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【激戦区レポ】第49回 衆議院議員総選挙 大阪10区をゆく

衆院選の投開票はいよいよ明後日!
安部政権、菅政権への評価、新型コロナウイルス対策、ほかには政治と金の問題、エネルギー政策、子育て、社会保障、安全保障、社会の多様性など争点は多岐に渡る。

前回衆院選に続き、三つ巴の大激戦となっている大阪10区(高槻市、島本町)を取材した。

当選7回を誇る立憲民主党副代表の辻元清美さん(前職・61歳)、「維新人気」の追い風に乗る日本維新の会、前大阪府議の池下卓さん(新人・46歳)と、医師で自民党の厚生労働大臣政務官、大隈和英さん(前職・52歳)が激突する。

「隠す、ごまかす、責任取らない。こういう不公正な政治を子どもに対して見せることはできない!この溜まり切った長期政権の膿を取り除くのはやっぱり政権を替えていただいて皆さんと一緒に大掃除するしかないと思うのですがいかがでしょうか!?」

高槻市役所前で声を張り上げた立憲民主党の前職・辻元清美さん(61)。前回2017年の衆院選では希望の党に合流せず立憲民主党から出馬したことで社民党時代の支持者らが辻元さんの許に再結集。共産党の支援もあり、頭一つ抜ける強い戦いを見せた。
しかし、維新旋風吹き荒れる今回はそうはいかない。
対立候補の池下さんが猛追を見せ、圧倒的な知名度を誇る辻元さんの牙城が揺らいでいる。
蓮舫代表代行、福山哲郎幹事長ら立憲民主党幹部のほか、元文部科学事務次官の前川喜平さん、さらに山崎拓・元自民党副総裁までもが応援に入った。
陣営は立憲、共産の支持はほぼ固め、無党派層への浸透にも手ごたえを感じていると言うが厳しい戦いだ。

「私たち維新の会は大阪でやってきました。身を切る改革を。私の府議会議員時代の給料も30%カットしてきました。11年間やってきました。
辻元清美さんには眼中に無いと言われた。ならば目の中に入ってやる!目にもの見せてやろうと思うのですが、ご協力いただけますか!?」


応援に駆け付けた吉村洋文大阪府知事と共にJR高槻駅前でマイクを握る日本維新の会の新人で前大阪府議の池下卓さん(46歳)。

前回2017年の衆院選では、連携していた「希望の党」の支持が急落し、苦戦を強いられた日本維新の会。吉村さん(当時は大阪市長)が街頭に立っても、足を止めたのは40人ほどだった。
あれから4年。新型コロナウイルス対策で存在感を示した吉村知事の人気が高まっている。女性層の支持が特に厚く、街宣車に登ると黄色い歓声が飛んでいた。
維新人気を追い風に「身を切る改革」の実績をアピールした池下さん。
後半の追い上げは凄まじく辻元清美さんに競り勝つ勢いだ。
維新支持層を固め、自民党支持層の一部をも取り込みながらラストスパートをかける。

「苦しい方々に忍び寄っては『これは政治が悪いんです。これは政権交代をしなければ治りません。苦しい人は私たちに一票下さい。治してみせますから。』人の苦しみに忍び込んで政治が悪い!誰が悪い!心と心を分断していく、絆を断ち切っていく、そんな政治家や集団がこの選挙でも声を大きくして自分たちが表舞台に立とうとしている!』

2人を追うやや苦しい展開となっているのが自民党の前職、大隈和英さん(52歳)。外科医の大隈さんは厚生労働大臣政務官として最前線で新型コロナウイルス感染症対策にあたってきた実績を強調。一方で「ドクターくま」のニックネームで親しみやすい人柄をアピールし、巻き返しをはかる。
2014年は5万3160票、17年は5万6483票を獲得。回を重ねる度に支持を伸ばしているものの過去2回の衆院選では辻元清美さんに敗れ比例復活となった。雪辱に燃える自民党。麻生太郎副総裁、安倍晋三元総理ら重鎮が連日応援に入り、組織力を武器に選挙戦を展開した。
しかし、今回は維新の人気が高まっていることで自民党支持層が維新へ流出すると見られ、過去の選挙と比べても苦しい戦いとなっている。

3連勝を目指す立憲民主党の辻元清美さん。
“吉村人気”を追い風に支持を伸ばす日本維新の会の池下卓さん。
そして大阪の小選挙区全敗も囁かれる自民党、政権与党の意地を見せたい大隈和英さん。今回の衆院選を象徴する三つ巴の大激戦の行方は「選挙の風」の中に吹かれている。

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