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恋は世界征服のあとで

原作コミックを読んだことはないが、ネット記事だか深夜アニメ中に流れるCMだかは忘れたが、原作の存在を知った時に“面白そう!アニメ化されそう!”と思ったのが「恋せか」を知ったきっかけだ。
そして予想通り、すぐにアニメ化が発表された。今期は気になるアニメがたくさんあったので取捨選択に迷ったが、結論から言うと見て良かったと思う。

一時期は死後になりかけていた、“ハケン(覇権)”という言葉も、実写映画版「ハケンアニメ」の公開に伴い復活したが、“今期のハケンは何か?”と聞かれたら、本作を選ぶ人も多いのではないだろうか?

鬼頭明里の出ている2作品「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」と「まちカドまぞく」は確かに面白いけれど、どちらも2期=続編作品だ。個人的には、10年ぶりの続編とか、リメイクやリブートならともかく、1〜3年以内に登場した続編をハケンと呼ぶことには抵抗がある。

また、「SPY×FAMILY」は確かに非オタにも広がっているということでいえば今期最も人気がある作品かもしれないが(最近の風俗嬢はドルオタやアニオタ、ゲーム好きが多いとはいえ、彼女たちの間での人気は異常なほどだ)、分割2クール放送なので、今期だけで判断するのは難しい。

となると、今期のアニメでダントツで面白かったと言えるのは本作だと思う。

ちなみにコロナ禍になってからの自分が思うハケン作品はこんな感じかな。

2020年
1月期(厳密には開始時点ではコロナ禍ではなかったが) マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
4月期 LISTENERS リスナーズ
7月期 彼女、お借りします
10月期 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
2021年
1月期 IDOLY PRIDE
4月期 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
7月期 ラブライブ!スーパースター!!
10月期 見える子ちゃん
2022年
1月期 その着せ替え人形は恋をする
4月期 恋は世界征服のあとで

こうして振り返ると、自分はラブコメか音楽ものが好きなんだなというのがよく分かる…。
どちらにも含まれないのって、「マギレコ」と「見える子」くらいか…。どちらも雨宮天絡みだが…。

話を「恋せか」に戻そう。

これは本当に久々に1クールできちんと完結したアニメだと思った。
2000年代以降、昔みたいに人気があれば、何年でも放送が続くというアニメはなくなり、1クールもしくは2クールで一旦完結させ、人気が出れば続編を放送するという形式が主流になっている。
まぁ、主人公が変わったりはしているものの2014年から続いている「妖怪ウォッチ」のような例外もあるけれどね。あと、「プリキュア」シリーズは毎年、タイトルや主人公、設定などが変わるが、これを同一シリーズとみなせば、2004年から続いているということになるのかな。

純粋な長期間連続放送作品は、90年代までに放送開始された作品ばかりだ。
「クレヨンしんちゃん」は1992年、「名探偵コナン」は1996年、「ポケットモンスター」は1997年、「ONE PIECE」は1999年のスタートだからね。

まぁ、朝や夕方、ゴールデンタイムに放送されるアニメが減り、ほとんどのアニメが深夜アニメとなってしまったからね…。
つまり、視聴ターゲットが子どもやファミリー層ではなくなった=長期間にわたって、毎週同じ時間に同じ番組を見るという習慣を持ちにくい多忙な社会人や大学生、高校生向けなので、どうしても1クール、長くて2クールで終わってしまうアニメばかりになるのは仕方がないとは思うが。

とはいえ、人気が出れば、いつでも2期、3期、劇場版などと続編を作りたいというのが本音だ。だから、全てを完結させずに、続きを見たいと思わせる終わり方にするケースが多い。要は海外ドラマと同じ作りになったということだ。

また、オリジナル作品というのは少なく、ほとんどが原作ありのものだから、原作のコミックやラノベが完結しているならともかく、まだ続いているのならば、いつでも続編を作れるようにしておきたいたいと思うのは当然のことだと思う。なので、原作の区切りのいいところを切り取って、1クールなり、2クールなりで放送するから、どうしても、端折り過ぎたり、間延びし過ぎたりすることが多い。1クールの深夜アニメだと全12〜13話というのが相場だから、区切りのいい部分が10話分なら数話分、話を延ばさなくてはならないし、15話分なら数話分、端折らなくてはならないからね。

「鬼滅の刃」の劇場版を再編集したテレビ版「無限列車編」が全7話、純粋な新作の「遊郭編」が全11話(1話と最終話は放送枠延長)というイレギュラーな構成にできたのは、「鬼滅」という社会現象を起こしたコンテンツだからだと思う。実際、1期は全26話という普通の2クール放送アニメの構成だったわけだしね。

