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趣味、建築(4)

2023/10/06 Fri.

ギャラリー


Sign

 今日、2023/10/06午後は六本木の展覧会巡りへ。
1か所目は、Gellery・Signへ。ここでは清家清(建築家)の「私の家」で設計された動く畳の展示と清家清本人についての資料がみられる。延べ面積に制限がある中で、家族四人が不自由なく暮らせるように設計され”扉”のない住宅である。トイレにも寝室にも扉がない。おまけに50平米以下である。その中で動く畳は、地続きで庭に接続され、天気の良い日には庭へ運び出し空間を拡張する。
 なんといっても間取りがギャラリーの一室で再現しつくされている熱量に感動した。それは物量やおしゃれさではなく、受け継がれてきたものを東工大の学生や卒業生が再現しようとしている愛と後世への希望が感じられるからかもしれないと思った。それは、在廊している主催者さんとお話をしていると伝わってきたことだ。
 畳が発売されるらしい。ぜひ。私は今後出版される清家清とご家族によるお話が載る書籍を手にしてみたいと思っている。

本題

 2か所目は、通称ギャラ間へ。現在は西澤徹夫さんの「偶然は用意のあるところに」が開催されている。名前を知っているくらいの私でも理解できるような構成になっていて非常に興味深かった。前回のドットアーキテクツの雑然とした展示のもつ複雑性も良いと思ったが、一見場所を持て余しているのでは?と思ってしまうくらい限られた展示物がしっかり主張する構成が気持ちよかった。

間-ディレクターツアー

 到着し、館内案内を聞いているとディレクターによる説明ツアーが始まっていたようだった。「自分で感じたことを大事だ」と言い聞かせつつこういった類の説明を聴衆の一部になって聞くことを避けてきていた。結果、なにも得られず帰るという過去の失敗から、「3人しかいないし、いい経験だ」と自分を相手に説得を行い、付いていくことにした。
 結果として、西澤さんのことを知ることができた(知った気になることができた)。いずれにしてもプラス。それはそのディレクターとお話をすることができたからだった。

間ーディレクターツアーーインタビュー

 ツアーを終えると、TOTOの別の職員さんに声をかけられた。来場者にアンケートとしてインタビューを行っているみたいだった。文化推進の一環でこのような素晴らしい展覧会を無料で開催してくだっさているので、口下手だが何かできることがあり光栄だった。
 インタビューを終え、ディレクターさんも聞いてくださっていたので、ツアー中に疑問に思ったことを質問した。

間ーディレクターツアーーインタビューー質問

「学芸員が絵画・順番を決め、それを展示する空間を建築家などがてがけることが多いというが、・・・それの力関係はよくあることなのか」

 西澤さんははじめに美術館の展示構成を手掛けることが続く時期が長く、だんだんと建築設計の仕事をするようになったという。”展示構成しかやっていない自分”との葛藤が、いまのさまざまなつながり(偶然)を作り出したと西澤さんは言う。それが今回のテーマであり、今やっていることはどこかで顔を出す、と。
 その中で興味深く思ったのは上にあるように、美術館の学芸員と構成担当の関係性である。ひとことで言えば、ケースバイケースらしい。学芸員が絵画を選び(順番などを決め)それを会場構成担当が空間をつくる。これは完全なる分業の類で、西澤さんの場合、初期はこういった形態が多かったようだ。明らかに順序が生まれ上下関係が見える。
 一方で現在では、作家さんや学芸員と同じ位置に立つことがあるという。相乗効果というか、場所性・空間性を味方につけることで芸術としての一体感が増す。一連の経験が結果として美術館そのものを建てる時の知識に昇華されているとおもうと見方が変わる。

 建築が覆いかぶさるようにもっさりとアートを包んでしまうことは望ましくないが、エゴのぶつかり合いだからしょうがないとも思う。作家も学芸員も、会場構成もやるべきことがある。
 そこには学芸員のコレクションと収集力を見せつけるだけの展覧会にならないよう、各々がある種の期待や難儀を見えないように課すことによってより良い構成が最終的に誕生するのだろう。それをディレクターの方にいわれるまで意識もしなかった。

間ーディレクターツアーーインタビューー質問ーギャラ間の特徴

 ギャラ間には雨ざらしの部分がある。受付の階(3階)に床の半分の面積くらいになる青空展示場があり、4階へはサイドの階段で乃木坂の地を見上げながら進む。
 雨ざらしの箇所については、これまで特に大きな展示物や参加型のインスタレーションを行う場として機能していたように思う。会期中は雨が降ってもすぐに出し入れはできない。そのため、雨にぬれてもいいような作品が求められる。この空間を作った一つの理由。ディレクターのニュアンスをお借りすれば、「建築と同じで、与条件があることによってその方の魅力が引き出される。悪く言えばいじわるかもしれないが、建築家が常に向き合う、雨ざらしという与条件が実力を引き出す。他のギャラリーではできない側面がみられる。」といった意図があるようだ。


 ”展示の場所を提供しているギャラ間”から建築家と向き合っているギャラ間に様変わり。非常に興味深いお話だった。

 

まだそれがどういった効果を生むのかについてまだ解釈が追い付いていない。熱があるうちは文章に勢いが載ってくれる。だがしかし、咀嚼しきれていないので、このことは今後の自分へ、前方斜め上45度へ向かって投げるとする。


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