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著作権料は、きちんと支払いましょう。そうすれば、著作権を有する方も、利用する方も、どちらも幸せになれます


新型コロナウイルスによる臨時休業等の措置が終了しても、動画等のコンテンツは有効に活用し、かつ、著作権料をきちんと支払うようにすれば、いままでの努力は無駄にならないと思います。

文部科学省からの事務連絡(新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校教育のための教材や学習動画の作成・活用に当たっての留意事項について)

標記の事務連絡が5月8日付けで出されています。
https://www.mext.go.jp/content/20200508-mxt_kouhou01-000004520_4.pdf

本年の4月28日から「授業目的公衆送信補償金制度」が施行され、学校の先生方が自分の学校の児童生徒に向けて授業として教科書の内容等を示すことが、いままでよりも楽にできるようになりました。もちろん、なんでもあり、ではありませんが以前よりも制度としてしっかりしたのは本当です。

しかし、この制度は「学校の先生が」という条件がついているので、教育委員会の指導主事や、各地の教育センターの職員が動画を作成・配信する場合には適用されません。

とは言うものの、今は大変な時期ですので、きちんと手続きを踏んで動画を作成したり配信したりすることについては、「お互いに配慮しましょう」ということにになっています。そのことが、上の事務連絡で述べられています(教育委員会の皆さんには、きちんと手続きを踏んでいただいたいものだなあと思います)。

文部科学省として著作権を持つ方にお願いをしています

さて、上の事務連絡は文部科学省から都道府県の教育委員会等に宛てたものですが、同じ文書の下の方には、文部科学省から著作権者を持っている(管理している)皆さんへのお願いもあります。

内容は「本当は、きちんとお金を払わなければなりませんが、こういう時期なので配慮をお願いします」というものです。このお願いも、「なんでもあり」ではなくて、「こういう条件を満たす場合に限ってお願いしますので、どうか認めてください」という内容になっています。

本来は、きちんとお金を支払って利用すべきものですし、そのことが著作権を持つ皆さんだけでなく、利用する立場としても文化を維持・発展するとい点においてプラスになるので、お互いにきちんとしましょうということです。もちろん、このことについて私は賛成です。

では、コロナが終わったあとはどうなるのか

このことについては、次のように書かれています。

なお、この内容については、学校の臨時休業等の措置が終了し、学校における教育活動が通常どおりに実施できる状況になった学校に対しては、各教育委員会からの動画配信は停止するよう教育委員会に対して適切に周知を行う等、著作権者の利益を不当に害するような利用が行われないよう、努めてまいります。

つまり、コロナが終わったら、動画は削除します、ということです。これは、文書の作り方としては「こういうふうに書くしかない」ことは理解できます。「こういう時期だからお願いします」「トラブルが終了したら、いったん白紙に戻します」ということです。なぜ白紙に戻さなければならないかというと、「もしも、新しい取り組みをするとしたら、制度であれ、金銭面の保証であれ、新しい仕組みをつくらなければならない。けれども、いまは、そんなことをしているヒマがない」からです。

でも、やっぱりもったいないですよね

現時点では、こういうふうに書くしかないということは理解できますが、せっかくみんなで努力してつくったものを、すべて停止してしまうのは、やはりもったいないと思います。

そこで、冒頭で述べたように、「新型コロナウイルスによる臨時休業等の措置が終了しても、動画等のコンテンツは有効に活用し、かつ、著作権料をきちんと支払うようにする」ということができれば、いままでの努力は無駄になりませんし、児童・生徒の多様なニーズにも応えていけるだろうと思います。

「お金を払うと損」とか「手続きが面倒」とかではなく、「児童・生徒の学びを、多様な形でサポートする」、「そして著作権者の皆さんにも、さらにすばらしいコンテンツを提供していただく」という2つの面から考えて、ぜひ良い形で継続してもらえればいいなあと思います。


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