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量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-

このドラマのコンセプトに関しては疑問に思うことだらけだ。

2022年に放送された「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」は確かに面白かった。多くの視聴者が続きを見たいと思う作品だったと思う。

でも、このドラマは前作のファンが見たいと思っていたものとは別モノだった。

まず、この1年間で主人公リコ役の与田祐希のイメージが悪化したことが大きい。
彼女が量産型キャラのリコ役にキャスティングされた理由は彼女が持つ素朴なイメージによるところが大きいと思う。

ところが、実際は妻子持ちのトレーナーと不倫し、しかも、シーシャバーに出入りするような人物だった。シーシャは日本の法律では違法薬物とはされていない。しかし、一般的にはシーシャバーへ出入りすることはドラッグへのゲートウェイになると言われている。そこで知り合った胡散臭い連中経由で海外ではドラッグ扱いされないことも多いが、日本ではきちんとドラッグ扱いされている大麻に手を出すようになる。そして、依存してくると今度は海外でも違法薬物とされているものにまで手を出すようになる。そういう危険をはらんでいる所に出入りするんだから、そりゃ、イメージは良くないよね。しかも、不倫相手と行っているんだからね。

そういう人が素朴な量産型キャラを演じたってリアリティはないからね。川栄李奈クラスの演技派なら、いくらプライベートではクソ人間でも(自分の結婚相手の元カノへ逆ギレしたので人間性には問題ありそうだ)、プライベートはプライベート、演技は演技と割り切れるが、与田祐希にはそこまでの演技力はないしね。

そして、何よりも問題なのは、続編でもプリクエルでもスピンオフでもない作品にしたことだ。

前作と同じキャストに同じ役名のキャラを演じさせているのに、そのキャラは前作に登場したキャラとは別人だし、働いている会社も異なるというのは意味不明だ。

しかも、全員が全員、名前以外は異なるキャラを演じているなら分かるが、田中要次は前作と同じやっさんと呼ばれる模型店店主を演じている。
じゃ、この模型店で働くアルバイトの女の子も前作と同じかというとそうではない。前作ではLINKL PLANETというアイドルグループの石川恵里加が演じていたが、今回は同じグループの石田悠佳というメンバーが演じている。

その辺をきちんと統一して欲しかった…。

石川恵里加がゲスト出演した回もあったし、本作の最終回でやっさんが、前作のリコとも本作のリコとも違うリコの存在に言及していたので、おそらく、本作と前作はパラレルワールドとかマルチバースのような関係なんだろうと思う。それで、やっさんだけが全ての世界を行き来できる。もしくは、他の世界の自分と意識を共有できるみたいな感じなんだろうね。

この手法を使えば、これまでの作品との整合性を考える手間も省けるし、キャスト変更があっても問題なく続編を作れるってことかな。

でも、一番の失敗はスタートアップ企業を舞台にし、リコを若き女経営者にしてしまったことだと思う。

それって、前作と同じ頃に放送されていた永野芽郁主演のドラマ「ユニコーンに乗って」と同じ設定だからね。しかも、女経営者と、学生時代からの仲間の男2人による、いわゆるドリカム編成の3人組が創業した企業という設定も同作と同じ。パクリと呼ばれても仕方がないと思う。この3人組に中途入社組のメンバーが加わるという構成も同じ。

違いは男のうちの1人が女経営者に対するあからさまな恋愛感情を出していないことと、「ユニコーン」では女経営者は勝手に大学に出入りしているだけで厳密には学生ではなかったが、本作ではきちんと、みんな同じ学校に通っていたという相違点はあるが。
やる気がないように思われた中途組が重要な存在になるのも、中途組におっさんが含まれているのも同じパターンだ。まぁ、「ユニコーン」ではやる気がなかったのは若者だったのに対して、本作ではおっさんの方がそういうポジションになってはいたが。

そんなわけで、中途半端にビジネスドラマ要素を入れてしまったから、前半はプラモデルのドラマとしては非常に物足りないものとなってしまった。

それでいて最終回はプラモデル大会の話になっているのも意味不明だ。結局、プラモデルの話もスタートアップ企業の描写も中途半端なんだよね。

リコがプラモデル大会に出るなら、尚更、前作のキャラ設定をそのまま活かしたストーリーにすべきだったと思う。

まぁ、決してつまらない作品ではないんだけれどね…。とはいえ、何故、こういう設定にしたのかは理解できないかな…。

※画像は公式HPより

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