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テン・ゴーカイジャー

戦隊シリーズをきちんと見ていたのは小学生の時までだし、仮面ライダーシリーズだってきちんと見たと言えるのは高校生の頃までだ。社会人になってからは、仕事絡みで数週間続けて見たりした程度で、基本は劇場版を時々見るくらいといった付き合い方しかしていなかった。

「海賊戦隊ゴーカイジャー 」についても、2011年に公開された劇場版「海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船」を見たくらいだ。
しかも、この作品を見た理由というのは、併映作品の「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」を見たかったからだしね。何しろ、「暴れん坊将軍」とコラボした作品、つまり、映画館で「暴れん坊将軍」を見られるってことだから、子どもの頃、祖母と一緒に再放送を見たりしていた自分からすれば、ワクワクドキドキの体験だったわけだしね。

実際、この2本立てが興収17億円を突破するヒット作品になったのは、戦隊やライダーのファンだけでなく時代劇のファンも動員したことによるものであることは間違いないと思うしね。

そんなレベルでしか、「ゴーカイジャー」に接してこなかった自分が今回、本作を見ることにしたのは、最近、戦隊やライダーの劇場版(Vシネ作品の先行上映含む)をチョイチョイ見るようになった(上映時間が長い作品がないので睡眠不足気味でも見やすい)というのもあるが、最大の鑑賞動機は10周年を祝った作品だということにある。

戦隊やライダーなど特撮モノが初の大きな仕事で、それをきっかけに注目された俳優の中には、その後、人気俳優になった際に、そのキャリアをまるで黒歴史のように扱い、一切、そのことに触れなくなってしまう者も多い。

あるいは、その後、パッとしなかったり、中には犯罪行為を働いてしまうものもいる。

そうした中、この「ゴーカイジャー」の10周年作品には、人気者となった人から地道な活動をしていた人、さらには活動をセーブしていた人までメンバー全員が集合してしまった。
こうしたことは余程のことがない限り実現しないわけで、それだけ、個々のスタッフ・キャストが本作を自身のキャリアにおける重要作品と位置付けているということだろうし、その後の個々のキャリアに関係なく同列で再会できるというのは、それだけ、10年前の現場の空気が良かったということなのだとは思う。

そして思った。ゴーカイジャーのメンバー6人のうち市道真央は現在は声優M・A・Oとしての活動が中心となっているけれど、彼女に限らず、戦隊やライダーの出身者って、顔出し演技がメインの活動になっている人でも声優演技が上手い人が多いよねって思う(今夏公開アニメ映画「竜とそばかすの姫」の佐藤健もそうだったが)。

変身後のシーンではスーツアクターの演技に後で声をかぶせることになるわけだし、顔出しの場面でも場合によっては、スケジュールや予算の都合で現場で同時に音声を収録できないことからアフレコで台詞を収録するので、自然と声優としての演技の仕方が身についてしまっているってことなんだろうね。

あと、ピンク役の小池唯と、ちょくちょく出てくるピンクのセーター(カーディガンかもしれない)をはおっていた女子生徒も可愛い。

それにしても、最近の戦隊シリーズやライダーシリーズって、メタ構造のものが多すぎるな…。

特に劇場公開作品なんて、その路線の作品ばかりだしね。まぁ、「ゴーカイジャー」はテレビ版の時から、過去の戦隊シリーズとクロスオーバーしていたので、元々がメタメタなコンテンツではあったけれど、そろそろ、戦隊やライダーはそうしたメタ路線をやめた方がいいんじゃないかなとは思うかな。

ところで、本作の“悪役”は国防大臣だ(正確には宇宙海賊に操られたor宇宙海賊と共謀したって感じだけれど)。
この大臣が国籍や年齢を問わない住民投票を行って、スーパー戦隊(歴代の戦隊ヒーロー)を使った公営ギャンブルをはじめたという設定になっているが、そういう人物設定を見れば嫌でも、外国人にも参政権を与えろと主張する左寄りの野党を悪役にしているのではないか。つまり、ネトウヨに媚びた内容にしているのではないかと思ってしまう。
宇宙海賊に操られている(or宇宙海賊と共謀)というのも、ネトウヨが言うところの“野党は中共(日本人で中国共産党を中共と言う人間はほぼ100%ネトウヨと見て間違いない)の操り人形”という主張そのものだしね。

ところが途中から、明らかに野党批判ではなく、与党というか自民党批判なのではないかと思える展開になってくるんだよね。

この国防大臣が“世論に支持されているから何をしても大丈夫”みたいなことを言うのは明らかに、第2次安倍政権以降の自民党批判にほかならないしね。

最近、出だしはネトウヨ化した国民に媚びを売ったような感じではじめておきながら、徐々に反権力的なメッセージにシフトしていく作品って多いよね。日曜劇場で今年放送のドラマでいえば、「ドラゴン桜」や「日本沈没」もこのパターン。最初からリベラル思想全開だと、最近の日本人には嫌煙されてしまうから、こういう構成の作品が増えているんだとは思うけれどね。

ところで、戦隊シリーズというのは、テレビシリーズだろうと、劇場公開作品だろうと(本作のようなVシネ作品も含む)、スーツアクター戦をやった後に、ピンチに陥った敵が巨大化して、戦隊メンバーはロボットに乗り込み再度対戦するというパターンが多いが、そういう面倒なことをせずにスッキリとスーツアクター戦でバトルを終えたのは共感が持てた。まぁ、10年前の作品だから、ロボット・バージョンのおもちゃを売る必要もないから、そういう大人の事情によるお約束もしないで済んだってことなんだろうね。

《追記》
結構、空席があったのに、わざわざ後から予約しておいて、隣の席に来る奴ってなんなんだよ!しかも、上映中、バリボリとポップコーンを食ったり、ドリンクを飲んだりしているし、荷物の確認だかなんだか知らないが、ちょくちょく下を見ているし、ずっとスクリーンを見ていないんだったら、一番後ろの一番ハジの席でも取れよって思った。

さらに《追記》
テン・ゴーカイジャーというタイトルって、絶対、シン・エヴァンゲリオンを意識しているよね?

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