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光る君へのかなふみ(第21話)

華と夢かけがえのない尊さが
千年先に届けと願う 

ここまで、いろいろな気持ちに翻弄された「光る君へ」だったけど、今回のこの回で私は本当に感無量でした。

私は「枕草子」が定子さまへの鎮魂の書だという説が好きです。

「春は、曙。」
「夏は、夜。」
「秋は、夕暮れ。」
「冬は、早朝。」

花びらがはらりと舞い落ちる春のあけぼの。
蛍が飛び交う静かな夏の夜。
鮮やかな落ち葉がはらはら落ちる秋の夕暮れ。
「枕草子」の言葉たちがそれぞれの季節を呼び寄せ、優しく定子さまのもとへ舞い降りたようでした。
そんな言葉の四季に包まれるような定子さまを目の前にして、私は涙を抑えることができませんでした。

「枕草子」が公表されたのは定子さまがお亡くなりになって暫くしてからのことです。
定子さまがお亡くなりになった後も、清少納言は枕草子を書き続けていました。

それは、定子さまは完成した「枕草子」を読むことはなかった、ということです。
でも、定子さまのお心を少しでも慰めることができないかと、ドラマの中のように書き始めたものを少しづつ贈っていた、そんな可能性もあったのかもしれない、そう思うと胸がいっぱいで…

実際には定子さまには辛い出来事が次々と襲いかかり、権力争いに巻き込まれ若くしてお亡くなりになる…
だけど「枕草子」にはそういった定子さまの辛いお立場や思いは書かれてなくて、定子さまの素晴らしさ、定子さまとの煌めくような思い出が記されています。

それを読んだ詳しいことはよく知らない人々が
「定子さまって、なんて素敵な方なんだろう」
そう、憧れを持って受け取ってくれることを望んでいるように。

だから、私は清少納言はずっと、ずっと、ご自分がお亡くなりになった後も、それは現代に至るまでずっと、定子さまを「枕草子」を通してお守りしていたんだ、そう思っていました。

今回の「光る君へ」を見て、闇の中にあった定子さまを柔らかな光で包んだ、それが「枕草子」だと思いました。
「枕草子」に込めた清少納言の思い、それこそが光だと思いました。

辛い思いのどん底で、こんな思いやりの気持ちを届けてもらえて…どんなに慰められたことか。
定子さまが、うれしい気持ちになっただろうことが、とてもうれしかったです。

「たった1人の悲しき中宮のために枕草子は書き始められた」

今回のドラマの中、まさしく「枕草子」は定子さまへ贈る、定子さまのために書かれたものとして描かれていました。
私の1番好きな解釈で。

ありがとうございます!と伝えたい。
ありがとうございます!!!(全力で!)

今回は他にもいろいろ物語の展開があったけど…私の中ではこのことが1番の感想でした。

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