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何者かになりたかったけどなれなかった系ってなんでカメラにハマるんだろうな

俺はそうは思わない

別に「何者」になんぞ、ならんくていいんじゃないすか、と思えるまでにとてつもなく長い時間がかかった話

冷笑と情熱のあいだ

200X年───。ナンバーガールのライブに3000円で行けた季節。右も左もわからず、私立文系大学とインターネットの匿名の中で、あらゆる冷笑・逆張りを浴びた自分は、何を好きか嫌いか、趣味嗜好で他者を評価・ラベリングするような時期が確かにあったように思う。恥ずかしながら女性の趣味嗜好を男の影響だと言っていた事もあったし、あの子はサブカルだオルタナだ、そうジャンル分けするような解像度の低い価値観をもっていた。一行で言うと、シンプルに迷惑でダサかった。認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ち 坊やだからさというものを。

二十歳くらいの高野。腹たつな。

自分が糞だったことを前提として、言い訳がましく弁明すると、そういう無慈悲な時代だったようにも思う。露悪趣味にどっぷり浸かり、変な映画や漫画に毒されて、女の子には嫌われた。競い合うように御茶ノ水「ジャニス」でCDを借りて、バンドを組めなかったあのバカは、何者でもなかったんだろう。あいつは小説家や映画監督に、ミュージシャンに、役者に、なりたがっていた。今だってフジロック出たい。森ガール、カメラ女子、夕暮れ佇むメガネ男子。だいぶ見かけなくなったが元気にしているのだろうか?俺ら彼らは20年経ち、ふてくされてばかりの10代をすぎ、分別もついて齢をとり、価値観をアップデートし、仲間たちと「何者か」になりあがった───勝ったッ第3部完!んなわけねーだろバーロー。最終回じゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ。

ラーメン二郎 西台駅前店 SK半分
炙り

相変わらずだよ、電気代は高すぎるし、副業探してるよ。
「鬱屈としていいのは10代までだろ」なんてネタツイは人生エアプ。鬱の第三形態は40代からだぜ。本体を倒しても左右のどちらかが生き返らしてくるタイプのラスボス。だから僕らは、逃走闘争に乗じる。金のかからない娯楽にばかり詳しくなった。この世にはまだ消費でも性愛でも対立でもない方法があるかもしれない。「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」そんな言葉を放つアニメは、元気が出る物語だったな〜。

ゲスバンドの「39歳」とドン・マルティネスの「ハタチのおっさん」はもしかして、同じテーマなのかもしれません

ドーモ、何者かになりたかったけどなれなかった系です。でもハマるものがあるって、素晴らしいぜ1000%肯定する。

何一つマスターできなかったやつの相棒、それがジャズマスターだ。なんとも皮肉が効いてるじゃないか。強引に宣伝しよーっと。

ゲスバンド 『才能がない』リリースしました

高野はギターを弾いています。鍵盤とか打ち込みとかも入ってます。ロックマンX2のクリスター・マイマインステージの音みたいなのも入ってます。メンバーのパーカッションとか三味線とか、ライブと異なる謎のオーバーダビングが沢山入ってます。ちなみにCD買うと中にコード譜とかメンバーの裏ネタにアクセスできるQRコードが印刷されてたりもする。秘密だぜ。
ボーカルの橋本(剛田武たてかべ和也 みたいな声してるヤツ)と歌詞の話なんかしたことないけれど、「芸術」「才能」という数値化しづらい正体不明の概念に憧れる、あるいは苦しむ、そういう時期が俺達にも、確かにあった気がする。コンプレックスといってもいい。このアルバムは中年たちがバカはしゃぎする様が、注意欠陥で多動性な人間の脳内を再現したかのような音像でパッケージされている。好意的に解釈すると、何者でもない、才能がない人たちの讃歌になってるような気もしませんか?
歌詞二行しかないけど。


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