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TM NETWORK TOUR 2022“FANKS intelligence Days”【追加公演】Day9 9月4日(日) 神奈川 ぴあアリーナMM

TM NETWORKの最大のヒット曲とされているのは1991年リリースの両A面シングルの“Love Train/We love the EARTH”だ。
だが、このシングルはTMN名義で出されたものだ。TMNを名乗っていた90年代前半はCDが良く売れた時代なので、彼等のセールス記録上位に入っているシングルというのは、“Love Train/We love the EARTH”をはじめ、“WILD HEAVEN”や“一途な恋”など、この時期のものがほとんどだ。オリコンによる歴代売上トップ5に入っている唯一のTM NETWORK名義作品である“THE POINT OF LOVERS' NIGHT”も90年代の作品で、TMN名義になる直前にリリースされた楽曲だ。
でも、個人的にはTMN時代の彼等というか、TM NETWORK名義のものも含めて90年代前半の楽曲にはあまり興味がわかなかったんだよね。

また、90年代末にTM NETWORKとして再始動したが、個人的にはこの時期以降のTM楽曲で言及すべきなのはリミックスを除くと、2012年の“I am”くらいしかないと思っている。

まぁ、ユニコーンもそうだけれど、再始動とか再結成した80年代組が、80年代から90年代前半の全盛期レベルのヒット曲や名曲を出すのは難しいよね…。

ユニコーンなんて、2009年の再結成以降は再び解散するようなことにはなっていないし、再結成後にリリースされたオリジナル・アルバムの枚数が解散前と同じになるくらいコンスタントに活動しているけれど、正直なところ、代表曲に追加されるようなヒット曲や名曲は生まれていないからね…。

TMに関しては再始動後、何度も活動休止があったわけだから、ユニコーンですら放てていない新たな代表曲を生み出すのは難しいよね。
まぁ、TMの活動休止に関しては、小室哲哉が詐欺容疑で逮捕されたり、KEIKOに対する冷たい仕打ちが批判されて小室哲哉が一時引退に追い込まれたことも関係しているので自業自得なんだけれどね。

ただ、槇原敬之とかASKA、ピエール瀧のような不祥事を起こした他のアーティストに比べると小室は簡単に許されて、すぐに音楽界に復帰できているのだから謎だよね。薬物より詐欺の方が凶悪犯罪のはずなのにね。

まぁ、それだけ、芸能界やマスコミに小室好きが多いってことなんだろうね。

コロナ禍における自分勝手な行動で嫌いになったアーティストはたくさんいるが(ONE OK ROCK、RADWIMPS、奥田民生など)、何故か自分も詐欺師の小室は許してしまっているからね…。
不倫騒動に関しても、同じような問題を起こしたゲスの極み乙女とか、KANA-BOON、Ken Yokoyamaなんかは騒動以降、積極的に聞きたいアーティストではなくなったのに、TMに対してはそういう感情が湧かないし、それどころか、あまりの歌唱力に脱力してしまう小室のソロ曲“RUNNING TO HORIZON”を聞いても怒りの感情は起きない。

また、引退撤回後の2020年に彼が乃木坂46に提供した“Route 246”なんて、globeとして1995年にリリースした“Feel Like dance”の焼き直しにしか聞こえず、小室の才能が枯渇したことを実感せずにはいられなかった。
また、若き頃は確かに中性的な雰囲気はあったけれど、最近の中性的とか自分らしさとかいうレベルを超えた、おばちゃん化した彼のビジュアルにも色々と思うところはある。

というか、問題を起こしたのは小室だけではないからね。木根尚登は長いことギター演奏はエアギターだったことを告白しているからね。

でも、こうした諸問題はどうでもいいと感じてしまっているようだ。何故かTMに対しては他のアーティストを巡って発生する怒りの感情のようなものはないんだよね…。

不思議だ…。

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そんなTMの全盛期はいつかということを聞かれれば、多くの人は80年代終盤と答えるのではないだろうか。

始まりと終わりをどこにするかは人によって意見は異なるだろうが、個人的には87年2月リリースのシングル“Self Control (方舟に曳かれて)”でファンが増えたのではないかと思う。自分もそのクチだ。

この直後に同曲と1つ前のシングル“All-Right All-Night (No Tears No Blood)”を収録したアルバム『Self Control』をリリースし、初めてオリコンのアルバムチャートでトップ10入りを果たした。

以降は破竹の勢いといった感じだ。

87年4月リリースのシングルで代表曲中の代表曲であり、テレビアニメ「シティーハンター」のエンディング曲でもある“Get Wild”は初のトップ10ヒットとなり、7月リリースのベスト盤『Gift for Fanks』は初のアルバムチャート首位を獲得。
10月には早くもシングル“KISS YOU 〜世界は宇宙と恋におちる〜”を発表。
11月には同曲を含むオリジナル・アルバム『humansystem』をリリースし、オリジナル・アルバムとしては初の首位を獲得。

