📕おすすめ本紹介📕Vol.1（2023.12）

もうすぐクリスマスに差し掛かる頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
わたしはクリスマスが一年で一番好きなイベントです。ハロウィンや正月よりもクリスマスが好きです。クリスマス自体も好きなのですが、それよりもクリスマスに向けて街中がイルミネーションで彩られたり、アドベントカレンダーでカウントダウンしたり、クリスマスプレゼントを買いに行ったりと、そういったクリスマスに向けてみんなが楽しみながら準備している過程が好きなんです。もともとは日本のイベントではないのですが、好きになったきっかけはクリスマスを題材にしたディズニーアニメの影響だと思います。

1番お気に入りの作品はこちらの「ミッキーのクリスマスの贈り物」という作品です。この作品はクリスマスの楽しさだけでなく、切なさ、恋人や家族を思いやる大切さなどを感じることができるとっても良い作品です。

ということで、今月からできる限り月１回おすすめ本紹介をしていきたいと思います。

まず1冊目はこちら

「インシテミル」米澤穂信 著
ジャンルはミステリーで、少し改変していますが映画化もされています。米澤穂信さんは主に日常のミステリー（コージーミステリー）を書いています。日常のミステリーとは、日常の中で気になったこと、例えば学校生活で、ある先生が普段使われていない教室に入っていくのをよく見かけるけど、いったい何がその教室には隠されているのか、といった簡単に言うと殺人の起きないミステリーという感じです。日常のミステリーを書いている作家さんですが、殺人事件の起きるミステリーも面白く、今回もその殺人が起きるミステリーです。

～あらすじ～
「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給11万2000円がもらえるという破格の仕事に応募した12人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった

あらすじに補足すると、金稼ぎのために実験に参加することを承諾して一定期間経つまで出られない地下施設に入ったら、殺人をしたときや殺人者を当てることができたときに賞金を増やすよというルールが知らされて殺人が起きる、という内容になっています。
俗にいう「クローズドサークル」という外部からの介入が困難な空間で殺人が起きるシステムが採用されています。「クローズドサークル」は自然災害が起きて帰れなくなったり、携帯の電源が山奥で切れて帰れなくなったりと様々なパターンがあります。今回はその中でも参加者が望んで密室に入りますし、ルールが細かく決められた空間で過ごす作品になっているため、非常にゲーム性が高い作品になっています。わたしは「クローズドサークル」ものがとっても好きですが、ゲーム性が高いこの作品は特に好きです。昔、ドラマで「ライアーゲーム」が放送されていましたが、それに似たような感じです。参加者の1人である結城視点で進められ、場面ごとの心情も書かれています。そのため、主人公のことをわかった気になっていましたが、終盤で過去の場面での心情の理由まで語られ、主人公の印象が変わりました。そのようなパターンは初めてだったので面白かったです。ミステリーのなかでもゲーム性が高く、読みやすい部類に入りますし、ミステリー好きが登場し解説してくれる場面もあるのであまりミステリーを読まない人におすすめです！

2冊目はこちら

「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ 著
ジャンルは心理小説とかフィクションで、2021年の本屋大賞を受賞した作品です。本屋大賞とは、全国の本屋店員（アルバイト、パート含む）の投票で決まる、書店員が一番読んでほしい本です。例年2月にノミネート作品の計10作品が発表され、4月に順位が発表されます。その年の1位が大賞です。個人的な印象ではありますが、本屋大賞は直木賞や芥川賞に比べて読みやすい作品が多いので、読み始めるきっかけとして本屋大賞候補にノミネートされた作品の中から1冊選んでみることをおすすめします。この作品なんと映画化が決定していて、2024年3月1日（金）に公開されるみたいです。タイムリー😊

～あらすじ～
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる。

あらすじに補足すると、家族にも恋人にも裏切られてきた主人公の喜湖が単身引っ越してきた土地で、母に虐待されていて言葉を話すことができない少年と出会い、少年を助けようと奮闘することで同じような境遇である自分も救われていくという感じです。
めっちゃ感動するお話です。正直に言うと泣きました（笑）わたしは現実でも人の不幸話を聞くと感情移入して涙が出るタイプなのですが、本読んで泣いたのはこの作品が初めてでした。世の中には友達や恋人、家族にも言えない秘密を抱えている人がたくさんいると思います。それはつまり、その秘密を知っている人が自分以外にいなければ、その秘密が自分自身にとって重要であればあるほど、誰も自分のことをわかってくれない孤独を感じることになります。ですが、結局自分の一番の理解者は自分自身なので、人はなにかしら孤独を抱えて生きていく生き物なのだと思います。孤独が一番人間の寿命を縮めるという研究結果もどこかで見たことある気がします。そこで重要なのは自分自身の孤独や苦悩を理解してくれる人と出会うことです。でもそれは簡単なことではなく、自分と同じような経験をしている人と出会う必要があると思います。この作品では、様々な孤独を抱えている人たちが登場します。全員が救われてハッピーエンドな作品ではなく、自分の理解者を見つけられた人たちが幸せになって、見つけられなかった人たちは最後まで救いがなかった印象です。なので、フィクションの作品とはいえ、現実の厳しさを感じる部分もありますが、つらい過去を持っている主人公と少年の未来が前向きに終わる作品なのでぜひ読んでみてほしいです。特に最後のシーンは主人公たちのこれまでの人生の大変さを思い出して思わず泣いてしまうと思います！

以上、12月のおすすめ本紹介でした！
どちらも文庫化されている作品なので、書店や図書館等で見つけたらぜひ読んでみてください！

～完～