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納得の仕事 35.知恵あるSEの展開

メーカー主導の情報システム開発から、顧客主導への展開

 マルチ・プレィヤーを余儀なくされ、企業業務のI.T.化に日夜邁進していたSEの中に、自分自身で全てをひっ構えることへの限界を感じる人々がベンターの枠を超えて現れ始めたのが1970年代後半、昭和50年代だったと記憶しています。

その頃は、国産コンピュータメーカーも世界市場の70%以上を占有する「IBM社」に立ち向かうために立ち上がった時期でもありました。
IBM社に対する意識は、コンピュータ・アーキテクチャーだけでなく、SE業務の姿にも一石を投じるものがありました。

 世界に比べ機械化が遅れていた日本市場にあって、企業の情報システム化はメーカー主導になりがちで、その重荷はSEに圧し掛かていました。
SE自身もその期待に応えようと頑張り、その姿が自身の満足感や達成感にも繋がっていたのではないかと感じます。 とは言え、顧客業務の全てを掌握することは異なる企業のSEには限界があるとも言えます。

 しかし、国産コンピュータメーカーのSEは顧客業務の課題を我が事として抱え込むことで、自らが行ってもいない業務についてある程度の深さを極めるもとができたとも言えます。 その様な背景が資格を持たないまでも顧客業務に対するコンサルテーション的SE業務を可能ならしめたのではないでしょうか。

 一方、世界市場を席捲するIBM社においては、早くから顧客主導のSE業務を模索しておられ、顧客主導のシステム要件を如何に取りまとめるかにSE業務の力点が置かれていたと思われます。
しかし、国を問わず企業内部門間の「システム要件」には相違や不整合があり、顧客主導であっても一貫した筋の通ったシステム開発が可能であったとは言えなかったのでしょう。

 その為、情報システム化に関係する部門責任者同席で相互の意見調整を取り仕切るのがSEとして役割りとして展開されていったと感じます。
この様なSEに必要とされる技量がコーディネート力として確立されて行ったのではないかと思い返しています。

 その様なSE業務のノウハウが方法論として導入されても、SE自身に企業業務に対する知識やノウハウが不要となった訳ではなく、より一層の研鑽が求められたとも言えます。