87年はシングル3枚、オリジナル・アルバム2枚、ベスト盤1枚を立て続けにリリースし、一気に攻勢をかけたという感じだったが、この勢いは翌88年も続いた。

1月には『humansystem』からのシングル・カットとして名曲“RESISTANCE”をリリース。これは、テレビドラマ「痛快!ロックンロール通り」の主題歌だった。
そして、3月にはアニメ映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の主題歌として“BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)”を。
7月には実写映画「ぼくらの七日間戦争」の主題歌として“SEVEN DAYS WAR”をリリース。

このドラマや映画の主題歌3連発は個人的には“Self Control”や“Get Wild”と並ぶTM屈指の名曲だと思う。

そして、同年11月にシングル“COME ON EVERYBODY”をリリース。
12月には“BEYOND THE TIME ”、“SEVEN DAYS WAR”、“COME ON EVERYBODY”を含むコンセプト・アルバム『CAROL〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』をリリース。

年が明けて89年3月には同アルバム収録の“JUST ONE VICTORY”をRemix Versionでシングル・カット。この曲のカップリングは同じく同アルバム収録曲でアニメ「シティーハンター2」のエンディング曲となった“STILL LOVE HER (失われた風景)”だった(作曲は小室と木根の共作)。

この辺までが全盛期だと思う。

4月には“COME ON EVERYBODY (with NILE RODGERS)”、“KISS YOU (KISS JAPAN)”、“GET WILD '89”のリミックス・シングル3タイトルを同時発売し、5月にはこれらを含むリミックス・アルバム『DRESS』をリリースしたが、この辺はこれまでの活動の振り返り的な要素が大きいので、TMの名曲・代表曲からは外していいと思う。

そして、7月には新曲“DIVE INTO YOUR BODY”を発表したが、これは90年代前半のTM NETWORKおよび TMNの音楽性を先取りしたような内容だった。

なので、TMの全盛期は87年2月から89年3月までのわずか2年ほどの期間と言っていいのではないだろうか。
要はこの間にリリースされた3枚のオリジナル・アルバムと、オリジナル・アルバム未収録の“Get Wild”を聞けば、何となくTMについては語れるということだ。

でも、今回のツアーではこの間にリリースされたシングル8作のうち披露されたのは、半分の4曲だけなんだよね…(アルバム曲はやったけれど)。というか、87年のシングルは3枚ともやったし、『humansystem』収録の“BE TOGETHER”もやったので、今回のツアーでは87年に焦点があてられているようにも思えた。全盛期の中でも最も重要な時期はブレイクした87年ってことなのかな?

また、大ヒットを連発していたTMN時代のシングルで披露された曲は少なかったが、それでも、両A面シングルの2曲目としてクレジットされた“We love the EARTH”(“Love Train”は木根のギターソロコーナーで演奏された)や“TIME TO COUNT DOWN”は聞くことができた。

その一方で、“I am”や今年発表の“How Crash?”など知名度が決して高くはない再始動後の楽曲もやっている。

デビュー以来38年(活動休止期間含む)の歴史を総括的に振り返り、単なる懐メロバンドではないというアピールをするとなると、このセトリになるってことなのかな?

それから、MCなし、アンコールなしで2時間弱を突っ走るという構成のライブは、コンセプト・アルバムを出したこともある彼等らしいとも思った。

ところで観客の年齢層高いね…。
パッと見、9割以上は自分より年上に見える。

それから、グッズでペンライトを売っているんだ…。TMってアイドルだったのか…。
まぁ、木根にペンライトを振る人はいないと思うが…。
と思ったら3色のカラーが振られていた…。
自動制御しているようには見えなかったから、木根推しの人が木根カラーで振っていたんだろうな…。
そういえば、木根は頭の方はキーボードを弾いていたよね。キーボード担当メンバーが2人もいる状態だった…。
まぁ、その後、木根はちゃんとギター担当になったけれど。

あと、終盤戦はやたらと、焦らしに焦らして、なかなか歌い出さないロング・バージョンのアレンジが多かったな…。

それから、“Get Wild”の♪Get wild and tough〜とか、“Self Control”の♪Self Control〜のようなコロナ前なら観客に歌わせていたようなパートを声出しNGのコロナ禍仕様のライブでも客が心の中で歌っている前提でウツが歌わないのはどうなんだろうかと思ったりもした。

ついでに言うと、国内アーティストには“さん付け”するのに、洋楽アーティストは呼び捨てするような人たちが、Black Lives Matterに同調するメッセージを提示するのは偽善・欺瞞もいいところだと思った。

まぁ、全体的にはかなり楽しめたライブだったけれどね。

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《追記》
ぴあアリーナMMの売店のキャッシュレス決済、めちゃくちゃ面倒くさいシステムだな…。
そして、そこそこ高い金を取っているのにめちゃくちゃジンジャーエールの味が薄い。ほとんど炭酸が抜け切っているぞ!ぼったくりだな。
というか、これって爽健美茶じゃないか?間違えただろ!

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