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ネット誹謗中傷問題。文化放送の偉いさんが下さった言葉

インターネットが普及する以前のラジオパーソナリティを羨ましく感じることがある。不用意にエゴサをしたばかりに批判的な意見を目にして傷つくことも無いし、不躾なリプライに腹を立てることも無いからだ。
当時なら、よっぽどまずいことを言っても、お叱りのハガキが来たりリスナー窓口の電話が鳴ったりするくらいで済んだであろう。もっとも電話回線がパンクするほどになれば大問題だが、普通にやっていればそんなことはまず起こらない。

ところが、ネットが現実世界と同じかそれ以上に影響力を持つようになり、SNSが普及した今「ちょっと今日は寝られへんわ」というぐらい強烈な中傷を受けることがある。それも名乗らず顔も出さない相手から突然にだ。

30歳を過ぎて大抵のものは「はっ!」っと鼻で笑って右から左へ受け流せるようになったが、20代の頃は、本当に嫌で嫌でたまらなかった。私ごときでこうなのだから、有名タレントの皆さんが日々どれだけ嫌な思いをされていることか、想像すると胸が痛む。

朝の生ワイド番組を担当するようになってすぐの27歳のころ、東京・文化放送編成局の偉いさん(当時)に「批判されるのが嫌で放送で喋るのが怖い。」と懇親会の席で相談したことがある。

すると彼はこんなアドバイスをして下さった。
「それはお前、プライドが高ぇんだよ。つまり1個の批判も許したくないっていうくらいプライドが高いわけだね。まずはそれを捨てなさい。」
「褒めるメッセージはなかなか書いてくれない。圧倒的に批判を書かれることの方が多い。1通の好意的なメールは、批判メール100通分に匹敵する。」
「100通の批判的なメッセージの中に1通でも褒めてくれるメッセージがあれば、その1通はホンモノだ。」
そしてこう続けた。
「君を『面白い』と思ってくれている人に、君の放送はもちろん役に立っている。でも、そうでない人もネット掲示板やSNSに悪口を書いて憂さ晴らしが出来たなら、それはそれで君の放送は役に立っているの。つまり、君は全員の役に立っている!」

そ、そんな考え方があるのか~~~!!
それからの私の喋りは、すぐに上手くなるわけないが、大きく変わったと思う。「未熟者な私は批判されて当たり前。でも今日もリスナーさんの方を真っ直ぐに向いてベストを尽くす!」という姿勢で、批判を恐れずにギリギリのラインまで攻めることができるようになった(たまにラインを超えていたかも笑)。

別れ際「藤川、朝のワイド番組をとにかく死守しろ。大丈夫、君は面白い!」と言って見送って下さった笑顔を、今も感謝と共に思い出す。
残念ながら「モーニングライダー!藤川貴央です」を死守することはできなかったが、この時頂いた言葉に何度も救われながら、今もマイクに向かっている。是非、番組宛にご意見やご感想をお寄せ頂きたい。それが非常に厳しいものであっても真摯に受け止め番組づくりに生かし、挑戦を続けたいと思う。
ただし、住所、氏名をお忘れなく。


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