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チームで困難を乗り越える理論と実践方法

筑波大学の池田めぐみさんより新著『チームレジリエンス』をご恵送いただきました。本書の内容は自分の研究テーマにとっても近く、正座して拝読いたしました!

本書は、チームを脅かす様々な種類の困難を乗り越えるための考え方として「チームレジリエンス」に注目し、その実践方法を提案します。
具体的には、
①     課題を定めて対処する
②     困難から学ぶ
③     被害を最小化する
というステップをどのように実践していくのか、理論を基にしながら分かり易く解説してくれます。

特に、本書のポイントは「②困難から学ぶ」にあることだと感じました。本書は、①の対処や③最小化については、チームのタイプによって濃淡が出る。しかし、②困難から学ぶことは、どんなチームでも重要である、と強調します。

しかし、この「困難から学ぶ」ことがいかに難しいか、多くのビジネスパーソンは身に染みていると思います(僕もその一人です)。本書は、そんな「現場のあるある」に寄り添いながら、悪いパターンを避け、どうやってチームで教訓を得ていけばよいのか、丁寧にポイントを示してくれます。

思えば、僕自身もチームのマネジメントに携わる立場で、困難が生じた際、「誰々が悪い」という断罪や、「自分が悪かった」という極端な自責に駆られる心の癖を持っています。そして、大抵の場合、それは「怒り」や「無力感」といった、チームに対する否定的な感情を伴っています。

そんな心の癖に対して本書は、即効的に治すような「魔法」を提示するのではなく、粘り強く軌道修正しながら、そして、困難時の「痛み」を抱えながら、「次につなげる」ための方法を明示します。

本書は理論的な下敷きの上に、具体的な実践方法を示すことが大きな価値だと思います。一方で、僕が個人的に最も印象に残ったのは、実は「はじめに」や「あとがき」に記された、筆者の一人である池田さん自身の“願い”でした。チームで困難に向き合う中でしんどい思いをしている人々――それは、池田さんの同期や、過去の池田さん自身でした――が、素敵な成果を発揮して、より楽しく働けますように。そんな素朴で切なる願いが本書には込められています。

そしてそんな「届け先」があるからこそ、本書の内容は、堅牢な理論を援用しつつ、現場のビジネスパーソンが受け取れる丁寧な構成になっているのだろうなと感じました。

本書は、より良いチームを作ることを目指して、骨太な理論を下敷きに実践を踏み出したいビジネスパーソンへオススメしたい一冊です。
池田さん、素敵なご著書をありがとうございました!

『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』
www.amazon.co.jp/dp/4800591031

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