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納得の仕事 34.マルチプレィヤー

I.T.技術者に要求される多面性 医者、芸者、役者

 企業のコンピュータ活用が進む反面、業務機能間、部門間での情報の流れの悪さや思惑の不整合や矛盾が表面化することもしばしばでした。
しかし、情報システム化を進めるためには、業務上の不整合を等閑にすることはできず、担当SEはその調整のための提案や妥協点摸索に奔走する局面も珍しくはありませんでした。

 担当SEのそんな姿に、SEの役回りを
       医者 + 芸者 + 役者 
と評する人まで現れました。

 これは職業差別的な意味合いではなく、本来なら一人の人間に課すのは難しいを思われる役回りを熟さざるを得なかったということだと思います。

 3つの役回りはそれぞれに以下の様な「立ち居振舞」を表現したものです。
 「医者」というのは、顧客業務の効率化、矛盾の是正、人手の削減、情報伝達の迅速化正確化など企業業務の健全化や健康化を目指し活動するという側面を評した言葉でした。
 「芸者」というのは、顧客企業の担当者も人間、担当するSEも人間、相互に感情的になることもたまにはあったと思います。
そんなときでも、感情的の展開は決して良い結果は生まないことを心に留め、本来あるべき討議に導く役割りを担っていたと思います。 観客に罵倒されても笑顔で人の和を取持つ役割りだったということだと思います。
 最後に、「役者」と評された所以は、時々の役回りを演ずる必要があったということだと理解しています。 ある時は「先生」、ある時は「議事進行係」、またある時は「縁の下の力持ち」という多彩性でした。