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シャインポストTINGS LIVE JOURNEY ep.02 “Re-Live” with HY:RAIN & HOTARU 昼公演

よく、覇権アニメという言葉が使われる。
一時期は死語になりつつあったが、日本アカデミー賞の最優秀作品賞候補である優秀作品賞受賞作品(こういう談合みたいな言い方はださいからやめろ!)となった実写映画「ハケンアニメ!」を機に再び、この言葉がアニオタ界隈の日常に戻ってきたようだ。

ここでちょっと脱線して日本アカデミーの話を。

本家のアカデミー賞の国際映画賞の日本代表作品として、「PLAN 75」を選んでおきながら、日本アカデミーは「ある男」が最優秀作品を含む総なめ状態になっている状況っておかしくないか。

日アカを選ぶのも、本家のアカデミー賞に日本代表としてエントリーする作品を選ぶのも日本の映画業界人だよね?
日アカで総なめ状態になった「ある男」を本家の国際映画賞にエントリーしなかったのは公開時期が対象期間でないから(同作は11月公開だが同賞は対象期間が9月までとなっている)仕方ないと思う。
でも、「PLAN 75」は日アカではたったの2部門でしか各部門の最優秀候補である優秀賞受賞作品になっていない、しかも肝心の最優秀作品賞候補である優秀作品賞受賞作品に選ばれていないってのはおかしいよね。
結局、日本の映画賞の選考は非常に閉じられた世界で行われているから特定の者の意見で受賞作品が決められてしまうってことでしょ。

ちなみに、自分は年間150本以上を映画館で見ているが、「PLAN 75」も「ある男」も見ていない…。キネマ旬報のベスト・テンも含めて日本の映画賞なんて、一般の映画ファンとはかけ離れた感性で選ばれているんだよね。それは、本家のアカデミー賞も同じだけれどね。

話を戻そう。

2022年の覇権アニメは何かと聞かれて何を思い浮かべるだろうか。

そもそも、アカデミー賞などのように今年とか今期の覇権作品なんてのが公式に決められているわけではない。
それに、何を覇権とするかは選定基準によってもかなり異なると思う。

アニオタとかサブカル厨でない非オタにも支持された作品、もしくは非オタの方がオタクより支持した作品という基準なら、「SPY×FAMILY」や「チェンソーマン」だろう。

アニオタやサブカル厨がマンセーしまくりネット上で大きな話題となった作品なら、「リコリス・リコイル」や「ぼっち・ざ・ろっく!」、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」あたりとなる。

でも、覇権って本来は非オタであろうと、オタクであろうと、単なる人気投票ではなかったはず。
10年後、20年後でも語りたくなるような衝撃的な展開となった作品や斬新な演出や作画が取り入れられた作品、名作と呼ぶにふさわしい感動的な作品を選ぶものだったのではないかという気がする。

そういう視点で選べば、2022年を代表するアニメ に「シャインポスト」をあげる人も多いのではないかと思う。 
何しろ同時期に放送されていたアイドルアニメの老舗ブランド「ラブライブ!」シリーズの「スーパースター!!」2期よりも、こちらの作品の方がアイドルアニメ好きに評価されていたくらいだからね。

最近のアイドルアニメは、アプリゲームで課金させるための単なるプロモーションビデオと化していて、せっかく、魅力的なキャラや楽曲を用意し、人気声優を集めても、テレビアニメとしては非常にまとまりの悪い作品が多い。TrySail、スフィアの全メンバーを起用しながら、テレビアニメではほとんど出番がなかった「IDOLY PRIDE」はその典型的な悪例だ。

ガールズバンドものの「BanG Dream!」やDJものの「D4DJ」も実質アイドルアニメのフォーマットで作られている作品だが、ゲームや担当声優が現実世界で行うライブでの収益が主目的となっている。そのため、作中に登場するバンド、ユニットが多くなり、それらを1クールのアニメに無理矢理登場させるから、ほとんど内容のないアニメになっている。