また、ソーシャルゲームが原作の場合は、ゲーム版に誘導し、課金させるのが目的だから、アニメ版は大抵、多くの謎が投げっ放しで終わることが多い。

でも、本作「恋せか」は原作が継続中であるにもかかわらず、間延びしたり、端折られたりした印象もなく、きちんと、1クール全12話で話をきれいにまとめあげていた。
「SPY×FAMILY」は連続ではなく分割2クールという前提で作られているせいか、正直なところ、間延びしていると感じる回も目立っていたので、それと比べると、本作は良くまとめたと思う。
勿論、2期や劇場版、OVAが作られれば、ファンは喜ぶが、今後、一切、続編が作られなかったとしても何の問題もないくらい、この12話できれいにまとまっていると思う。
「ひけひろ」のように、アニメ放送と同時期に原作小説も完結していれば別だけれど、原作が完結していない作品で、こうやって、きちんとアニメ版をきちんと完結した作品に仕上げたのは見事だと思う。

本作の魅力はヒーローと悪役の禁断のロマンスを描いたことだと思うが、別にこの設定自体は目新しいものではない。
本作のように、イチャイチャはしていないとは思うが、「バットマン」のバットマンとキャットウーマンの関係はロマンスだと思うし、「X-MEN」のプロフェッサーXとマグニートーの関係はよく、BLだと言われている。

とはいえ、他のヒーロー戦隊のメンバーや悪の組織の構成員が戦闘している最中に、戦隊のリーダーと、悪の組織の中心メンバーがイチャイチャしているというのは斬新な設定だとは思う。

最終回、戦隊リーダーの不動と、悪の組織の女王のデス美が共闘して、暴走してケーキ化した怪人を倒すという展開があったが、この回の前半部分で描かれていた不動の結婚式CM出演に嫉妬するデス美の描写や、ヒーロー戦隊の新兵器開発エピソードなどを見事に伏線回収した構成だと思った。

まぁ、シリーズを通じてツッコミどころは多かったけれどね。戦隊メンバーは普段の顔も世間に知られているのに、悪の組織メンバーは戦闘中の顔と普段の顔がほとんど変わらない者ですら、世間に知られていないというのは謎だけれどね。
というか、デス美という名前でバレないのが謎だ。それに、不動にしろ、デス美にしろ高校生というのも謎だ。さらに、デス美の通う高校には、他の悪の組織メンバーもいるが、デス美たちのことに同級生たちは気付いていないようだしね。

それから、戦隊メンバーの中で不動とデス美の関係に気づいているメンバーが1人だけというのもご都合主義だけれどね。しかも、この最年少の女子メンバーは元々は不動に恋心を抱いていたのに、2人のイチャイチャ場面にちょいちょい出てきて、恋路を応援しているのも謎だし。

あと、昔のデス美を知っている戦隊メンバーが非戦闘時にデス美と再会し、あの時のデス美だと分かったのに、悪の組織のデス美とは気づかないのもご都合主義。どう考えても、昔の姿を思い出すよりも、今の悪の組織の女王にそっくりだと思うはずなのにね。

まぁ、そんなことがどうでもいいと思いたくなるくらい、不動とデス美の世間知らずでピュアなイチャイチャが可愛らしいからいいんだけれどね。というか、デス美が可愛い!

ところで、戦隊ヒーローはジェラート5と名乗っていて、それぞれの担当カラーに合わせて、イメージとなるアイスのフレーバーがキャッチコピーにつけられているが、グリーン担当って、メロンではなく、ピスタチオなんだね…。
まぁ、今の10〜20代からすると、緑色のアイスのフレーバーというと、ピスタチオの方が人気あるのかもしれないけれどね。メロンは昭和のイメージがあるしね。

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そして、エンディング曲「恋は世界定理と共に」もジェラート絡みの歌詞になっているんだよね。

DIALOGUE+は去年、「ひげひろ」のオープニング曲「おもいでしりとり」という超神曲を発表し、一気にファンを増やしたと思う。自分も「おもいでしりとり」でファンになった1人だ。

そして、今年に入ってからはメンバーの村上まなつがアニメ「明日ちゃんのセーラー服」の主演で注目されるようになり、そこへ来て、DIALOGUE+としても「僕らが愚かだなんて誰が言った」というカッコいい曲を発表。さらなるファン層の拡大に向けてイケイケ状態という感じだ。

だから、正直なところ、最初に「恋は世界定理と共に」を聞いた時はちょっと地味に思えて仕方なかった。でも、聞けば聞くほどハマってくるんだよね。というか、「恋せか」というアニメが好きになるにつれて、この曲に対する理解度も増していったという感じかな。

7月期アニメの主題歌も担当するし、去年に引き続きTOKYO IDOL FESTIVAL出演も決まっているし、アニオタ、ドルオタ両方に好かれるグループとして、DIALOGUE+はこれからも要注目ってところかな。

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