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あらすじで読む『人材開発研究大全』〜第11章:OJTと社会化エージェント〜

第10章に続いてOJTがテーマになっています。従来のOJTがなぜ機能しなくなったのかという背景理解については、先日の第10章と重複するので割愛し、詳しく知りたい方は昨日のブログをご笑覧くださいませ。

また、OJTと共に組織社会化もテーマとなっています。拙ブログの紹介ばかりで恐縮ですが、組織社会化について気になる方は第9章のまとめをご参照ください。

OJTと組織社会化を繋ぐ本章で注目したいのは、新卒社員の社会化を促すOJTを複数の関係者で分有しながら行うことを説いている点です。職場という面での育成の重要性を指摘していると読めます。

では、新卒社員を対象とするOJTにおいて、誰がどのような役割を担うのでしょうか。

こちらの図を見ていただくと、部署内での面での育成という観点で、指導員・他者①・他者②が主要な関係者であることが分かります。それぞれのポイントを整理してみましょう。

<指導員>

OJT指導員は、自分自身だけで新卒社員への育成を担うのではなく、周囲と協働しながらOJTを行うというマインドセットを持つことがまず必要です。第10章で見たとおり、業務の複雑性が増しているために、先輩社員が「正解」を後輩社員に教えるというスタイルの指導には限界があります。多様な人々が、多様なフィードバックを後輩社員に対して行うことで、後輩社員の育成がすすむのが現状なのです。

しかしながら、多様なフィードバックをそのまま新卒社員が理解し受け止められるかは分かりません。そのため、指導員には、協力依頼を行った相手に対して、その他者が新卒社員に対してどのような関与を行っているかを配慮することが求められるのです。

<他者①:異質>

指導員とは異質なタイプであり、異なる関与を行う他者①による新卒社員への独自指導は、ともすると新卒社員の戸惑いを招く可能性があります。もし、新卒社員が混乱をきたしてしまいそうな時には、指導員と他者①とが話し合って状況を整理することも必要でしょう。

ではなぜ異質な他者①が必要なのでしょうか。それは、指導員とは異なる人々へのネットワークを持っており、それによって新卒社員の人脈拡大に繋がるからです。誰が何をしているのかを十分に理解していれば、業務の遂行にポジティヴな影響を与えるものです。社内外のネットワークを豊かにする存在は、新卒社員にとって大きなものでしょう。

<他者②:同質>

指導員と同質的なタイプの他者②は、新卒社員に対する関与によって、内省支援相談対応という二つの重要な役割を担います。指導員よりも新卒社員と年次の近い少し先輩がアサインされるケースをイメージされれば良いでしょう。

内省支援によって成長を促進し、気軽に相談に乗ることでガス抜きをして意欲をケアすることができるわけです。

<上司>

本章では具体的な記述がありませんので以下は拡大解釈となりますが、職場という面での育成を実現するキーパーソンは上司です。どのようなメンバーを指導員にアサインするのか、指導員が他の関係者に依頼しやすいように事前の声かけをしておくか。マネジャーが担う役割にも大きなものがあると考えます。


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