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2013年夏、ロサンゼルス(その2) ファストファッションが広がる全米で勝ち残る業態を見て歩く②

ロサンゼルスでのもうひとつの目的は、オフプライスストアの視察でした。ファストファッションチェーンの拡大で多くの百貨店やアパレル専門チェーンが苦戦している中、着実に拡大を続けていた業態のひとつがオフプライスストア(OPS)でした。

オフプライスストア(OPS)とは 

オフプライスストアとは、著名なナショナルブランドやデザイナーズブランドのアパレル、服飾雑貨、アクセサリー、コスメ、ホームファッションなどの過剰在庫を買取り、常時、定価の20%~60%以上のディスカウント価格で販売しているチェーンストアです。

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 アウトレットとの違いは・・・アウトレットがブランド自身が在庫のはけ口としてアウトレットストアを展開しているのに対し、オフプライスストアは、ひとつのお店の中で、何百ものブランドが値下げ販売されているところでしょうか。
 また、ディスカウントストアとの違いは・・・ディスカウントストアが一般にはメーカーから正規ルートで供給された商品を自らのコスト削減の企業努力によってでディスカウント販売しているのに対し、オフプライスストアは、小売店、メーカーが抱えてしまう過剰在庫を、現金で安く買い付けて、ディスカウント販売しているところにあります。

 アメリカのファッションビジネスは、メーカーと小売業間の取引は完全買い取りが常識ですから、百貨店、専門店とて、買い取って売リきれないと判断するや、シーズン中でも換金目的でブランド品を放出することが多いのです。
 中には、利ざやをとったり、キャッシュフローを改善する目的で、在庫放出することを前提に多めにブランド品を買い付ける専門店もあるとか。
 ブランド側もそれを見込んで多めに生産しているってのもあるのかも知れません。
 オフプライスストアの店頭には、古着屋さんのように上澄を取られた滞留在庫もありますが、バイヤーがシーズン中に新しい商品を常時買い付けているので、ディスカウンターやブランドアウトレットモールよりも新商品が入荷する頻度も高くなるわけです。
 店内の雰囲気は日本で言えば、ファッションセンターしまむらを想像していただければよいかと思います。

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オフプライスストア大手の規模、ファストファッションとの棲み分け

 アメリカ最大手のTJX社の年商はなんと3兆円に迫る規模(2013年当時)!このうち75%はアメリカ国内、残りはカナダとヨーロッパでの売上です。 第2位のROSS社もまもなく年商1兆円(同;アメリカ国内のみでの展開)。 当時、両社はアメリカのファストファッションブームの渦中でも、何年も続けて、年率10%以上の成長を続けていました。共に、上場企業で営業利益率も10%超と極めて優秀です。

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 つまり、ファストファッションチェーンはオリジナル企画商品(プライベートブランド=PB)を販売するSPA(アパレル製造小売業)、一方、オフプライスストアはさまざまなバリエーションのあるブランドディスカウント。ファッションが低価格で購入できる、という点では共通し、絞り込まれたオリジナル品か買い付けによる品種の豊富さかで、切り口は差別化されているのでしょうね。

宝物さがしとデイリーユースの融合  

実は、90年代の後半にカリフォルニア州サンディエゴに住んでいた時、オフプライスストアにはずいぶんお世話になりました。スーパーマーケットやドラッグストア立地にあって、デイリーな買い物のついでに掘り出し物がないか、と、よく覗いては、POLOラルフローレン、カルバンクライン、トミーヒルフィガー、クイックシルバーなどのシャツやショーツなどを購入したものでした。定価の半額以下にディスカウントされることによって、おしゃれ目的というよりは、普段着にちょうど手ごろな値段になるんですよね。

日本に帰国後、アメリカ出張の際には よく滞在中のアンダーウエアの買い足しを目的にオフプラスストアに立ち寄ったものでした。今回も立ち寄ったT.J. Maxxで CKのVネックT 3Pパックを17.99ドル、HAPPY SOCKSを 4.5ドルx3足 で購入したものでした。

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そんな購買行動をしていて、ふと思ったのですが・・・  

アメリカで思うように拡大ができていない日本のユニクロ。 同社のアメリカでの参入障壁、店舗拡大のネックになるライバルはGAPなどのアパレル専門店やウォルマートやターゲットのようなディスカウンターではなく、これらのオフプラスストアではないか?と。 なぜなら、オフプラスストアには常時 ポロやCKやナイキやアディダスなどのブランドのコモディティ衣料がかなりディスカウントされて売られていますからね。 オフプライスストアで販売されているアンダーウエアやホームウエアは ナショナルブランドクオリティですから安心ですし、ユニクロくらいの価格で十分購入できます。

 間に合わせなら全然申し分ありません。たまに著名ブランドの掘り出し物が見つかる楽しみもあるとなれば、訪問頻度も高まりますしね(笑)。

 アメリカにはオフプライスストアをそんなアパレル購入の選択肢のひとつとして使い分けている人たちが多いのではないでしょうか?

リサーチ中のランチはWHOLE FOODS(ホールフーズ)のDELI(デリ)で  

アメリカ西海岸のレンタカーを使ってのリサーチ中に重宝するのが、WHOLE FOODSなど大型スーパーのDELI(イートイン)コーナーです。

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 青果コーナーの綺麗なVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を眺めて目の保養に、デリで温かい惣菜を好きなだけ取ってのランチは楽しみのひとつ。思わず食べ過ぎちゃいますね。残したら夜食用に持ち帰り(笑)

西海岸の視察を駆け足で終え、次は東海岸ニューヨークに向かいます。

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