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本屋での読み聞かせイベントと著作権

2020年6月に薬局×本屋「ページ薬局」がオープンし、その2ヶ月後にはイベントに向けて準備を始めました。

「コロナが落ち着いたら」と手垢のついたフレーズを使ってはいますが、薬局も医療機関のためなかなかリアルのイベント開催には踏み切れていません。


今年こそ何かしらのイベントができればと思っていた際に、ふと著作権のことが頭に過りました。

「貸し出しだけじゃなくて読み聞かせにも影響していそう…」

「安易にお店で本の貸出をしない方がいい」で述べた通り、お店側からレンタルする場合には著作権法に抵触する恐れがあります。

そのため本屋での読み聞かせイベントも著作権と無関係ではないだろうと感じ、改めて個人的に調べてみることとしました。

著作権と読み聞かせ(口述権)

結論としては本屋での読み聞かせイベントについて、①無断でも問題ない場合②そうでない場合、2つに分かれます。

①無断でも問題のないのは、著作権の保護期間が過ぎた著作物の読み聞かせ。

著作権の保護期間につきましては、原則として70年間ですが、著作物によって期間の計算方法が異なり、また一部の海外作品は更に最大約10年保護期間が延長されるようですので個別に確認する必要があります。


②そうでない場合というのは著作権の保護期間内の著作物について。

こちらに関しては、やはり著作権者から許諾を取得するのが安全みたいです。

なお、本の読み聞かせをする権利は口述権により、著作者の専有の権利とされているようです。

非営利目的の口述(読み聞かせ)

著作権の保護期間内の著作物を口述する(読み聞かせる)場合、原則として、口述権を専有する著作権者の利用許諾が必要となるようです。

しかしながら非営利目的の口述については、要件を満たせば著作権者でなくとも、その利用許諾無しに口述(読み聞かせ)を行うことが可能となるようです。

以下、その要件を示します。
①「公表された著作物」の口述であること
②口述が営利目的でないこと
③口述に際して対価を受けないこと
④口述を行う者に対して報酬が支払われないこと

つまり一般的に流通している本については、要件を満たす非営利目的の読み聞かせであれば利用許諾の必要がないともとれますが、本屋での読み聞かせについていえば、例え参加費なしで読み聞かせを行う人へのフィーが発生しなくとも、営利目的がないとは必ずしも言えないものと思われます。


営利目的に該当してしまうものの例としては、
・ 営利事業に関する広告宣伝に際しての利用行為(商品宣伝のための映画試写会等)
・ 顧客の商品購買意欲の促進を目的とする利用行為(商品購入者に入場を限定する会)
・ 営利事業の生産性向上に資する利用行為(社内BGM)
・ 店舗への顧客集来等を目的とする行為(店舗BGM)

等が挙げられておるようです。

本屋の読み聞かせについては、営利事業たる本の販売を目的とする書店における、商品(本)の読み聞かせとなるため、「営利事業に関する広告宣伝」、又は「顧客の商品購買意欲の促進を目的とする利用行為」に該当するものとして営利目的であると判断される可能性が出てくるものと思われます。

長くなりましたが、無償のイベントでボランティアの方が読み聞かせを行ったとしても、こと本屋の場合は営利目的と捉えられる可能性も否めないものと思われます。

本屋での読み聞かせイベントを行うなら

以上のことから、著作権の保護期間が過ぎた著作物の読み聞かせは許諾なしで行え、保護期間内の著作物の読み聞かせは許諾を得るべき、といえるかと思います。


著作権の保護期間については例外があったり、複雑な規定となっているため一個人が判断するのは難しいと感じました。

そのため、本屋で読み聞かせのイベントを検討した時点で出版社、著者に相談するのが安全でしょう。


以前の記事と同様の締め括りとなりますが、今回の記事は法律の専門家ではない自分が、法律を見ながら、自分で調べた範囲の知識で作成しており、信ぴょう性に欠ける恐れがあります。

あくまで一般的な情報に過ぎません。

詳細を知りたい方は、必ず、弁護士などの専門家にお問い合わせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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