「割安感が魅力」中古スマホ市場が活況
世の中の様々な値段がどのように決まっているのかを解き明かす、値段の方程式。きょうのテーマは「中古スマホ市場活況 高性能化で新品離れ』です。MM総研の調査によると2023年度の中古スマートフォンの販売台数は過去最高の約270万台。で前年度比16.6%増。2024年度の市場規模は約320万台と予測。拡大基調は続き2028 年度にはおよそ440万台に拡大する見込みです。新品の2023年の国内売上台数は約2500万台。中古品の販売台数は新品のほぼ1割に達しました。
なぜ中古スマホが人気になっているのでしょうか。総務省によると2023年度の大手キャリア4社によるスマホ売上台数のうち、10万円以上の高価格帯の機種が4割を超えています。新品のスマホが高額になってしまい、中古スマホ市場に人が流れてきているようです。
「品質」で安心感、「低価格」に魅力
中古スマホの市場構造にも大きな変化があります。従来、中古市場で流通してきた商品は、主に中古ショップが一般の利用者から買い取って販売する端末でした。2020年から22年にかけて大手キャリアが初期不良などで回収した端末を「認定中古品」として品質を保証し販売し始めたことで、質に関する不安が薄れてきました。
「1円スマホ」の規制も中古市場の追い風になっています。1円スマホの時代は新品が安く買えるのであれば、中古を買う動機が弱かった。でも1円スマホが姿を消した今は中古市場に目が向き、安く、しかも問題なく使えることが注目されるようになりました。
中古市場でどういった製品が売れているのか、ゲオモバイルアキバ店を取材してきました。こちらのお店では1500台のスマートフォンを取り扱っています。氷見木綿子店長は「昨年と比べて夏に入ってから(客が)急増したという印象。中古ということで少しでも安価なものを探している人が増えている」と話します。
お店に来たお客さんも「最近のスマホってだいたい高い。あまり機能を求めてないので、安くていい。中古で買っても品質はかなりいい」と話します。
売れ筋は「iPhone12」シリーズ。5G通信に対応していて、3万円台から購入することができます。「機能と価格のバランスがよく人気です」(氷見木綿子店長)
取材してみて、やはり性能にこだわらない人が増えているようです。最近はスマホ2台持ちも珍しくなく、ゲーム用やカメラの撮影用、音楽プレイヤーとして使うという人も増えています。レトロブームもあって、「ちょっと古い携帯の方が写真の方が写りが悪いからこそ、いい風景に見えたりする」という声も聞きました。
中古の値段はどう決まる?
では中古スマホの価格はどう決まるんでしょうか。新品が高額になることで中古品も応じて高くなる。中古は新品の何割くらいという目安があります。基準となる新品の価格が上がれば、それに比例して中古品の価格も上がります。オークション情報サイトのオークファンがネットオークションから抽出したデータによると、中古スマホ全体の落札額は上昇傾向にあります。2019年の平均落札価格が約5000円で今年の8月は約1万円と倍以上になりました。
価格上昇に伴い買い替えのサイクルも長期化しています。内閣府の消費動向調査では、携帯電話の買い替えサイクルは2024年の調査で4.5年となり、この10年間で1年ほど延びました。一方で、新機種が出るたびに旧機種を下取りに出してすぐに購入するガジェットマニア的な人も多く、端末の流通量はそこまで下がっているわけではない。日本の中古品は傷なども少なく状態も良いものが多く出回っている。円安もあってほかの国と比べ元々スマホの価格が安く、さらに中古でも綺麗だということで買いに来るインバウンド客も多いようです。
きょうの方程式です。
中古スマホの販売価格=新品価格+流通量+傷の状態
Appleは新型スマートフォン「iPhone16」シリーズ4機種を20日に発売しました。日本での価格は12万4800円からで米国での価格とともに「15」から据え置きましたが、米国では需要の鈍さを指摘する声があがっています。やはり10万円を上回るとなると、一昔前のパソコンの値段です。値上げラッシュであらゆるものが高くなり、「生活防衛」の意識が強まっています。スマホ価格の相対的な割高感が強まっているのは間違いないでしょう。「割安で購入できる型落ちモデルでも十分」というムードが、スマホ市場に漂っています。