見出し画像

ディスクガイド本「JAPANESE ROCK 80’s」作りました。

忙しくて駄文を書く時間がとれない日々が続いておりますが。

そんな中で、初めて自分の冠本を作りました。

「JAPANESE ROCK 80’s」

その名の通り、80年代のジャパニーズ・ロックのディスクガイド本です。
思うところをいろいろ書いてみようと思います。


このnoteのマガジンもそうなんですけど、なんでこのジャンルなのかっていうと、これまで音楽評論の世界では、このジャンルはないものとされてきたんです。70年代末の「東京ロッカーズ」や「めんたいロック」などのムーヴメントから80年代前半のアンダーグラウンド・シーンまで語られたら、次は渋谷系まで飛んでしまう。その間はブルーハーツだけです。または、「インディーズ・ブーム」「バンド・ブーム」「イカ天」そういう語られ方になってしまう。日本の80年代ってそんなんでしたっけ?

敬遠される理由はいろいろあるでしょう。それは本に書きました。とにかく、1つ確実なことは、80年代という時代にロックが花開いたことで90年代以降のシーンがあるということ。その80年代の音楽をちゃんと<音楽として>評価しないでどうするんだと。作品を作ったのはミュージシャンであり、みんな音楽が好きで、いろんな音楽に影響を受けて、その上で自分たちの音楽を作った。それを「バンド・ブーム」と一緒くたにして終わりっていうのはあり得ない。

だから、ちゃんと作品をメインに聴いて欲しいと思って、noteにアルバム紹介を書いてきたし、こういう本なわけです。もう「バンド・ブーム」や「イカ天」からは離れましょうよ。それは社会現象。作品は時代を超えてその作品であり続けるんですから。

そんなわけで、この時代の固定観念ともいえるスタンダードからできるだけ離れたかった。それが<ニュー・スタンダード>なんていう、ちょっと大げさな物言いに繋がるわけですが、そのくらいの気持ちで選びました。、BOOWY、レベッカ、バービーボーイズ、プリンセス・プリンセス、そしてブルーハーツ。それは間違いではないです。でも、どう時代に本気でロックをやろうとしてた連中はもっともっといて、その多くがメジャーを目指していた。この時代のロックはどうしてもアンダーグラウンドなものほど評価されがちで、メジャーなものは軽視されがち。そこをなんとかしたかった。そんなわけで、この本ではいくつかのテーマを作りました。


採り上げる作品の期間は83年から93年まで。

83年は、70年代からの直接的な影響が消え、80年代のメインストリームとなるバンドがデビューし始める時代。ここを出発点にしました。これ以前の作品はちょいちょい紹介されてるしね。93年というのは、バンドブームが終わり、80年代の影響がこの辺りまで見られるというタイミング。そして、渋谷系という言葉が登場したのがこの年であることから、ここが90年代への転換点と設定しました。80年代、90年代といっても、実際にそこを境にガラリと音が変わるわけではありません。80年代を冠にしても、時期はずれるものです。


メジャー作品中心に選ぶ

やっぱり、メジャーが語られていないんです。大物はそれなりに知られていると思います。でも、あまり売れなかったメジャー・アーティストのことを知っていますか? ヘタすると、アンダーグラウンドな作品より採り上げられることが少ないのではないかと思います。もちろん、メジャー作品だけでは時代感が出ないので、インディーズ作品もぼちぼち入ってはいますが、メジャー中心のセレクトは今までにない内容になったと思います。

今の耳で選ぶ

これも大事です。当時はコレが売れたかもしれないけど、今聴いたらこっちの方がカッコよくね?とかあると思うんですよ。例えば、キング・クリムゾンの「ディシプリン」は出た時さんざんな評価だったけど、後にそういうことだったのか!と再評価されましたよね。そういうことは音楽界全体で頻繁に起こっています。なのに、80年代ジャパニーズロックだけはあの頃のままなんです。音楽が語られていないから、当時売れたものがそのまま代表作になっている。だから、あえてそういう有名な作品を外して、当時はそれほど話題にならなかった作品を採り上げたりということもしてます。あと、カテゴリー分けも工夫しました。音楽的傾向や立ち位置で分けたので、その辺でもどう聴いたら面白いのかの参考になるかと。44マグナムが「ダンス/ファンク」の項に入ってるとか、面白くないですか?


