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20枚目 Teru's Symphonia「Egg The Universe」(1988年)

クソ忙しかったり、パソコンが不調だったりで更新が遅れました。
ぼちぼちで更新していきますよ。

 元祖ビジュアル系といわれるバンドはたくさんいますが、個人的には彼らこそが元祖だろうと思っているのが80年にデビューしたノヴェラです。メンバーは全員(当時の)少女マンガから飛び出して来たかのようなルックス(多田かおる「愛してナイト」に出てくるビーハイヴのモデルが彼ら)。彼らが70年代のキモいオカマ風のメイクとは違う、美形ならではの女性的な佇まいを提示したことで、のちのハードロック・バンドたちが女性的な装いをしていくことへの抵抗感が薄れたんだと思います。その中心人物だったのが、ギタリストの平山照継です。

 86年にノヴェラを解散させた平山は、自らが最も志向するシンフォニックなプログレへと向かいます。ノヴェラ末期の85年にリリースした2枚目のソロ・アルバムが「シンフォニア」。そのジャケットに書かれた英語表記が「Teru's Symphpnia」でした。そのタイトルをバンド名として、新バンドを結成します。その最初の作品がこの「Egg The Universe」です。メンバーには元ベール・アキュート・ムーンの仙波基(Key)やマグダレーナの徳久恵美(Vo)らが参加。仙波とは83年のソロ1枚目「ノイの城」と「シンフォニア」を一緒に制作していることからも、仙波ありきでスタートしたプロジェクトだといえそうです。

 ノヴェラでは、いわゆるプログレ・ハードといわれる音楽性、つまりプログレとハードロックの中間的な音楽性を志向していたわけですが、そのプログレの部分がシンフォニック的だった点が大きな個性となっていました。平山はそのシンフォニックの部分をこのバンドで拡大していきます。仙波のストリングス的なキーボードとそこに切り込んでいく平山のギター。10分を超える曲が2曲もあり、歌詞はより耽美的におとぎ話のような物語を語ります。ソロでの2枚と比べると若干もっさりした曲が多いような気もしますが、その中で異色なのが「You」という、このアルバムの中では最もコンパクトな5分弱の曲です。こういったキャッチーなメロディを持ったポップな曲を書けるところもこのバンドの強みだったりします。

 面白いのが、ノヴェラでは五十嵐"アンジー"久勝という男性シンガーがハイトーンで歌うことでどこかアイドル的な存在感を生み出していたのですが、ここでは女性の徳久恵美が歌うことで、アイドル的ではないよりマニアックな匂いを放つというの奇異な現象が起きています。
 
 こういったバンドの運命なのか、出す作品はすべてすぐ廃盤となりマニアックなコレクターズ・アイテムとなってしまいます。しかし、ヨーロッパではこういった音楽の人気は高く、彼らも日本盤が出ないままヨーロッパで新作を発表。現在はテルズ・シンフォニアの延長でNELFELTIという名前で活動しているようです。

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