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スポーツ組織論②

前回の振り返り

前回、スポーツの組織について以下のようにまとめた。

  1. 競技全体を統括する協会や連盟 <公益財団法人>

  2. 協会や連盟から派生したリーグ <一般社団法人>

  3. リーグに付随するマーケティング会社 <株式会社>

  4. リーグを構成するチーム <株式会社が多い>

今回は1.の協会・連盟について書いていく。

スポーツの協会・連盟(NF)と私

元々スポーツビジネスのキャリアをサッカークラブ(V・ファーレン長崎)の立ち上げからスタートさせた私は、4.のチームについてはかなり詳しい。V・ファーレン長崎の後も、サガン鳥栖や埼玉西武ライオンズというチーム(クラブ・球団)で働いていたので、そこについては自信がある。一方で、それ以外、特に協会や連盟は距離的にも意識的にも遠いところにある存在だったこともあり、内情には詳しくない。これからはあくまで外から見た私の印象を述べることにする。

2016年に西武グループから独立して自分の会社を作った頃から、一概に苦手だというわけにはいかなくなり、いくつかの協会や連盟と仕事で関わるようになった。そうなるとだんだん組織内部の様子も透けて見えてくる。

協会・連盟の構成員は競技経験者がほとんどだ。「昔◯◯◯やってました。成績は・・・」とこちらが聞いていないのにしゃべってくる。こちらとしては「競技成績は仕事に関係ないでしょ」というスタンスなので、いつも適当に聞き流す。

競技成績はパッとしないが、長年縁の下の力持ち的な役割をになってきた方も協会・連盟には多いように感じる。コツコツと仕事をされるので、実務面では頼りになると思うが、圧倒的に視野が狭く新しいことを導入するのにとても臆病である。そのスポーツ(競技)しかやってこなかったのだから当然といえば当然である。

たまに「これは!」という人に当たる。スポーツビジネス関連の勉強会に来ていたり、カンファレンスで質問をしていたりするような人だ。そういう人は組織内に対して危機感があり、いろんなアイデアもある。ただ私と話は合うのだが、その後組織内で何かやろうとするとだいたい躓く。上層部がその競技の権威だったりするからだろう。若手が何を言っても無駄という雰囲気だ。息苦しさを感じる。そしてそのような愚痴もよく聞く。

協会・連盟(NF)の役割

協会・連盟の役割は、その競技の普及や育成、全国大会の運営、日本代表に関すること、外国のNFとの折衝や調整、全国各地にいる登録会員のマネジメント、それを支えるための補助金申請と精算業務、スポンサー営業(ここは広告代理店任せなところがほとんど)といったところだろうか。

協会・連盟の会長は政治家か民間企業の社長(または会長=老人)が多い。お飾りのポストである場合がほとんどで、会長が協会・連盟の組織のリーダーとして日々先頭に立って働くイメージはない。この辺りが残念なところである。対外的なスポークスマンとしてたまにメディアに出る方はいるが、民間企業の社長のように、社内をまとめ成果を出しそれを外部に発表するようなパワフルな人はなかなか見当たらない。できるならやればいいのにと思う。(そして、それができる人を選ぶべきだとも思う)

公益財団法人だから別にいい、という考え方もある。

ただそれらが機能不全に陥ってきているかもしれない。東京オリンピックが終わり、国からの補助金は削減されている。自分達で稼ぐ発想も乏しい。活動できるお金がないのだ。何年も前からわかっていたことではあるが、それに対して目に見える対策をとったという協会・連盟は聞いたことがない。

協会・連盟(NF)の課題

一番事業規模の大きいNFは日本サッカー協会(JFA)だろうか。年間予算は200億円程度である(2022年度予算書より)。その他のNFは一桁少ない。数億円から数十億円という具合だ。この金額で何ができるだろうか。業務量は膨大なのである。そしてその競技の未来は、きっとNFにかかっている。

世の中の流れは早い。NFには稼ぐ力がない。補助金は確実に減る。極端なことをいうとその競技しかやったことがない職員が10人いれば、それを5人に減らして残り5人を外から雇った方がよい。スポンサー営業のできる人、会員登録をオンラインでできるように整理して登録費以上のサービスやメリットを受けられるようにする人、競技者の拡大やファンの拡大に頭を働かせられるマーケティング志向のある人、メディアやSNSを駆使してその競技の魅力を最大限に発信できる人。膨大な事務作業は外注だろう。中に抱えておく必要はもはやないのではないか。

全国の会員(競技者であり登録者)が納得できるサービスを提供できていない。そのような不満をよく聞く。「うちの中央は何をやってるんですかね。もうあきらめてますよ。」自分がやっている競技のNFを褒める人がいない。これが一番の課題かもしれない。普及面では人口減によって、ほとんどの競技が競技者人口減に見舞われている。そうなると….

組織の活性化、一言でいうとこれが課題だろう。

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NFの理事や監事、評議員については、次の2.リーグでまとめます。理事・監事・評議員の性格は「財団法人・社団法人」でほぼ同じなので。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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