後の時代への影響を考慮する

90年代の音楽は突然生まれたのか?そんなことはないですよね。90年代の音楽のヒントは80年代にすでにあったりするんです。例えば、最初に渋谷系と呼ばれたバンドたちは、80年代にすでに同じような場所で共に活動をしていたわけであって、突然渋谷系が生まれたわけではない。また、90年代になってから、80年代には思いもしなかった形でその影響が現れたバンドもある。それを80年代当時の切り口で語っても意味がないわけです。そういうところを意識して作品を選びました。


正直なところ、反省点も山ほどあります。あれが入ってないこれが入ってない・・・。約250枚程度しか選べないので、限界がありました。入れられなかった作品には素直にごめんなさいとしか言えません。コンピレーションは全て落としました。70年代からのベテランも選外の傾向が強いです。あと○枚しか選べない!という中で、勢いだけで選んだってところもあります。考えちゃうとキリがないし、だんだん保守的になっていくんですよねw あれとこれは有名だから押さえておかなきゃ・・・とか。そうやってこれまでに紹介されたことがない盤を入れるスペースがなくなるのが嫌だったので、考えすぎないようにしました。

あと、情報がなさすぎること。今までまともに語られてこなかったせいか、まとまった情報がないんです。いろいろ調べましたが限界もあって、これ違うよ!なんてのもあるかもなぁ・・・と思ってます。だって、当時リアルタイムでそこに接していた人には敵わないですもん。こういうのはちゃんと語られて、当事者の証言をとって、その積み重ねでいろんなことがわかっていくものなんです。はっぴいえんどなんてそうでしょう? なので、間違いは間違いとして訂正し、それを積み重ねていこうと思ってます。

あとは、ハッキリ言っちゃいますけど、個人的な趣味も大きく作用してますw そらそーですよ。


発売からそろそろ2週間。いろんな声が聞こえてきますが、こういう本がほしかった!と言ってくださる方が思いの外多くて、それがとても嬉しいです。この時代、音楽的感性が一気に拡大していった時代なので、面白い作品はいっぱいあるんですよ。そういうのを少しでも聴いて欲しいなと思いますし、いままた活動再開しているバンドもけっこう多いです。気になったらぜひライヴに足を運んでください。個人的にそういう復活モノをいくつか見ましたけど、意外とみんな今でもイケてます。この前のバービー見られなかったのは悔しい・・・。ただ残念なのは、ここで紹介した作品の多くは廃盤なんですよね。SpotifyとApple Musicで聴けるものは表記してあります。でも、盤で出したいよね・・・。ってのは次の野望でもあります。

そんなわけで、個人的には最初の1歩です。このジャンル、まだまだ掘り下げて紹介したいものはたくさんあります。

アマゾンで買えます。
こちらからどうぞ。
「ジャパニーズ・ロック80's」

画像1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

で、せっかくなので、発売記念にトーク・イベントをやることにしました。僕以外にこの本のメインライターである北村和孝さん(Player編集長)と吉留大貴さん(文筆業)のお二人と共に、いろいろ語りたいと思います。

ゲストには、ななきさとえさんをお招きします。元ナース、ソロを経て。マハリック・ハリーリ(NANAKI & SPICE)と活動してきた方で、偶然、同じようなタイミングでアルバム「パンドラの呪文」のCD化作業を進めており、ちょうどいいタイミングだったのでお声がけさせていただきました。「パンドラの呪文」のCDも好評のようです(初回特典はもうなくなった模様)。

こちらのイベントにもぜひお越しください。
「80年代ジャパニーズロック”は”光と影」です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アルバム・セレクション・シリーズ "Japanese Rock 80's" 発売記念
80年代ジャパニーズロックは光と影

4月7日(火)
Rock Cafe Loft
東京都 新宿区歌舞伎町1-28-5

OPEN 18:00 / START 19:00
前売(web予約)¥1,500/当日¥2,000(+要1オーダー ¥500以上)

【ナビゲーター】
池上尚志(ライター)
北村和孝(Player 編集長)
吉留大貴(文筆業)

【ゲスト】
ななきさとえ

"Japanese Rock 80's ディスクガイド"発売記念!これまで音楽メディアでまともに採りあげられることがなかった80年代のジャパニーズロックを、それらを聴いて育った世代のライター3人が愛とリアルで語ります。
ゲストには、この本でも採り上げた87年リリースのソロアルバム「パンドラの呪文」をCD化したばかりのななきさとえが登場。

〈profile〉
池上尚志(ライター)
BOOWY世代の物書き。自主イベント"City Pop Connection"主催。次回は5/22 小林"mimi"泉美@目黒ブルースアレイ・ジャパン。

北村和孝(Player誌編集長)
ラジオと銭湯を愛する音楽雑誌Player編集長。様々なミュージシャン本の執筆、編集、企画を手がける。大人のポップミュージック制作を提唱する「日本ポップ屋協同組合」参加。

吉留大貴(文筆業)
文筆家。『ロフト・セッションズ Vol.1 アウトテイクス』企画監修。

ななきさとえ
83年、ガールズ・ハードコア・バンド、THE NURSEにドラマーとしてデビュー。86年、ソロアルバム『赤色人形館』、87年、『パンドラの呪文』をリリース。88年、MAHALIK HALILIを結成。アルバム3枚リリース。92年からはNANAKI & THE SPICEとして活動。TBS「日立 世界・ふしぎ発見!」でミステリーハンターとしても活躍。

https://www.facebook.com/nanakisatoe/


予約はお店までお願いします。
Rock Cefe Loft


Facebookのイベントページ
https://www.facebook.com/events/194264271881539/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?