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あらすじで読む『人材開発研究大全』〜第20章:女性管理職の育成〜

管理職育成が課題であることを第19章で見てきましたが、その中でも女性管理職の育成も社会的課題です。働く女性の視点に立っても、出産を経験した女性を対象とした厚生労働省の調査によれば、出産前よりも出産後の方が就労意欲が高いそうです。

女性側も企業側も、女性が働き(女性を雇用し)続けることを求めているのに女性管理職の比率がなかなか向上しません。この課題の背景と処方箋について本章では扱っています。ポイントを中心に見ていきましょう。

(1)女性の意識の低さは個人要因よりも環境要因に因るものが大きい
(2)両立支援施策のポイントは柔軟な働き方を支援すること
(3)育成支援施策には制約を前提とした施策とロールモデルが大事

(1)女性の意識の低さは個人要因よりも環境要因に因るものが大きい

まず理解しなければならないことは、女性が管理職への昇格に対する意欲が下がってしまう多くのケースは結果として生じるものであり、その原因は個人要因ではなく環境要因に因るものが大きいという事実です。

具体的には、子育てとの両立ができる働き方ができないという職場の要因があります。そのため、正社員としての働き方ができないと思って管理職への登用に対する自信が低下し、場合によっては離職に至ってしまうという状況です。

では、働く環境をどのように整備することが求められるのでしょうか。

(2)両立支援施策のポイントは柔軟な働き方を支援すること

管理職へと登用されるようになるためには、男性であれ女性であれ、業務経験を通じた成長です。業務経験を積むためには離職せずに働き続けられる環境を整備することが必要です。そのためのポイントが柔軟な働き方を支援することでしょう。

もちろん、託児所の設置や育児休業といった制度の充実という外的な環境整備も有効でしょう。しかし、外的な環境整備と比較して、職場や働き方の柔軟性の方が、女性の労働力参加率および出生率の向上に二倍以上の影響があります。

(3)育成支援施策には制約を前提とした施策とロールモデルが大事

人事制度の整備をさらに深掘りすると、制約を前提とした施策を確立することが必要です。これは、女性だけに限らず、介護が社会問題化する中で重要な施策となるでしょうし、旧来の正社員の働き方を前提としないあり方を提供することが重要でしょう。

育成プロセスという観点では、女性管理職およびそこに至るプロセスを魅力的にすることでしょう。現在の女性管理職をロールモデルにすることには、当人が感じるプレッシャーを考慮する必要はありますが、ロールモデルの存在が次に続く候補者たちにとっては有効と言えます。


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