見出し画像

エレベーター、稼働台数は右肩上がり

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。今日の「値段の方程式」のテーマは「エレベーター」でした。日本に現在、およそ75万台のエレベーターがあります。毎年2万~3万台作られています。取り壊すものもあるので毎年、1万台前後増え続けています。

画像1

東京ですと渋谷に代表される大規模な再開発事業で超高層オフィスビルが次々に開業しています。エレベーター業界も活況に沸いているのでしょうか。もっとも業界の方に聞くと、「建設ラッシュは大都市だけで地方はそれほどでもない」といい、日本全体では安定成長のようです。

標準型と特注型

値段は大きく標準型と特注型の2つに分かれます。

画像2

渋谷の新しいオフィスビルのような大規模な高層ビルに入っているものは特注型です。オーダーメードなので値段はバラバラ、1台1億円以上するものがほとんどです。
一方、標準型はJIS規格で決められたサイズです。

画像3

15階建てくらいまでは、この標準型のエレベーターが設置されていることが多い。日本にあるエレベーターの8割がこの標準型です。エレベーター内の「定員」のところを見て、「1000kg以内」だったら標準型になります。それ以上大きくなると特注型で、値段も高くなります。

標準型は1000万円

標準型の値段はどれくらいでしょうか。例えば6階建ての新設マンションに納められるエレベーター(積載量600㎏、9人乗り、分速60メートル)で1千万円です。
特注に比べて、決まったサイズなので大量生産もしやすいため大幅に安い。

基本的なエレベーターの値段の方程式
容量+スピード+階床(何階建てか)+工事費用

実はこの工事費用が、ここ数年で大きな社会的課題になる可能性があります。エレベーターって機械ですよね。法定耐用年数が17年とされている。
実際にはもう少し長持ちして大体25年くらいが寿命とされます。25年たつと、交換が必要になります。
建物は25年経ってもまだまだ使えますからエレベーターのリニューアルは必須です。基本的に新築より、リニューアル時のほうが工事に手間がかかります。建物が出来上がっているわけで、利用者もいます。場合によっては、壁を壊したりする必要もあるかもしれません。その分費用は膨らみます。
元々値段の高い特注型の場合、交換費用も高額になることが予想されるため、大規模マンションなどでは大きな管理上の課題です。

超高層マンションのエレベーターが更新期入り

日本のタワーマンションの先駆けといわれるエルザタワー(埼玉県川口市)は、日本で初めて高さが150メートルを超えるマンションとして1998年にできました。今年で築22年です。エレベーターの法定耐用年数は超えており、節目の25年まであと3年です。その後建てられた、多くのタワーマンションも続々とエレベーターの更新期を迎えます。それらの先行指標となるため、エルザタワーのエレベーターの改修費用がいくらくらいになるのか、業界でも注目されています。
本格的な更新期に入ったといえるエレベーター市場。大手の日立ビルシステムの場合、直近では新規の取り付けとほぼ同じ数だけリニューアルを行っています。

保守点検にもお金がかかります。エレベーター自体のメンテナンスのほか、
故障したときの対応のためにも、24時間体制で見守るシステムを構築するためメーカー含め管理会社はコストをかけています。管理コストの削減を見据えたサービスも始まっています。

画像4

これは、日立が今年サービスを始めた、ビルリンクというアプリ。今まで、エレベーターの管理は管理会社が一括して行っていたものをマンションやビルのオーナーが見て、スマホで直接操作できるようになりました。
例えば、台風などの災害時によくある被害として、エレベーターが水につかってしまうというものがあります。対策として台風の間、エレベーターのカゴを上の階で待機させます。
これまでは、すべて管理会社がその操作を行っていました。でも災害時に問い合わせが集中してしまうと、管理会社の対応も遅くなってしまいがちです。ビルオーナーが直接操作できれば、被害を防ぐことにもなり、管理会社の対応能力にも余裕が出る。コスト削減効果で管理費用の低下も期待できます。

値下がりすすむ家庭用

ちょっと贅沢ですが、家庭用のエレベーターもありますよね。近年、ハウスメーカーが4階建て、5階建てといった住宅に力を入れている。家庭用エレベーターには追い風です。
家庭用エレベーター業界トップシェアのパナソニックで話を聞いてみました。担当者は「相続税などの対策のために、自宅の1階部分を貸し店舗にして多層階の家を建て替えるという需要がある。家を4階建て、5階建てにしてエレベーターを設置したいという人も多い」といいます。

画像5

日本に家庭用エレベーターが初めて登場したのは1989年(平成元年)。
高齢化社会に向けて規制緩和があり、それまで業務用に限られていたエレベーターが家庭内に広がりました。パナソニックの場合、平成元年当時500万円程度だった価格は一番小さいもので、270万円からと大幅に下がっています。決して安いとは言えませんが、人生100年時代と言われており、今後も需要は増えると思います。

番組の最後に日本経済新聞の鈴木亮編集委員が「エレベーターは今後、スピード競争というより安全面を追求していくのでは」とコメントしました。日本では中東や中国のような高さ1000メートルを超えるビルが建設されていません。そんなにスピードに対するニーズはなく、安全面強化が課題になるでしょうね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?