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あらすじで読む『サーベイ・フィードバック入門』〜第5章

第3章・第4章でサーベイの実施からフィードバックの実施に至る一連のプロセスを見てきました。第5章では、こうした一連のプロセスにおいて陥りやすい罠とそれに対する対応策が述べられます。もちろん企画時に読むのも良いですが、実際に実施してみて次に向けた改善を行う際の振り返りのポイントとして活用するのもオススメです。

陥りやすい8つの「病」とそれに対する処方箋が挙げられているのですが、、、8つは多くないでしょうか。というわけで僭越ながら三点に集約してラベリングしてみました。(中原先生、ごめんなさい。。。)

(1)フィードバックの質がサーベイ全体の質を規定する。
(2)他のデータと関連させて示唆を増やす努力が大事。
(3)慣れに気をつけながらサーベイを「健診」として習慣化。

(1)フィードバックの質がサーベイ全体の質を規定する。
   【対応する病:その1・その2・その5】

これまでの章でも繰り返し述べられていますが、サーベイの設計がどんなに優れていても、データは万能ではありません。サーベイを踏まえたフィードバック・ミーティングにおいていかに「ガチ対話」を実現できるかが重要です。

対話を促すためには、フィードバックを行う現場マネジャーは、サーベイ結果のどこにフォーカスするかの「決め」が大事になります。さらに言えば、現場マネジャーが「決め」をできるように、企画者としての人事部門が支援することが必要不可欠でしょう。

心したいことは、サーベイのやりっ放しはサーベイをやらないよりも悪いということです。社員は、多忙な中でサーベイに回答しています。それは上司なり人事なりのなんらかの強制によるものとも受け取られかねず、「調査とは暴力である」(Kindle ver No.2770)と中原先生が学生に指導されていることを私たちは噛みしめる必要があるでしょう。

(2)他のデータと関連させて示唆を増やす努力が大事。
   【対応する病:その3・その4】

まず企画や実施の担当者が心しなくてはならないことは、サーベイの結果だけで目からウロコが落ちるような発見は少ないという事実です。サーベイはそのあとのフィードバックにおける対話のきっかけを創るものであり、薄々気づいていたことを見える化する作用に過ぎないことを心に留めておくと良いでしょう。

こうした事実を踏まえた上で、いかにデータから得られるヒントを増やすかが大事です。その際には、様々な調査結果や社員に関するデータを組み合わせて妙味のある示唆を増やす努力をすることが企画担当部門には求められると言えるのではないでしょうか。

(3)慣れに気をつけながらサーベイを「健診」として習慣化。
   【対応する病:その6・その7・その8】

サーベイの実施とフィードバックの実施を一回行って成果が出たとしても、それで終わりにするとすぐに職場は元の状態に戻りかねません。組織には慣性の力学が生じるからです。いわば「健診」のように定期的に行うこと、つまりサーベイの実施と結果に基づいた対話を繰り返し変化を創ることを癖にすることが重要です。

しかし、何度もサーベイを行うと参加者には慣れが生じます。ネガティヴな印象を持たれることもあるでしょう。悪い印象が生まれる理由の一つは、フィードバックがなされなかったり充分でない時です。悪い意味での慣れを防ぐようにするには、地道に、工夫しながらフィードバックを行うことなのです。

他方で、健診のように定期的に行い、前後の変化に意識が向くと、数字への意識が強くなりすぎる可能性があります。そうした時には、データそのものではなく、対話に重きを置くという原理原則に立ち返りたいものです。


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