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わたしの幸せな結婚

仕事が年度替わりのタイミングで忙しかったり(人の入れ替わりなどもあるし、確定申告もあるしね)、コンサートなどのライブエンタメへの参加も多かったりしたこともあり(学生・生徒は春休み時期だからアイドルライブの開催も多く、そうしたライブのハシゴをしてしまったしね。しかも、都内でない会場で開催の公演で)、なかなか、映画鑑賞機会を設けられないという問題が毎年3〜4月に発生している。

なので、「シン・仮面ライダー」を破り観客動員数ランキング初登場首位を獲得した本作を見るチャンスもなかなか訪れず、やっと公開5週目にして見ることができた。

もっとも、最新の興収データを見ると、本作が21億円超に対して、「シン・仮面ライダー」は17億円超となっている。本作は大ヒット、「シン」は大コケという扱いだけれど、数値的にはそんなに大差はついていないんだよね。結局、本作は学生料金の鑑賞者が多く、「シン」は現役労働世代、特に40〜50代の鑑賞が多いから、観客動員数ランキングでは本作が圧倒的に強く、興収ではそんなに大差がないという状況になっているのだと思う。

勿論、本作はそこまでヒットするとは思われていなかったし、「シン」はもっとヒットすると思われていた。
ここ最近の若いジャニオタに受けそうなジャニーズ出演映画では比較対象となるのは「なのに、千輝くんが甘すぎる。」だと思うが、同作の興収は8.9億円にとどまっている。また、中高年ジャニオタ向け作品ではあるが現時点で2023年公開のジャニーズ映画では最大のヒット作である(「ドラえもん」は除く)木村拓哉主演の「レジェンド&バタフライ」ですら24億円強にとどまっている。だから、21億円を突破している本作は大ヒットと言っていいのだと思う。

一方で、「シン・仮面ライダー」だが、庵野秀明の「シン」シリーズで前作にあたる2022年公開の「シン・ウルトラマン」が44億円を超える興収をあげているし、アニメではあるが、21年公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は102億円を突破している。だから、17億円程度の「シン・仮面ライダー」が大コケしたように思われるのも仕方ないことだとは思う。

結局、期待値が高いとちょっとでも成績が下回ると大コケ扱いになってしまうんだよね。

2000年以降の「仮面ライダー」映画で「シン」より興収が上回っている作品は「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」と、「暴れん坊将軍」とクロスオーバーした「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」しかない。「シン」の上映はまだ続いているので、おそらく、「シン」が2000年以降の「仮面ライダー」映画で最大のヒット作になるのはほぼ確実だと思う。なので、同作を大コケと呼ぶのは違うんじゃないかなとは思う。内容はほめられたものではないけれどね。

そんなわけで、予想を上回るヒット作となっている本作をやっと見ることができた。

ぶっちゃけ、見る前はツンデレイケメンと内気な女子が結ばれるというキラキラ映画でおなじみの展開をコスプレ劇風の設定でやっただけの作品だと思っていた。

しかし、実際に見てみるとキラキラ映画となろう系のテンプレをミックスしたような作品だった。というか、原作はなろう系の語源となった小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されていたということなので、そりゃ、いかにもなろう系の内容になっているのも当たり前だよねと思った。

だから、メインの2人が無敵なのも当たり前だよねって感じかな…。

ただ、キラキラ要素、腐女子受けする要素の方が前面に出ているせいで、異能の力とか人間を侵食する謎の生物なんかの存在が曖昧というかオマケ程度になっているようには感じたかな…。

あと、ヒロインのキャラ設定にもイマイチ共感できなかった。
母親が死に父親が再婚し、継母や異母妹に使用人以下の扱いを受けるというシンデレラ展開になるのはいい。でも、母親が生きていた時代の使用人と再会した際にタメ口で話していたのはどうかと思うな。使用人扱いされるようになってから、すぐに謝る内気な性格になったんじゃなかったの?

今田美桜が可愛いから何となく見られるけれど、キャラ設定もデタラメだよね。

まぁ、本作のメガホンをとったのが女性監督というのもあるんだろうね。女性の監督や脚本家というか、一般の観客や視聴者も含めて女性って、ストーリー展開がおかしくても、小道具やBGMなどが時代背景とあっていなくても面白ければいいじゃんって考えの人が多いからね。
だから、女性が好む作品はかつては、ヤマなし・オチなし・イミなしでヤオイと呼ばれ揶揄されていたんだよね。

あと、目黒蓮の演技も微妙だね。

テレビドラマ「silent」で絶賛され、映画「月の満ち欠け」では日本アカデミー最優秀助演男優賞候補である優秀助演男優賞受賞者(ノミネートを優秀賞受賞者と呼ぶ日本の芸能界の談合的システムは大嫌いだ!)になったりしたが、その一方で朝ドラ「舞いあがれ!」の柏木学生役は脚本や演出の酷さもあり酷評された。本作は酷評された「舞いあがれ!」に近い演技という感じだった。個人的には彼の演技は現時点では「月の満ち欠け」を含めて評価できないなと思った。
まぁ、彼が所属するSnow Manによる主題歌“タペストリー”はかなり良い曲だと思うけれどね。気がつくと頭の中で再生されているしね。

《追記》
回想シーンに出てきた母親、今田美桜が演じているようには見えないし、土屋太鳳っぽいよなと思いながら見ていたが、エンドロールを見たら、やっぱり土屋太鳳だった。彼女にしては珍しくツッコミどころの少ない演技だったと思う。それ以上に作品そのものがツッコミどころだらけだからね…。

もう一つ《追記》
映画、ドラマ、アニメを問わず、海外作品、国産作品問わずだけれど、最近の映像作品ってイマジナリーラインなんて気にしていないって作品が増えているよね。
編集もデジタルだし、見る方もPCやスマホでの視聴が増え、シーン全体でなく、そのカットだけで画の良し悪しを判断する人が増えたってことなんだろうね。

2人の人物が下手(画面左側)と上手(画面右側)で向かいあって会話している場合、普通はまず向かい合っている2ショットを映す。そして、その後、下手の人物Aのアップを撮る際はAの目線を上手に向くようにする。さらに、上手の人物Bのアップに切り替える際はBの目線を下手に向かせるといった具合だ。
A、B両方が同じ向きに目線を向けていることはありえないとされている。それは、両者の位置関係が分からなくなるからだ。
だから、どうしても目線の方向を変えたカットを入れたければ、いったん、AなめのBを映す(Aの背後を手前に持ってきてBの正面を映す)カットを挟むなど動線を変えなくてはいけないというのが、映像の撮影・編集のセオリー、ルールだったんだよね。

でも、本作では会話している2人のそれぞれの1ショットのアップが連続する箇所なのに2人とも同じ方向に目線を向けていた。

ひと昔前なら、プロデューサーが編集したものを見て激怒したと思う。というか、素材を見て編集マンがブチ切れしていた案件だと思う。

でも、今ではこういう編集って普通なんだよね。
多分、イマジナリーラインという言葉を知らない若いディレクターや編集マンなども多いんじゃないかと思う。

というか、ベテランのディレクターや編集マンなどが、“イマジナリーラインがなっていない”とか言うと、古くさいやり方から抜け出せず日本の映画やテレビをつまらなくしている老害扱いされる可能性も高まっているような気もする。

時代とともに撮影・編集のやり方も変わっているってことなんだろうね。


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