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先人たちが残した歴史ある酒蔵をリデザインし新たな文化創造交流拠点に 茨城県大洗町 大里さん

こんにちは!鈴木貴大です。
更新の間が空いてしまったのですが、引き続き、更新頑張ります!!

今回は茨城県大洗町にお住いの大里さんご夫妻をご紹介させていただきます。

奥様である愛さんのお母様の実家が古くから大洗の町で酒蔵を営まれておりました。現在は酒蔵としては、一度歴史を閉じているのですが、孫娘である愛さんが、残された蔵を守る取り組みを模索されていらっしゃいます。

愛さんの想いが素敵でそのビジョンを応援したいなと強く感じ、今回は愛さんをご紹介させていただくことにしました。


大里さんご夫妻とは、初めてお会いしたのは、僕が参加させていただいた、茨城県主催の「if design プロジェクト」というプロジェクトになります。以前も記事でご紹介させていただきましたが、そのプロジェクトを通じて、初めてお会いしました。ただ、その当時は別のプロジェクトチームだったので、ゆっくりとお話できず、本格的な交流はありませんでした。

今回、僕の取り組みを友人にシェアしたところ、改めて大里さんとお話を頂く機会をいただきました。大里さん、改めて貴重なお時間を創っていただき、ありがとうございます。

古川酒造店の歴史

今回、お話を伺った「古川酒造店」は、もとは、慶応(1865~1868年)の間に日本酒の製造をスタートし、事業を拡大していった清酒醸造元が前進になります。

昭和初期の頃までは、蔵の裏手がすぐ砂浜で大海原に面した酒蔵でした。その立地を巧みに生かし、お得意様を接待する場所としてバルコニーを増築しました。のちに、海水浴客が水着のまま直接あがってくるという利用方法が考えられるようになり、夏季期間には「清酒カクテル試飲会」という企画が催され、多くの観光客で賑わうなど、大洗のひとつの観光スポットになったそうです。



このように時代に合わせて、新たな取り組みをし続けましたが、先人たちが愛した磯の濱の情景も港湾開発により大きく様変わりし、さらなる大きな時代の変化もあり、今から約23年前、蔵をたたむというご決断をされました。


愛さんにとっての酒蔵

廃業後の酒蔵は愛さんのご両親が維持管理されてきたのですが、手放すか、自分たちで管理を続けるかという話が家族の中で上がったのです。愛さんにとってはとても大切な場所でもあり、その場所を失いたくないというところから、愛さんの挑戦が始まります。

この酒蔵も、当時は、愛さんの中ではお酒造りをしている場というよりも、おばあちゃんがいる癒しの場であるという感覚が強かったそうです。学生時代も社会人になられてからも、おばあちゃんの手料理を食べに行ったり、飼われていたわんちゃんに会いに行かれたりと、毎週のように大洗町の蔵に遊びにきて、愛さんにとってのかけがえのない癒しの場所だったそうです。

愛さんにとって大好きだったおばあちゃんとの思い出の詰まったとても大切な場所であるこの蔵を失いたくない、そんな想いから蔵をどのように残していくのか、試行錯誤されています。

愛さんご自身にとってもたくさんの思い出が詰まった場所であるのと同時に、大洗町にとっても語り継ぐべき歴史と文化が詰まった場所であることも事実かと思います。

僕は、愛さんの想いがあるからこそ、この歴史や文化を発信する場として残していくチャンスがあるのだと、お話を伺いながら感じました。

「文化創造交流拠点」として活用

1 番古い建物は明治時代に建てられており、大正、昭和初期と増築を重ねて、今の蔵が出来上がっています。継ぎ接ぎがある所が、蔵の魅力であり、また蔵に残された多くの収蔵品や古川酒造店の代表銘柄であった「松籟」(しょうらい)は松に吹く風やその音のことを表し、まさに大洗の地にふさわしい銘柄であり、それを継承していくことが語り継ぐべき歴史や文化であると思います。

なぜ残された蔵にバルコニーがあるのか?波がえしがあるのか?その土地のたどった歴史を知ることから見える、新たな魅力を伝えていきたいと試行錯誤されております。

現在大洗町には新たな挑戦をされている方がたくさんいらっしゃいます。その方々と一緒に大洗の「新」の魅力を歴史ある「旧」の酒蔵から発信をしていく場として活用したいと考えられているそうです。

新たな「まちの居場所」として、この場所で文化を伝え発信し、新たな大洗の魅力を創造し、様々な人の交流の場とする。「文化創造交流拠点」として活用していきたいと目指すべき姿を語られておりました。

蔵で焚火を囲いながら、読書をしたり、
蔵の白い壁に映像を投影して映画鑑賞をしたり、
蔵を使って、自分たちの挑戦を発表する場をつくったり、
と既に挑戦もたくさんされています。

大里さんのお話を伺う中で、僕は心が震えました。
お酒造りは終わってしまったとしても、場として残しておくことが想いを受け継ぐこと!!
そんな想いを繋ぐ生き方を僕もしていきたいと、大里さんのお話を伺っているなかで強く感じました。

いま、僕自身が蔵を守るためにできることは何もないかもしれないですが、こうやって想いのある人を紹介させていただき、少しでもそれを知っていただく。日本酒やその地域、人に興味を持っていただく。そんなひとつのきっかけを創ることができればと感じているので、このnoteで紹介させて頂くという取り組みは継続していこうと思いました!!

自分の取り組みが、何に繋がるかはわからないですが、いつか何かに繋がることは確信できました。

大里さん、改めてではありますが、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。


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