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『プラグマティズム古典集成』(植木豊編訳)を読んで(1)パースのプラグマティズム(デューイ)

最近あげてきたプラグマティズム関連の書籍は、こちらに至るまでの準備運動でした。だいぶ分厚い書籍なので、入門編を挟んでから挑もうと思った次第です。

この書籍を読もうとしていた頃に、東大・中原研究室のOBでいらっしゃる関根さんもブログで取り上げていらっしゃったので、コミュニケーションを取らさせていただきました。「まずは解題から読むべし」という非常にありがたいご助言を賜り、それに従って読み進めています。いや、ほんとに解題は分かりやすく、編訳者という存在はありがたいものです。

解題を読んでから本文を読むということを行なっているのですが、この本、章によっては、解題なしで読むのはほとんど不可能な気がします。解題を読んだ後でも、ダラダラと読んでいると「ちょっと何いってるか分からない」状態にすぐなるので要注意です。

第一章は、デューイがパースとジェイムズを比較しながらパースのプラグマティズムとはなんだったのか、を述べています。

プラグマティズム初心者として押さえておきたいと思ったことは、この三人の関係性です。思いっきり意訳すると、パースとジェイムズは友人関係でありほぼ同世代なのに対して、デューイはだいぶ若いです。(本書もそうですが)三人が並列で列挙されることも多いのですが、この点は頭に置いておいた方が良いでしょう。

まず三名に共通することは、プラグマティズムとは、観念の意味を未来の時点における行為の帰結から描き出すものとして捉えているという点です。現時点から将来を見通すのではなく、未来の時点から過去を振り返るという矢印であるということでしょう。

しかし相違もあります。パースがそうした意味合いを社会においてより一般的なものとして見出すのに対して、ジェイムズはより個別的なものと見做すという違いがあるようです。

デューイは、こうした二名の相違を踏まえた上で、反省的探究によって実在を見出すことを主張し、さらには一般性ではなく個別性に重きを置いてジェイムズ寄りの展開をしているようにも読めます。が、どうなのでしょうねー。

おまけ(1)オーソドックスなプログマティズム入門書

哲学系の入門書となると、安定の「仲正本」だと個人的には思っています。中にはわかりづらい書籍もあるのですが、以下はわりとわかりやすい感じでした。

おまけ(2)マニアックなプラグマティズム入門書

漱石が好きで好きでしようがないというごく一部のマニアックな方には、以下の書籍を激奨します。漱石作品に馴染みがあれば、ジェイムズのプラグマティズムについてイメージがわきやすいです。


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