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あらすじで読む『人材開発研究大全』〜第24章:降格人事と上司の管理行動〜

降格人事という現象は、ベンチャーや外資では当たり前に行われ、中規模以上の日本企業ではあまり見られないものという印象です。Pay for Performanceをネガティヴな評価に対しても徹底するかどうかによって、その頻度が異なるように感じます。

さらに踏み込んで書くと色々と勘繰られそうなので前置きはこれくらいにして、ポイントを見ていきましょう。

(1)なぜ降格人事は上司に負担を生じさせるのか
(2)降格対象者は環境変化を理解しているのに言動を変化させない
(3)上司は降格通告後の日々の継続的なフィードバックを行うこと

(1)なぜ降格人事は上司に負担を生じさせるのか

他者に対してネガティヴな評価を伝えることは誰にとっても精神的な苦痛を伴うことが多いものです。これは管理職も同様でしょう。とりわけ降格という評価結果を伝えることは管理職にとって苦しいものと言えるでしょう。

さらに、降格を伝えた相手にその後の業績改善を促しつつモティベーションもケアしながら働いてもらうことを上司は行わなくてはなりません。つまり、厳しい結果を通知しながらその後も動機付けして働いてもらうというアンビバレントな対応が求められることが上司に負担を生じさせると言えるでしょう。

こうしたアンビバレンスを踏まえて、本章では、降格人事における上司によるフィードバックに着目して考察が進められます。

(2)降格対象者は環境変化を理解しているのに言動を変化させない

降格を伝えられる側である降格対象者の特徴を本章では述べられています。その中で注目すべきものは、降格対象者は、環境変化を察知しているにも関わらず環境変化に対して意識や行動を変えていないという点です。頭では分かっているのに行動に移さないという、俗に言えば評論家的な態度・行動が降格対象者の特徴とも言えるでしょう。

こうした評論家タイプをイメージすれば、降格通告時に課題の伝達を重視したフィードバックを行うことは有効でなく、モティベーション低下につながるという本章での調査結果を理解することは容易なのではないでしょうか。だって本人たちは頭ではわかってはいるのですから。

(3)上司は降格通告後の日々の継続的なフィードバックを行うこと

では、どうすればいいのでしょうか。もちろん、降格通告時に課題を伝達することは必要でしょう。しかし、むしろその後の日常の業務の中で継続的にフィードバックを行い続けることが有効であるというのがもう一つのポイントです。実際、降格通告後の日々の継続的なフィードバックは、降格対象者のパフォーマンス向上に優位な効果を示しています。

具体的には、仕事の振り返りを促して学びを引き出すこと、会社として期待する役割・目標を正しく理解させること、役割・目標を達成するために何をすれば良いのか具体的にアドバイスすること、が有効なフィードバックとして例示されています。


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