勿論、アニメ「シャインポスト」にだってモブ扱いになってしまったアイドルはいた。FFF、ゆらゆらシスターズ、いずれのユニットにも人気アイドルグループ、=LOVEのメンバーが声優として参加していたのにアニメでの出番は一瞬だった。
でも、憧れのソロアイドル、蛍はメインのグループ、TINGSのマネージャーの旧知の仲として頻繁に作品に登場したし、TINGSのセンター・春とは元々は友達だった蓮がリーダーを務めるHY:RAINはライバルとしてきちんと描かれていた。

また、通常のアイドルアニメの1期では主人公を紹介した後、メンバーが一人一人と集まっていく様子と、個々のメンバーに焦点をあてたエピソードを連ねていき、最後に大きなイベントを描いて1クールが終わってしまうというパターンが多い。

しかし、TINGSは5人組であることから9人とか10人程度のメンバーで構成される他のアイドルアニメとは異なり、個々のメンバーをじっくりと描くことができた。

また、表面上のセンター、中心人物として春を描いているように思わせておきながら、実際の中心人物、そしてグループのリーダーとしておキョンを配するという事実上のWセンターにしていたこともストーリー展開をスムーズに運ぶことができた勝因だと思う。
「IDOLY PRIDE」も主人公は2人ではあったけれど、グループが2つのユニットにわかれて活動していたからその効果は薄かったし、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」1期では幼なじみの2人を主人公にしてはいたが、1人はアイドルではなく裏方的立場なのでWセンターではなかった。

つまり、登場人物の数を抑えてきちんとストーリーを描いていたことが「シャインポスト」が評価された理由なのではないだろうか。

その「シャインポスト」のアニメのストーリーは客足が伸びない地下アイドルTINGSが中野サンプラザ公演を成功させるまでを描いた作品だ。
 
人気声優や人気アイドルなどがTINGSの担当声優にキャスティングされていることから、アニメを見た人は誰もが間違いなくリアルでも中野サンプラザでライブをやるだろうなと思っていたのではないかと思う。

そのリアル中野サンプラザ公演が遂に実現した。
サンプラザは老朽化による建て替えのため、今夏に一旦閉館することになっているので、何とかそれまでにリアル公演が実現できたのは何よりだったと思う。アニメを見ていた者からすると感慨深いって感じかな。
本当、タイミングが良かったんだと思う。
テレビ放送がもう少し後なら、閉館までにライブはできなかっただろうし、もう少し早ければコロナによる自粛モードで開催できなかっただろうしね。

今回のライブは、TINGSを中心にライバルグループのHY:RAINと憧れの存在、蛍がゲスト参加するというもので、中盤にはトークコーナーも設けられるという構成だ。  

TINGSのパートに関しては、ほぼテレビアニメのストーリーに沿ったセトリで進行していて、アニメを見た人には感動を追体験できるものとなっていた。

テレビ版との相違点は、先述したようにアニメでは春とおキョンの実質Wセンターだったが、本公演では春がMCを仕切っていて、アニメ版にはあったおキョンのWセンター感、リーダー感はなかった。でも、久々に飽きないライブを見たという感じがした。
やっぱり、「シャインポスト」って良い曲が多いよね。HY:RAINの“GYB!!”なんて気付くと頭の中で鳴っているしね。勿論、TINGS曲は神曲だらけ!

それにしても、おキョン役のもえぴって本業がアイドルだけあって(≠ME)、他のメンバーよりもダンスにキレがあるよね。あと、ファンサもうまい。そして思った。もしかすると、自分はノイミーの蟹沢萌子ではなく、TINGSのもえぴが好きなのではないかと。

そういえば、ノイミーではリーダーを務めているもえぴがアニメの中ではリーダー的存在のメンバー役ってのも面白いよね。

「シャインポスト」、今後は課金誘導のゲーム中心の展開になってしまうのかな?
できれば、テレビでも劇場版でもイベント上映でもいいが、アニメとしての続編を見たいな…。

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