17才、初めての映像作品のフィルムは青い

#文化祭の思い出  ハッシュタグ企画参加記事

note初投稿です。稚拙ながら文化祭の思い出を想うままに書きます。95%ノンフィクションです。


★高校の文化祭で映像作品を作って公開する、というイベントは全国どこの高校でも割と見受けられるイベントだと思う(実際はどうかは知らない。涼宮ハル〇という有名なライトノベル作品ではそういうイベントが描かれていたため、恐らく存在はしていると推測)。

 映像研究会などの専心的研究を日々重ねる集団が手がけた作品ならいざ知らず、普段カメラもろくに触ったことのない普遍的堕落高校生が、文化祭のイベントという名目で、半分お遊び感覚で作った作品というのは、映像に限らずはなはだ自己完結的で青臭く、見るに堪えない代物であるのは言うまでもない。

 そして時は経ち僕らは涙の卒業式。未来の自分へのタイムカプセルに詰めた思い出の品々、その最深部にひっそりと隠し納めたそのブラックフィルムを、20年後の自分が見つける。最初は懐かしい写真や文集、赤裸々日記を見て「こんな頃もあったよなあ」と心がほっこりし始めたあたりで、例のダークマターを発見する。当然入れた記憶は月日と共に跡形もなく消失、「こんなの誰が入れたんだ?」と軽いミステリィ状態。

 最後にその奥底に眠っていたゲテモノG級映像を見ようものなら、急激な悪寒にさいなまれ、めまいにおののき、視界には白い靄のようなものがかかり、以後数夜を高熱にうなされながら過ごす羽目になるに違いない。一般的に「黒歴史」といわれるものの害悪さを皆様もお判りいただけただろうか。

 ここでいきなり、自分語りに入るがご容赦いただきたい。

 自分の高校では、文化祭というのは「総合学校祭」というビッグイベントの、文化部門の一部だった。この総合学校祭には、他にスポーツ大会部門、総合体育祭部門、合唱コンクール部門などがあった。各クラスはそれぞれの部門すべてに参加し、他クラスと各部門で雌雄を決する。冒頭の映像作成の課題なるものも、この中の文化部門に含まれており、つまり自分はこの映像作品大会に(図らずもディレクターという責務を負わされて)参戦したのだ。

 我が高校は、一般的な高校で行われる文化祭、体育祭、スポーツ大会、合唱コンクールといった行事を、1週間(休日含む)ぶっ続けで一気に行う。その間は授業が完全にないので、当日はみな行事だけに集中できる。生徒主体で進行し、その1週間先生方は授業をしなくていいので、割とフレンドリーで協力的なのがまたいい。一点集中型で非常に効率的だが、スケジュールの密度と、学校全体の異様な雰囲気に当時赴任初年だった校長の背中も凍り付いていたに違いない。

 年にたった一度しか無い、自校たっての大行事のため、全生徒がこの行事に準備段階から臨戦態勢で臨むのも頷けるだろう。

 しかしそれだけの理由で、平成生まれの平和ボケしたのんき至極のティーンズが、炭素結合よりも強いクラス結束をし、たかが学校行事に血眼、血みどろ、血気盛んに挑むわけがないのだ。

 たちの悪いことに、それぞれの部門における種目はすべて、勝ち負けがある。スポーツ大会、体育祭などはいうまでもないが、文化祭部門にも各作品に評価点式のジャッジが下され、それらはすべてクラスのポイントとして加算されていく。最終的に最もポイントを獲得したクラスが全クラスの王、玉座に君臨することが出来るのだ。

 とどのつまり、このイベントはまさしく、真剣10代いくさ場。
 己のクラス、そしていち若者としてのプライドが懸かっている。

 そのため、たかが映像作品だ、素人だからといった理由にかこつけ、適当な作品を作り、無様な姿を晒そうものなら、我らが4組軍の穏やかならぬもののふ同志たちによる公開斬首は免れない。みな死に物狂いで優勝を目指しておいでなのだ。

 そんなこんなで、そこまでやる気の出なかった自分でも、クラスメートの熱により、背中を押されるどころか背中を熱で焼かれ、まさに尻に火が付いた状態になった。(尻かよ)これがいわゆるバックファイヤーである。(違う)

 さて、自分の参加した総合学校祭、文化部門、映像作品大会の詳細だが、正式名称「映画祭」。クラスオリジナル、330秒以内の映像作品をつくるというものだ。作品テーマは自由、卑猥なものは事前検査委員の検問をクリアすることはできない。

 準備期間は約1か月だが、先述の通り、密度の濃い学校一大イベントのため、ほとんどの生徒が複数のイベント準備を掛け持ちしている。そのため、祭り当日の1か月前から、学校全体が慌ただしい雰囲気になる。唯一平静さを保っているように見える授業中でも、生徒たちは過沸騰状態のH2Oのように、何かの拍子に爆発してしまいそうな、なんとも落ち着かない不安定な状態になっている。それを知らないはずがない教師たちは、心のなかで「わかるわかる~それでいいのだよ、俺らは分かってるからな」とわかった振りを笑顔と共にアピールしている。そんな中、映像作るだけしか仕事のない監督の自分がいくら時間を持て余そうとも、役者たちやカメラマンたるクラスメートと一堂に会する機会は、少ないはないが限られていた。

 つまり、最小限の時間と労力、勝ちへの最短ルート、条件を掌握することこそ、この映像大会の覇者となる必須条件だった。ひいては優勝への厚い貢献、クラスメートの羨望の眼差し独占。

 極めつけには、我が4組軍を率いる大将軍様(クラス委員長)であり、全校女子生徒のハートマークの視線を掴んで離さない、佐原マサキくん(仮)に功績を認められ、青春時代のクラスメートにいたっけそんな奴以上の関係、つまり竹馬の友になれるはずだ。(副作用的に、佐原君の隣に常に位置できれば必然、数多の女性の視界に自然に入ることが出来るじゃあないか)

 

 話がだいぶ逸れたが、ここから本題はこれからだ。

 しかし、これから待ち受ける幾多の障害にあれほど苦戦しようとは、この時の、頭がお花畑の青々しい監督が予期できるはずもなかった。

 さっそく勝ちへの最短ルートを探るために、我々作成班代表、監督私、副監督田村(仮)、主役岩本(仮)はまず、見る者が何を求めているのかというマーケティング調査(言葉が合ってるかは不明)を忍び推し進めることにした。


 そして身の程を弁えることを知らぬ、勝利に貪欲な3匹の戌たちは、佐原将軍への飽くなき忠誠心で正気を失い、いきなり敵の本丸、映像作品審査員の長であられる、今年赴任した新任校長の趣味調査を開始するのであった。。。。。

 

(文章はここまでです。長くなって申し訳ありません。自信喪失により、未完とさせていただきます。駄文を読んでいただきありがとうございました。)

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