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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-

最近、アニメのリメイク作品が増えている。その背景には色々な思惑があると思う。

オリジナル版を見ていた層とリアルタイムで知らない層の両方にアピールできる手っ取り早いコンテンツであるというのが最大の要因だろう。

その一方で、クリエイティブ面での狙いもあると思う。

かつてのアニメ、特に少年誌掲載漫画のアニメ化作品というのは、人気があれば長期間放送するのが当たり前だったが、今は1クール、長くても2クールで放送を終え、それが好評だったら、2期、3期…という形で続編を放送するという形式になっている。

かつての放送形態だと、あっという間に原作の最新エピソードに追いついてしまうため、無理矢理、話を引き延ばしたり、原作にないアニメオリジナルのエピソードを挿入したりして、何とか原作に追いつかないようにしていた。

でも、こういう引き延ばしやアニオリというのは大抵、原作ファンには不評だ。

現在の放送形態なら、1クールなり2クールなりで区切りのいいところまで描けばいいわけだから、余計な引き延ばしやアニオリをはさむ必要がない。なので、ストーリー展開もテンポ良く進む。

また、かつての少年漫画を原作としたアニメというのは子どもやファミリー層が見る夕方からゴールデンタイムの放送が主流だったが、今は深夜アニメとして放送されるものの方が圧倒的に多い。

夕方やゴールデンだと、暴力や性に関する描写は抑えなくてはならないが、深夜アニメならある程度の自由度は増すので、原作で描かれていた雰囲気を尊重してアニメ化できるというメリットもある。

まぁ、アニメ化したいと思うような原作コミックのほとんどが手をつけられてしまっているので(何しろ、1クールや2クールで終わるものが多いため放送されるアニメの本数自体もかなりの数になっている)、オールドファンには懐かしのコンテンツだが、若年層には新しい作品として見てもらえるリメイクに手を出そうとなるのも分からないでもないが。

本作もそうした様々な思惑が重なりあって作られたものだと思う。

オリジナル版はたまにしか見ていなかったし、しかも、ながら見だったから偉そうなことは言えないが、それでも、本作はオリジナルのファンにも新規にも対応した丁寧な作品であることはよく分かった。

同じノイタミナ枠で放送のリメイク版「うる星やつら」は正直言って、両方の層にアピールするのは失敗している感があるので、本作はその辺はうまくやっていると思う。

それから、ゴールデン枠でなく深夜枠だからこそ、シリアスなエピソードやちょっと残虐な場面もきちんと描けたというのはあったのではないかと思うし、テンポも悪くなかった。

幅広い役柄を演じられる高橋李依をヒロイン役にしたことも、Ayaseから東京スカパラダイスオーケストラまで幅広いタイプのアーティストをオープニングやエンディング曲に起用したことも作品の出来を向上させるのに貢献したと思う。

全体的にはかなり成功したリメイク作品だと思う。まぁ、いかにも続きがありますよという終わり方はどうかと思うけれど、普通に考えたら、るろ剣のリメイクがたったの24話で終わるわけがないんだから、そこは大目に見てもいいと思う。

それにしても、高橋李依って、演じる役ごとにイメージが違うよね。同時期に放送されていた作品でいえば、「カノジョも彼女」の紫乃もそうだし、今年の作品では、「推しの子」のアイもそうだからね…。

※画像は公式HPより



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