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日傘ブーム 晴雨兼用で単価アップ

世の中の様々な値段がどのように決まっているのかを解き明かす、値段の方程式です。きょうのテーマは「日傘ブーム 晴雨兼用で単価アップ」です。気象庁は22日に山口県を含む九州北部が梅雨明けしたとみられると発表しました。梅雨のない北海道を除き、梅雨明けしていないのは北陸と東北だけになりました。梅雨が明けると厳しい日差しが私たちを襲います。これから猛暑を迎える今こそ、傘が必要になってきます。そんな状況を反映して平均単価も上がっています。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

猛暑で日傘売れる

2023年夏の平均気温は平年を1.76度上回りました。1898年の統計開始以降で最も高くなり、各地で熱中症の被害が生じました。気象庁の3カ月予報によると2024年6~8月も平年より気温が高く、23年並みの猛暑となることが予想されています。熱中症対策になるとして環境省も日傘の利用を推奨。突然のゲリラ豪雨も頻発しています。梅雨が明けたからといって傘を手放せる気象ではなくなっています。

円安で輸入価格が上昇

2022年は1700円台で推移していましたが、2024年4月に2000円を超え、6月には2070円になりました。前年同月比で13.6%高くなっています。値上がりの要因はおもに2つあります。

まず1つは「円安」です。 日本で販売されている傘の大半は外国製。円安で仕入れ価格が上昇した分が販売価格に転嫁されています。
もう一つが傘の高機能化です。毎年5~6月ごろに「百傘会」という傘の大規模な催事を開いている松屋銀座の売り場を取材してきました。日傘を買いに来たという女性は「遮光率が高めのものがいいと思って 探しています。暑くて、 雨も降るので晴雨兼用 じゃないと困ります」と話しました。
松屋銀座の婦人課長、原田敬太さんによると、この時期の人気は晴雨兼用の傘。「高機能で高品質な、 雨にも晴れにも使えるものが人気です」(原田さん)
晴雨兼用の傘は内側に黒いフィルムが付けられており光を遮ることで、 体感温度が非常に涼しく感じる という機能が特徴です。日傘を使うと熱が下がる効果は相当なようで、私も日傘男子デビューしようかと思いました。松屋銀座の今年の「百傘会」は平均価格が1万5000円。以前に比べて15~20%ほど高くなりました。以前は梅雨の時期の前に傘の売り上げの ピークがきていたそうですが、最近は猛暑の日差しに備えて梅雨が明けるころに傘を買いに来る人も多いそうです。

軽量化も進む

取材時に売り場で持った傘は400グラムでした。私が持っている傘よりも、かなり軽くて驚きました。一般的な折り畳み傘は400グラム以上のものが多かったんですが、最近は晴雨兼用の折り畳み傘で100グラム以下のものも出てきています。スマホが200グラムですから、どれだけ軽いのかわかると思います。

ここで、きょうの方程式です。
「傘の単価アップ=円安+男性の日傘需要増加×傘の高機能化」

今後も単価は上がっていきそうです。女性では必需品になっている日傘が今後は男性にもじわじわ広がりそうです。新しい需要が見込まれるのに加えて、「いいもののを長く使いたい」という考え方も広がっており、単価アップを後押ししそうです。 


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