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変化の時代を生きるための動的プロセス型キャリア開発論入門(4)

今回は『「働く居場所」の作り方』の第3章を扱います。テーマは人間力です。いやはや抽象的な言葉で掴みにくいですよね(笑)。私も学部時代には、否定はできないけれども「で、なにをすればいいの?」という疑問でいっぱいでした。それなりに職務経験を積んだいま、改めて本書を基に読み解いていきます。

まず、花田先生は人間力を、スタンフォード大のクランボルツ教授が提唱したプランドハプンスタンスを実践する力であると位置付けています。プランドハプンスタンスについては、第1章を扱った以下のブログに詳しいので興味がある方はご参照ください。

プランドハプンスタンスを基にして花田先生がまとめている6つの人間力がこちらです。

20190920花田キャリア論(2)キャリア自律とモティベーション開発.012

前提として押さえていただきたいことは、人間力とは、能力やスキルではなくメタなコンピタンシーであるということです。つまり、高い低いという問題ではなく、誰もが本来的に有しているものであり、自身が主体的に発揮しようとしているかどうかという意識の問題であるということです。

花田先生は、私が学部のゼミ生だった2001年〜2003年にも人間力を提唱していました。興味深いのは、当時と、本書における人間力に相違があることです。新たに加わった「1.能動的対処」と「3.オープンマインド」の二つが興味深いです。

1.能動的対処は、意識的に行動に移す、一歩踏み出してみるという能動性が大事であるということでしょう。言い方を変えれば、意識の重要性だけを指摘しても、人はなかなか前に動かないということなのではないでしょうか。だからこそ、現在の人間力の定義に1.能動的対処を加えたのだと考えます。

3.オープンマインドは、内的キャリアを固定的に捉えてしまわないように追加したのでしょう。成長感を得ようとしたり、仕事に意味や意義を見いだすことは内的キャリアの観点から大事なことであることは異論ありません。しかし、自分が考える成長や意味・意義を固定的に考えることは、目的合理的な逆算方式での行動に繋がりかねません。そこでこの3.オープンマインドが加わったのではないでしょうか。

20190920花田キャリア論(2)キャリア自律とモティベーション開発.014

人間力という概念は、何も仕事やキャリアのみに適用するものではありません。本書では、キャリアは生き方そのものであると捉えており、キャリアとライフとを分けて考えません。人間力を発揮するためには、ハウツー的な対応ではなく、マインドセットをまとめた心得を各個人が持ち、アップデートすることが重要なのでしょう。


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