「誰かからの“ありがとう”が心を育てる」
Cさんは、毎週、家事支援の仕事に行っています。
私と一緒に、一般のご家庭の家事のお手伝いをさせていただいているのです。掃除機をかける、雑巾で床を拭く、庭履きをするなどを二人で丁寧に行なっています。
この仕事は、お散歩でご近所を歩いていたご婦人が「社会福祉法人 宝もの」の看板を見つけ、偶然訪ねてきてくださったご縁から生まれたものでした。
高齢で手が不自由になってできなくなった家事をほんの少し手伝って欲しい、とご婦人は話されました。
はて、そのような仕事を請け負ってよいものか・・・果たしてできる仕事を切り出せるのかが不安でしたが、とにかく訪ねて聞いてみることにしました。
私の不安は何点かありました。
①障がいに対する理解の有無
②単にビジネスとして考えられているのであれば不向きであること
③Cさんが行うことができる仕事の切り出し
それらを丁寧に説明させていただき、さらに必要な書類や内容についてをメールでやり取りしながら、いよいよスタートに漕ぎ着けました。
事前挨拶の日、Cさんは朝から自己紹介ばかりをしていました。きっと、家でご家族と練習して来たのでしょう。少し緊張気味ながら、立派に事前挨拶をすることができました。
Cさんは、今まで福祉施設の他には実習に行ったことがありませんでした。今回もスタッフが一緒に働きますが、福祉施設ではありません。Cさんには初めての経験です。
Cさんは毎週、事業所以外の場所で働いてきます。
もちろん、仕事が終わった後には、その家の方に「ありがとう」と感謝の言葉をいただきます。
帰ってきてから、自分が何の仕事をしてきたのかをフィードバックし、言語化します。
毎週、そのことを続けていくことで気持ちの中に「貢献」の意識が生まれて欲しい、「役に立っている自分」を意識し、「自分の存在」を肯定的に感じていく、毎回、写真付きの振り返りシートを作りためていくことで自分の成長の証を可視化できると良いなぁと思うのです。
「働く」ことは「自分が誰かのために役立っている」こと。Cさんの中に他者貢献の気持ちが育っていくことを期待していきたいと、一緒に働きながらCさんにエールを送っています。
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