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雄獅少年/ライオン少年(字幕版)

本作は2022年に「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」の邦題で字幕版のみが上映されている。グランドシネマサンシャインという一般の劇場で上映されているとはいえ、「電影祭」という特集上映イベントでの不定期な上映だから、これをもって一般公開済みの作品とすべきか否かは非常に迷うところだ。

ただ、ヒューマントラストシネマ渋谷で開催している「未体験ゾーンの映画たち」やシネマカリテの「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション」、テアトル新宿の「OP PICTURES+」、K's cinemaの「MOOSIC LAB」といった特集上映で上映された作品は映画祭上映作品ではなく、新作映画として扱われることが多いので、「電影祭」で日本初上映となった作品も新作とみなして良いということなのだろうか?

ただ、話をややこしくしている事情もある。それは今回、日本語吹替版が作られ「雄獅少年/ライオン少年」という邦題で上映されることになったからだ。というか、ここまでならどうということはない。

「羅小黒戦記」は2019年に字幕版が限定上映され、密かなブーム化してロングラン上映となった。その人気を受けて2020年には吹替版が全国公開され、その際は「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」というサブタイトル付きの邦題に変更されていた。限定上映や映画祭で上映された作品が一般公開の際に改題されるのはよくあることだしね。

ただ、この時はあくまで吹替版で上映することが目的だったので字幕版を吹替版と同時に上映することはなく、それを見たい人はドリパス上映などの限定的な場を選ぶしかなかった。そして、字幕版の邦題表記は変わらずサブタイトルのないものとなっていた。

ところが今回、「雄獅少年/ライオン少年」という邦題で全国公開されることになった本作は(「羅小黒」より小規模だが)、吹替版で上映することが主たる目的ではあるものの、字幕版も同時に上映することになった。そして、その字幕版の邦題は特集上映時の「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」ではなく、吹替版と同じ「雄獅少年/ライオン少年」となっている。

「羅小黒」の時は、単なるサブタイトルを追加しただけだから、あくまでも初公開は2019年の限定上映でいいよねとなるが、今回は元々あったサブタイトルを別のものにするというか、削除して、メインタイトルだった「雄獅少年」の表記をポスターなどでは小さくし(頭に来るのは変わらないが)、それを言い換えたような「ライオン少年」の方がメインタイトルとなっているように見える。

こうなってくると、「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」としての字幕版上映はあくまでも有料試写会的なものと扱って欲しいということなのだろうか?

「羅小黒」や、吹替版による全国公開の際には限定上映時と邦題は変わっていなかった「白蛇:縁起」のように、全国公開時は吹替版しか上映しないというやり方なら話はややこしくならなかったのになと思った。

そして今回、「雄獅少年/ライオン少年」表記で公開されてからもしばらくは字幕版は夜1回の上映になっていたが、今週末から午前中に1回というスケジュールに変わったので見に行くことにした。レイトショーのみならいいやって思っていたところだしね。

ハリウッド製CGアニメーション映画よりも優れているのではと言いたくなるほどモブキャラまで含めてよく動くキャラや実写のような背景には感心した。でも、本作って技術的な面ではないところで評価されているような気がする。

基本的なストーリーは典型的な負け組集団によるスポ根ものだからね。要は「メジャーリーグ」や「少林サッカー」などと同じ。
そして、そうしたジャンルの作品によくあることだが、本作もご都合主義満載だし、ツッコミどころだらけだ。

でも、笑えるし泣ける。しかも、画もよく動くんだからアニメーションとしては上出来でしょ。

というか、これって、70〜80年代の日本の少年漫画と、同じくこの時代の香港映画でよく見掛けるような設定やストーリー展開を切り貼りしただけの作品なんだけれどね。

でも、それでいいんだよ。決してゼロではないけれど、権力側のプロパガンダもそれとは真逆の過度なポリコレもそんなに感じずに見ることができるしね。

ぶっちゃけ、「羅小黒」より面白いと思う。というか、ここ数年でちょくちょく公開されるようになった中国アニメーション映画の中でも一、二を争う面白さだったと思う(そんなに威張るほど見てはいないが)。

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