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劇場版 Gのレコンギスタ II ベルリ撃進

TVシリーズを再編集した劇場版アニメにはいろんなフォーマットの作品がある。一番多いのは、1クールなり2クールなりにわたって放送されたものを1本にまとめるもの。このタイプはぶっちゃけ、単なるダイジェストや名場面集に終わることが多い。バトル系の作品だと、単なる派手なアクション・シーンを集めただけのものになりがちで、自分みたいに、アクション・シーンが延々と続く作品を見ると睡魔に襲われそうになる人間には退屈極まりないと感じることが多い。

 「新世紀エヴァンゲリオン」の最初の劇場版なんかは、2クール分(ラスト2話除く)の総集編とラスト2話を別解釈で作り直した新作部分で構成しようとしたが、総集編部分は意味不明な構成だし、新作部分は未完のままで公開されることになってしまった。結局、なかなか完結しないエヴァというのは、この最初の劇場版の出来の悪さが影響しているというのはあるのかなという気はする。

 「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」は3部作として公開されたが、TVシリーズは3クールプラス1ヵ月の放送だったので、映画としてはだいたい、1クールあたり1本となっていて、これは映画としての評価も高いと思う。

 とはいえ、1クールあたり1本なら、出来がいいかというと、必ずしも、そうとはいえないと思う。「進撃の巨人」の1期は、2クールを2本の映画にまとめたが、それでも、バトル・シーン中心になってしまい、映画としての出来はイマイチだった。

 その一方で、1クールの総集編にプラスして、新作部分である後日談まで盛り込み、しかも、それらを混ぜて再構築しながらも、完成度の高い、きちんとした映画となった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のようなケースもある。

 「魔法少女まどかマギカ」に至っては1クールのTVシリーズを2本の映画に再構築してしまった。分量は全12話を前編8話分、後編4話分としていたが、前編は8話分の内容をきちんと伝えた上できちんと1本の映画としてまとめた非常に出来の良い作品だったが、ほぼTV版ノーカットの後編の出来はイマイチだった。つまり、TVシリーズをほぼそのまま見せても映画としては成立しないということなんだろうな。

 「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」みたいにテレビ放送に先駆けて、何話かずつをまとめて、先に劇場公開するタイプなら、1話ごとにオープニングとかエンディングとかついていなくても、「あっ!ここで1話分が終わりか…」ってのが分かるから、その部分で一息つくことができる。つまり、オムニバス映画とか短編集を見たような感じになれるが、元々は複数話にわけられていたものをくっつける場合には、各エピソードごとの起承転結とか序破急みたいなものをいったん解体しないと映画としての出来に影響するってことなのかな。前編は、それがうまくいっていたが、後編はTVシリーズのファンに媚びてしまい、シーンを切れなかったために、映画としての出来はイマイチになってしまったってことかな。

 そして、この「Gのレコンギスタ」の劇場版は2クールを5部作にするという、TVシリーズほぼノーカット状態で製作が進んでいる。単純計算でいえば、映画1本あたり5話強だから、1本あたり平均6話の「まどマギ」よりもカット率は低いということになる。(まぁ、「まどマギ」の後編は4話分しか入っていなかったが)

 で、ここまでの劇場版2本を見た感想はというと、正直つまらない。

1作目はまだ、キャラクターや世界観の説明部分だから、なんとなく見られたが、この2作目は途中から始まり、途中で終わるし、テレビ版なら何話かに分けて放送されているので、気にならないだろうが、こうやって1本の映画として見ると、同じような戦闘シーンが何度も続くのは退屈でしかない。そして、これはおそらく未見なので想像で言うが、TVシリーズ自体もきちんとしたエピソードごとの起承転結や序破急のようなものがなかったのだろう。だから、映画にまとめる際に、改めて起承転結や序破急を再構築することもできなかったのではないかという気もする。

男のオタクが好きそうな可愛い女子キャラは多いし、しかも、色んなタイプの女子が出てくる。腐女子が好みそうな男子キャラも主人公を含めてたくさん出てくる。でも、それを活かせるストーリーになっていないんだよね…。

まぁ、製作側は若い人に向けて作ったと言っていたから、スマホをいじりながら、なんとなく見るような人には、こういう作りでもいいのかもしれないが、映画として公開する以上はもう少し構成をしっかりとした方がいいと思うな。

あと、クレジットの出し方が古すぎ!ファーストガンダムから進歩していない!それで、若者に見てもらいたいはないでしょ!

 ところで全く関係ないが、マスクをつけて鑑賞してしまった。新型コロナウイルス感染が心配だしね。差別するわけではない、というか、自分もそっち側の人間だけれど、アニメしろ、映画にしろ、アイドルにしろ、演劇にしろ、何にしろ、オタクとかマニアと呼ばれる人間は、多少体調が悪いくらいだったら、見に行きたいものは見に行くからね。

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