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劇場版 異世界かるてっと ~あなざーわーるど~

異世界転生・転移系の作品、いわゆるなろう系のブームというのは終わりそうで終わらない。というか、完全に定着している。自分はそんなにこのジャンルに興味はないけれど、毎クール、何だかんだ言って、この手のテレビアニメが放送されている。

また、人気アニメのキャラクターをプチキャラ化したアニメというのもよく作られている。大抵は15分以下の放送枠のミニアニメ(ショートアニメ)で、中にはバラエティ番組のワンコーナーとして放送されたものもある。最近、自分が見たものだと(といっても去年だが)、「ぷっちみく♪ D4DJ Petit Mix」なんていうのがあった。

さらに、大抵は単発企画だし、本数は多くはないが、複数の作品の世界観を共有したクロスオーバー作品というのもある。アニメでいえば、テレビスペシャルと劇場版が作られた「ルパン三世VS名探偵コナン」なんかが代表作だろうか。
アニメに限定しなければ、東映の特撮もの(「仮面ライダー」シリーズや「戦隊」シリーズ)の劇場版にはこの手の作品が多いし、最近のハリウッドのアメコミ原作映画なんかはほとんどがこの手法の作品だ。

そして、複数のなろう系アニメをクロスオーバーさせ、プチキャラ化したのが、「異世界かるてっと」というコンテンツだ。

プチキャラ化作品やクロスオーバー作品というのはイチゲンに取ってはハードルが高い。

プチキャラアニメのほとんどがミニアニメ(ショートアニメ)なのは、オリジナルを知っている人が見ることを前提に特典映像のようなものとして割り切って作られているからだと思う。

日本でアメコミ映画の興行成績が海外ほど盛り上がらないのは、クロスオーバーされた個々のキャラの知名度が低いことが最大の要因だと思う。「ドクター・ストレンジ」の最新映画がそれほど日本では盛り上がらないのは、ディズニープラスでしか見られない配信ドラマとリンクした要素が多すぎることが最大の理由だと思う。

それから、最近の「仮面ライダー」や「戦隊」、「プリキュア」の劇場版がかつてほど好成績をあげられないのは、最新シリーズのファンのみならず、過去シリーズのファンをも取り込もうとクロスオーバー要素を強めた結果、最新シリーズのファンがついていけなくなっているせいだと思うしね。

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なので、プチキャラアニメでクロスオーバー作品でもある本作を自分のように個々の作品に対する興味が薄い者が見てしまっていいのだろうかという思いもあったりする。

というか、本作を見た理由は雨宮天が出ているからという理由だけだからね。一応、TrySailのファンなので、メンバーが出ている劇場アニメは可能な限り、映画館で見ることにしている(それでも見逃すことはあるが)。

とはいえ、テレビアニメの方の出演作はそこまで熱心にチェックしていないので(というか見る時間がない)、本作のようにテレビシリーズは見ていないけれど、劇場版は見てしまうという作品も出てきてしまう。

そんなわけで、「異世界かるてっと」のテレビアニメ版やその基となった5つの異世界ものアニメのどれも見ておらず、原作も読んでいない状態で本作を見ることになった。前述したTrySail的理由で「この素晴らしい世界に祝福を!」の劇場版だけは見ているけれど…。

登場人物が多すぎて、それぞれのキャラクターの立ち位置やそのキャラクターが本来属している作品の世界観は何となくでしか理解できなかった。
それに、「異世界かるてっと」というアニメはミニアニメ(ショートアニメ)だから、それを約1時間50分もある長編作品にするのは無理があると思った。どうしても、間延びしているように感じてあきるんだよね。

というか、プチキャラ化された登場人物をそんなに長い時間見ているのって疲れる…。こういうのは、15分以内の短い尺だから見られるんだよね。劇場用にスケールアップしたとしても、イベント上映作品レベルの尺(1時間を超えるか超えないか)くらいで良かったような気もする。

まぁ、笑えるシーンも感動できるシーンもあるんだけれどね…。

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あと、結構、反戦のメッセージが込められいて驚いた…。
なろう系の作品って、第2次世界大戦で日本が負けなかったら、ドイツが負けなかったら、みたいな世界線を描いたものが多い。あるいは、直接、日本やドイツの名前は出てこなくても連想させる組織が出てくることが目立つ。

そういう内容だから、当然、作者も読者もネトウヨ思想に毒されてしまっていることがほとんどだ。
でも、本作でははっきりと、非人道的な戦争をすることに対して、“NO!”が突きつけられていた。そのことに驚いてしまった。当然、ウクライナ情勢が深刻化している今のご時世と照らし合わせて見てしまう…。

それだけに、間延びしたような印象を与えてしまうのは残念なんだよね…。

この内容なら、プチキャラではなく本来の個々の作品におけるキャラデザで、各作品がクロスオーバーするという内容で作った方が良かったのではないかと思った。

というか、何度か“アッセンブル”という台詞が出てきたが、それって、絶対、「アベンジャーズ」を意識しているよね?パクリなのか、パロディなのか、オマージュなのかは知らないけれどね。

それから、サブタイトルの「あなざーわーるど」って、よく考えたら、メインタイトルに含まれる「異世界」と同じじゃん!まぁ、海外作品の邦題をつける時に「DUNE/デューン 砂の惑星」みたいにするのと同じか…。

それにしても、水瀬いのりは最近、劇場用アニメにやたらと出ているな…。今週公開作品では本作と「からかい上手の高木さん」。そして、一足先に公開がスタートしている作品では「五等分の花嫁」。いずれもテレビアニメの劇場版だけれど、それだけ、人気テレビアニメへの出演が多く、彼女自身に人気があるから人気が出そうなテレビアニメにキャスティングされやすいってことなんだろうね。まぁ、「高木さん」で演じた役には驚いたけれどね!アイドル的人気を誇る声優に、鳴き声しか出さない猫の役を演じさせるんだからね…。

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