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My Favorite Movies 2022上半期

去年の上半期時点での新作映画の鑑賞本数は75本だった。今年の同期間は76本なので、ほぼ同レベルと言っていいと思う。
イベント上映作品や、舞台やライブなどを収録した映像作品、一般公開はされてはいないものの映画祭やイベントなどで上映された作品も新作としているので、中にはキネマ旬報などの規定では映画に含まれないものもカウントしている。

そんな76本の中から自分が選んだ2022年上半期のフェイバリット作品(ベストと呼ぶのはなんだかなという気もする)は以下の通り。


《洋画トップ5》
①無聲 The Silent Forest
②クライ・マッチョ
③ベルファスト
④Coda コーダ あいのうた
⑤ウエスト・サイド・ストーリー

別に「クライ・マッチョ」を1位にしてもいいんだけれど、何故かネット民には不評なんだよね…。
そういえば、最近、クリント・イーストウッド監督作品って、日本では第1四半期に公開されることが多い…。2018年以降21年以外は毎年この時期に日本公開されている。そして、そのたびに自分は上半期ランキングの上位に入れている気がする。

同様にアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の主要部門の受賞・ノミネート作品が多いのも上半期ランキングの特徴。賞レース向きの作品の日本公開は本国から遅れて上半期というのが定石だからね。

個人的には、配信映画初のアカデミー作品賞受賞作となった「Coda コーダ あいのうた」よりも、朝ドラを金をかけて映画化したような内容の「ベルファスト」の方が好みだった。

ところで、「Coda コーダ あいのうた」というダサい邦題って、やっぱり、“Coda→倖田→愛のうた”という連想ゲームが繰り広げられたのかな?とはいえ、そのまま、“愛のうた”というサブタイトルにすると、倖田來未関連の各所からクレームが来るから、“愛”をひらがな表記の“あい”に変えたって感じなのかな?

それから、最近、Netflixのリストラが話題になっているけれど、それって、「Coda」の作品賞受賞の影響も大きいと個人的には思う。
経済ニュース系の人は、コロナの感染が落ち着き自粛モードではなくなったので、家で配信を見る人が減ったとか、高インフレのため家計を見直す必要が出てきて、決して安くはないネトフリの料金を払うことを消費者が勿体ないと思うようになったみたいな分析をしがちだ。

勿論、それは事実なんだけれど、“映画会社”としてのネトフリの視点で考えれば、あれだけ、露骨な賞レースに向けたキャンペーンを行い、2018年度以降4年連続でアカデミー作品賞候補を生み出し、19年度以降は毎回複数作品がノミネートされているのに、史上初の配信映画で作品賞を受賞したのはアップル作品の「Coda」になってしまったってのはショックだと思うしね。

最近、ネトフリで製作する予定だった作品のキャンセルが発表されたのはおそらく、リストラの影響だとは思うが、その流れで、いかにも賞レース向けの作品のリリースも今後は控えるようになるんじゃないかなという気もする。結局、ネトフリで話題になるのって、韓流ドラマばかりだし、日本だと、それにプラスして国産アニメが見られているだけだしね。しかも、ネトフリのオリジナルではなく、テレビ放送もしているアニメ。

そんなわけで、毎年のように常連になっているイーストウッド作品、賞レース絡みの作品以外で選ぶと、やっぱり、上半期で一番インパクトがあったのは台湾映画「無聲 The Silent Forest」ってことになるのかな。台湾映画というと、ノスタルジックな作品とか、ロマンティックなもののイメージが強いけれど、時々、こういう強烈な作品が出てくるんだよね。

障害者を描いた作品でありながら性犯罪もので、被害者も加害者も障害者。さらに、被害者が別の場面では加害者にもなるという、本当、救いようのない作品で、しかも、実話が基になっているっていうんだからね…。

イーストウッド監督作品「ミスティック・リバー」も霞んでしまうほどの後味の悪さだしね…。

当然、そんな内容だから被害者の描写を見て性的な興奮を覚えるなんてのは非人道の極みなんだけれど、レイプされるヒロイン役が可愛いんだよね…。

本当、困った映画だ。

《邦画トップ5》
①クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝
②愛なのに
③流浪の月
④死刑にいたる病
⑤シン・ウルトラマン

