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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (118)古寺巡礼

 中先生の作品『郊外 その二』には大正5年12月26日から翌大正6年11月16日までの記録が途切れ途切れに綴られています。郊外は千駄ヶ谷で、中先生は那須家逗留を続けていますが、途中で布川の徳満寺に出かけることもありました。5月25日付の和辻さん宛の葉書は布川で書かれています。それからまた千駄ヶ谷にもどり、6月28日の和辻さん宛の葉書を書き、ひょっとしたらこの秋に大和方面に行ってみようという考えと、来月10日すぎに先日滞在した徳満寺に行くつもりであることが伝えられました。

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1,780字
中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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