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あらすじで読む『サーベイ・フィードバック入門』〜第4章

第3章ではサーベイを行う際のポイントを見てきました。第4章ではその後のステップ、すなわちどのようにフィードバックするか、もっと具体的にいえばフィードバック・ミーティングの実施について取り上げられています。

サーベイの音頭をとるのが人事であろうと、外部コンサルを活用しようと、ほとんどのケースにおいて現場でファシリテーションを行う主体は現場マネジャーです。だからこそ、人事は現場マネジャーと事前から事後にかけて連携する必要があります。そうでないと、どんなに優れたデザインのサーベイであっても絵に描いた餅になります。

本章では、フィードバックを行うマネジャー向けに6つのステップが提示されます。さらにまとめて、三つに分けて展開しましょう。

(1)目的を説明する
(2)マネジャーが提示すること
(3)メンバーを巻き込む発散と収束

(1)目的を説明する

何をどのようにフィードバックするかも大事です。しかし、誰にフィードバックするか、誰と対話するかの方が大事だと著者は指摘します。そこでポイントとしては「関係者を一堂に集めて、目的を共有する」(Kindle ver No.2017)ことが重要になります。現場が忙しい場合には分割して実施することもあり得るでしょうが、全員が同じ認識を持ち同じ絵姿を描くためには一堂に集まることが重要なのです。

具体的に説明する際のTipsとしては、以下の五つのステップ(Kindle ver No.2064)が参考になるでしょう。

①ねぎらいと感謝
②目的の説明
③スケジュールの説明
④各人へのメリットの説明
⑤ねぎらいと感謝(再)

(2)マネジャーが提示すること

現場でのセッションをファシリテートするためにマネジャーが提示するものには、グラウンドルールの提示データの提示の二つが挙げられています。

なぜ、グラウンドルールを提示するのでしょうか?ルールによってがんじがらめにするのが趣旨ではなく、全員が意見を言いやすくすることがその目的です。最近の流行り言葉でいえば心理的安全性を担保するためと言えます。

但し、本書でも指摘されている通り、心理的安全性は、忌憚なく意見を言い合える関係性を作ることが目的であり、馴れ合いの仲良しクラブを作ることが目的ではないことに留意が必要でしょう。

データを提示する際には、分析された詳細なデータを事細かく伝えるのではなく、焦点を絞ってストーリーとして語ることが求められます。ベンチマークと比較することで客観性を持たせることもできます。

また、メンバーに意見を言ってもらうことが大事ではありますが、マネジャー自身がある程度は自己の意見を提示することも有効です。その際には、適度にデータをけなすことで場を緩めることも効果的と言えます。

(3)メンバーを巻き込む発散と収束

メンバーを巻き込み、対話を促して現場での事後の行動に促すためには、発散と収束のプロセスを踏むことが必要です。各人のデータに対する解釈は多様です。そうした様々な見方を価値判断することなく掬い上げていくことが発散の段階では求められます。対話が停滞する際には「「メンバーの感情」を聞いてみると、突破口が開けること」(Kindle ver No.2384)があるというTipsもぜひ試してみたいものです。

発散の後には収束のプロセスへと移行します。収束の際には、現在に対する価値判断ではなく未来の理想像を語り、収斂させていくことが重要です。その際には、性急に進めようとせずに、各人の認識にズレがあると感じたらそれを場に出し、丁寧に全員の意識を合わせて一つの絵にしていきます。

あるべき姿やビジョンを出すことで終わってしまうと、翌日からの行動に移ることができません。ではどのようなアクションプランにすれば良いのでしょうか。

 アクションプランとは、「他人ごと」ではなく、「自分ごと」でなければなりません。
 アクションプランとは、「願望」ではなく「行為」です。
 アクションプランとは、「翌週月曜から実行できる目標をつくること」です。
(Kindle ver No.2445)

三つのポイントを意識して、収束した内容を行動に落とし込むことが大事であり、それとともに地道なフォローアップをし続けることが求められるのです。


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