える

・前向きな思考

・本の知識が豊富
→読書量が多い、あるいは読んでいなくとも特徴を把握している
→著者や新刊等の情報もチェックしている

・目を惹くPOPが作れる

・本の売上の分析ができる

他にもあるかとは思いますが、この時には一旦これらの要素を備えた方が個人的な理想だと考えがまとまりました。

理想の書店

こちらに関しても実際に伺ったことのある本屋さんを思い返しながら考えました。

7年以上、週1回はどこかの本屋さんに足を運び、ページ薬局を開局する前から個人書店さんにも伺う機会が増えたため、その数は決して少なくはないと思います。


特色のある個人書店さんもいくつか頭に浮かびましたが、中でも理想だと感じたのが何度か訪問した福岡の「ブックスキューブリック」さんです。

「本との出会い」がリアル書店の価値の一つだと様々な方が言われていますし、私個人としても感じています。

この価値が強く表れている、かつ属人的すぎないのがキューブリックさんを挙げた理由です。

 開店後「出会いの確率が高い本屋」だとお客さんに言われて、狭さのメリットを生かせたことを知った。買いたい本がはっきり決まっている場合は、大型書店やネット書店が便利だが、本と偶然の出会いをするには、むしろ当店のような小さく、かつ、セレクトされている書店のほうが有利ということだろう。
*P81より引用

経営者大井実さんの著書の一部を抜粋しました。

キューブリックさんの洗礼された空間に立てば、「出会いの確率が高い本屋」とお客さんに言われる所以が伝わってくるのではないかと思います。

そもそもどこを目指したいのか?

仮に夢が叶って書店がオープンでき、そのお店が繁盛する。

書店が数を減らし、もはや業界の方でなくても「本屋は厳しい」とイメージが植え付いている状況下で、経営が成り立つ店舗ができればいうことはありません。


しかしながら、手段と目的を混同していないかと立ち止まって考えることにしました。

日頃経営コンサルタントの方にアドバイスをもらっているのですが、そこでよく問われるのが「目的が何なのか?」という点です。


書店経営を行いたいのは、以前から変わらず価値に感じている「本との偶然の出会いの場」を新しく作りたいのか、それとも違う目的があるのか。

じっくり考えた際に自分の店舗だけが上手くいくのではなく、自店舗の取り組みなどが他の本屋さんにも役に立つのが理想かもしれないと感じました。


ページ薬局ですら本の売上を作れていないのに大口を叩くにもほどがあるとは自覚しています。

それでも場を残そうとするなら一店舗が大盛況するよりも、例えば一つの成功事例が別の店舗でも活用できるのが自分の目指したいところで、だからこそ「属人的すぎない」キューブリックさんが理想的だと思えたのだと自分の中で腑に落ちました。


「町の書店経営が成り立つ」

壮大なビジョンに果たして自分にできることが何かあるのか、自信はありませんがあくまでも理想ということでご容赦いただければ幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?