洋画とは逆に邦画には名作・傑作と呼べる作品が少ないというのも上半期ではよくあることだ。
それはおそらく、国内賞レースを意識した作品の公開が下半期に集中していることが最大の要因だと思う。
そして、シネコン時代になって閑散期というのはなくなったのにもかかわらず、日本映画界は相変わらず夏休み映画(7月・8月公開)と正月映画(12月公開)という、ほとんど死語と化した言葉にとらわれて、この時期に大作・自信作を公開するから(例外も増えたが)、結局、上半期の時点だとアニメやミニシアター系作品がランキングに入りやすくなってしまうんだよね。

そんなわけで1位は久々にGW公開に戻った劇場版「クレしん」の最新作。川栄は実写のみならず、声優でも良い演技を披露してくれるというのを改めて実感した。

2〜4位は、いかにも邦キチが好きそうな作品だよね。邦キチって、洋画、特にハリウッド映画に関しては、ボロクソ言うくせに、邦画に関しては甘々なんだよね。
さらに言うと、ミニシアター系邦キチというのはもっと厄介だ。邦画でも、東宝・東映・松竹の大手3社の作品やアニメはボロクソ言うのに、ミニシアター系作品に関しては、大絶賛する勢力がいる。こういう連中が今年上半期に最もマンセーした作品と言っていいのが、「愛なのに」だと思う。

公開規模やヒットの度合いは全然違うけれど、「愛なのに」も「流浪の月」も「死刑にいたる病」も最近の欧米エンタメのポリコレ感覚で見れば、エロやグロの描写でNGを出される作品だと思う。いずれもロリ要素があるしね。その時点で欧米では評価されないよね。

まぁ、「死刑にいたる病」のような社会派邦画好きにしかアピールしないような作品が興収10億円を突破したことは評価していいとは思う。
それって、コロナで離れていた中高年が映画館に戻ってきたということでもあるし、それと同時に、テレビドラマやテレビアニメの劇場版ではないのにもかかわらず、若者が見に来てくれたということでもあるしね。

欧米ポリコレ観点でNGとされるのは、「シン・ウルトラマン」もそうだね。
長澤まさみをローアングルで撮って、スカートの中が見えそうで見えないみたいなのがあったり、長澤まさみを巨大化させて街中で暴れさせたり(当然、スカートの中が気になるわけだが)と長澤まさみを性の対象として描くとともに、その長澤まさみ演じるキャラが男女問わず、相手の尻を叩きまくるセクハラ三昧の人物だったりもするし、本当、欧米のリベラル系映画人からは酷評されそうな描写のオンパレードだった。長澤まさみって名前を出し過ぎたかな…。

《ワースト》
劇場版IDOL舞SHOW

ワースト作品はランキング化せず、特筆すべき作品のみを言及することにしているが、上半期にダントツで酷かったのはこの作品!

KINENOTEにこの作品が登録されていないのであれば、キネマ旬報が映画として認めていないということだから、別にワースト映画に選ぶことはしない。でも、登録されている以上は映画として評価せざるを得ないからね。そしたら、これは酷評しかできない。

1時間4分しか上映時間がないのにエンドロールはそこそこの尺がある。曲を聞かせたいからエンドロールを長くしているのだろうが、内容のない作品だから、そんなにスタッフ・キャストは多くない。だから、文字はスカスカでゆったり流れる。しかも、アニメなのに、アイドルものなのに、エンドロールは黒味ベースに文字がスクロールするだけ。

まぁ、エンドロールくらいはどうでもいい。

本編が酷いんだよね。
YouTubeで配信されているアニメの新番組のプロモーション・ビデオのようなダイジェスト感満載のアニメパートと、そのアニメに出てくるアイドルグループの声と歌を担当する声優がリアルの世界で行った配信ライブパートの2部構成というのが意味不明。エンドロールを含めて、かろうじて1時間を超えている作品なのに…。

しかも、アニメ部分は説明台詞だらけなのに、肝心なことは語らないし、話も連載が打ち切られた少年漫画みたいな尻切れとんぼな終わり方だし、設定は他のアイドルアニメで見たようなものを継ぎ接ぎしただけだし。

そして、配信ライブ部分も配信した映像を編集しただけだから、映像的なクオリティが低い。

これで、1900円も入場料を取ることが信じられない!しかも、学生料金とか小人料金もない均一料金なんだからね…。

ふざけんなって思う。

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