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あらすじで読む『サーベイ・フィードバック入門』〜第2章

第2章ではサーベイ・フィードバックを支える基本的な考え方について扱われます。ポイントから見ていきましょう。

(1)データの重要性に改めて着目せよ。
(2)「見える化」は「言える化」を促す。
(3)多様な職場でのリーダーこそサーベイ・フィードバックを。

(1)データの重要性に改めて着目せよ。

第1章ではデータ自体は解決策を導き出すことができないというデータの制約について学びました。しかし、データには意味がないということを言っているわけでは全くありません。思い出してください。データを扱うための工学的アプローチとして、インプット・スループット・アウトプットが挙げられていました。データを活用するために重要なスループットに注目しましょう。

データや数字の持つ意義は、「個人の恣意性を超えた「信頼できるメディア」」(Kindle ver No.1115)という特性にあります。つまり、職場で起きている事象をデータによって外在化することで、私たちは、個人を指弾するのではなく、データに対してチームとして共同して向き合うことができます。

データに向き合う際に重要なことは、社内にある様々なデータを組み合わせることも挙げられます。各部門が自身の役割に応じて調査を行うことは重要です。しかし、それが統合されていなければもったいない。調査を行う担当者は、自社内にある他のデータとの組み合わせに注目する癖付けを行うことがスループットの成果を高めると言えるでしょう。

(2)「見える化」は「言える化」を促す。

スループットにおいて職場の状況を見える化するメリットについてはお分かりいただけたでしょう。見える化することで個人の問題ではなく組織の問題、すなわちみんなの問題でありみんなが当事者であることを共通して思い描くことができます。

その結果、みんなでデータについてああでもないこうでもないと本音を客観的に言い合うという「言える化」(Kindle ver No.1284)が促されます。ある個人に関するデータではなく、職場に関するデータですから、人の批判にはならず、ある意味では気楽に話し合える効果をもたらすわけです。(1)と(2)のステップをまとめると以下のようになります。

問題をいったん外在化する
半身の当事者性で、まずはデータに向き合う
半身の当事者性で、その後、自分たちに向き合う(Kindel ver No.1358)

この「半身の当事者性」に言葉の妙を感じます。第三者的に気軽に意見を言い合いながらも、当事者意識を放棄せずに頭の片隅に置きながら現状の課題と解決策を対話できるという点にサーベイ・フィードバックのスループットの価値があると言えそうです。

(3)多様な職場でのリーダーこそサーベイ・フィードバックを。

ではこうした「見える化」と「言える化」の往還を誰が担うのでしょうか。第1章では問題解決の主体は現場にあることを見ました。現場の多様性に向き合うためには、現場のリーダーが多様なメンバーを巻き込みながら影響を与えることが求められるのです。

職場やチームが「何らかの課題」を抱えてしまったとき、その課題を、安易に個人のせいにするのではなく、組織の仕組みや人間関係など、職場を規定するなんらかの構造に求めようとする知的態度が、これからの組織をリードする次世代のリーダーにとっては重要です。(Kindle ver No. 1372)

現場のリーダーが直面する現実に即した厳しい指摘です。さらに言えば、そうしたリーダーが孤立しないように支援することが、人事部門には求められていると言えるのではないでしょうか。


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