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パリピ孔明 Road to Summer Sonia

実写テレビドラマ版「パリピ孔明」は日本のキー局のテレビドラマにしては珍しいショボさをあまり感じさせない作品だった。勿論、海外ドラマに比べると安っぽいし、国産でもNHKやWOWOWのドラマ、Netflixの配信ドラマに比べるとスケールの小ささは感じずにはいられなかったが。

そして、そのドラマの最終回でテレビアニメ版の総集編映画が公開されることが告知された。

テレビアニメ版は1話も見たことがないが、ドラマ版が意外と面白かったので、今回、この総集編アニメ映画を見ることにした。



そもそも、アニメ版は30分枠の全12話、ドラマ版は1時間枠の全10話(初回は拡大枠、スピンオフドラマもあり)の構成と語れる分量に差がありすぎる。元々、アニメ版はダイジェスト版のような構成にならざるを得なかった。それを2時間の総集編映画にまとめたのだから物足りないと感じるのは当たり前だ。

端折った部分の展開をナレーションで説明するというのはテレビ放送時に進行が間に合わなかったりして穴埋め的にやる総集編ならまだしも、いくら総集編とはいえ、劇場で公開する映画としてはやってはいけないことだと思う。
まぁ、ストーリー的にいずれかのエピソードをバッサリ切ると話がつながらなくなるからこういう構成にしたのだろうが、だったら、前後編にして、孔明の実力が認知されるまでを描いた前編と、英子と七海の関係を中心にした後編みたいな構成にすれば良かったのにと思う。

この1本にまとめた総集編映画だと、人気アーティストのミアや孔明の密偵が単なるモブキャラになってしまっているしね。

というか、アニメ版は音楽フェス「Summer Sonia」出演が決まったところで終わっているが、ドラマ版ではその後の様々な試練や英子個人の成長、さらにはSummer Soniaのステージまでが描かれている。ストーリーの区切りという点でもドラマ版の方がしっくり来ると思う。



もっとも、アニメ版の方がしっくり来る点もある。それは、ヒロイン英子の描写だ。
ドラマ版では上白石萌歌をキャスティングした都合でそうなったのかも知れないが、ギター女子とかシンガーソングライターみたいな存在になっていた。

でも、米国の歌姫・マリアや日本の人気アーティスト・ミアに憧れているところを見るとR&Bとかクラブ・ミュージックの方が英子の本来のジャンルに近いと思う。実際、彼女がバイト兼シンガーとして所属しているクラブはラップのMCバトルをやるようなところだ。だから、アニメ版では英子が色々な場でカバー曲を披露しても違和感がないんだけれど、ギター女子・シンガーソングライターとして描かれているドラマ版では違和感しかない。

ストーリー面で評価している人はドラマ版の方が面白いと言うし、音楽面で評価している人はアニメ版の方が出来が良いと思っているのではないだろうか。



ただ、この総集編映画、作品の舞台となっている渋谷で見たがガラガラだった。
ドラマ版は今後、続編もしくはスペシャルドラマ、劇場版のいずれかが作られる可能性はあるかも知れないが、アニメ版の2期や総集編でない劇場版というのはこの総集編映画の入りを見ると難しそうな気がする。


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