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納得の仕事 29. 前向きな情報処理

「事後処理時代」から「将来処理時代」への管理の流れ

 私が社会人として出発したころの企業におけるコンピュータ利用は、人事分野、経理分野、販売統計、製造統計など企業活動で発生した実績情報処理が中心でした。
コンピュータ利用の目的が、「そろばん」や「電卓」に代わり、大量の情報を一挙に処理し、正確なレポーティングを行うことに目的が置かれていたことに起因すると思います。

 コンピュータがデータを集計し、分析し、その結果をレポーティングしました。 しかし、昨今の様なグラフィカルなレポートではなく、数字が正確に並んだレポートでした。
印刷していた装置は、「ラインプリンター」と呼ばれ、1行単位に同時印字ができる超高速大型タイプライターです。 出来上がった資料も、AサイズでもBサイズでもなく、横長の特殊連続用紙でした。
コンピュータから排出されるレポート類は、それまでの資料バインダーでは閉じることが出来ず、事務所に並ぶスチールロッカーの規格まで変える勢いでした。

 事務所のスチールロッカーの形状が変化するほど、コンピュータのアウトプットレポートは珍重され、多くの業務がコンピュータからの出力帳票類に基づいて判断、遂行される様になったのも事実といえます。
コンピュータの情報処理結果が活躍することは、業務現場の効率化、正確化を支援する反面、コンピュータの磁気記憶装置の中には、大量に企業活動の結果が保持される様になりました。

 ノイマン型デジタルコンピュータの特技の一つが記憶であることから、当然の結果と言えます。 大量の実績情報は、磁気ディスク装置だけでは入り切らず、旧い情報は大きなテープレコーダーのテープのお化けの様な磁気テープ媒体に記録され、大手企業には何十、何百という磁気テープリールが保管され、その光景は圧巻でした。

 そんな光景が当たり前になってきたころから、過去の情報を保管するだけでなく、それを分析し、企業経営に役だてようという考えが頭も擡げ始めていました。
「実績数値の分析」 と 「経営」 の出会いの始まりです。
世間では、MISやORという言葉が氾濫する様になって行きました。

※注意  MIS:Management Information System
     OR :Operations Research など

と同時に、情報システムには入力データの多様化と情報処理方法の複雑化が求められる様になって行きました。

企業活動結果数値の経営活用の始まりでした。