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別荘、インバウンド需要で値上がり

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。きょうのテーマは「別荘、インバウンド需要で値上がり」です。 まずは取引件数を確認しましょう。業界大手のリストインターナショナルリアルティがまとめたランキングです。別荘地として不動の人気を誇る軽井沢がある長野県が1位になっています。2位に湘南や葉山がある神奈川県、3位に千葉県が入っています。最近は平均気温が上昇傾向にあり海沿いの地域の別荘ニーズが高まったそうです。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

平均価格、北海道は3億円超え

平均取引価格を見てみましょう 。北海道では3億円を超えています。 別荘の需要が増えており、 平均価格は2〜3年前に比べ1.4倍になっています。 今後も価格は上昇していきそうですね。

富裕層+外国人の需要増える

別荘の需要が拡大している要因はなんでしょうか。コロナ禍で在宅ワークが定着しました。ただ、「自宅ではオン・オフの切り替えが難しい」として、別荘を新たな仕事場として利用するというニーズが増えました。
現在も傾向は変わっていません。先日発表された公示地価を見ても、軽井沢町の住宅地は前年比7.9%上昇、スキーリゾートの白馬村は19.5%上昇しました。 最近の傾向としては国内の富裕層に加えて、 外国人の別荘需要が増えていることが挙げられます。


軽井沢の高級物件に行ってきました

最も人気があるエリア、軽井沢の別荘を取材してきました。 軽井沢駅から車で約10分のところにあります。想像していたロッジ形式の建物とは異なり、普通の住宅のようなつくりです。モダンなデザインが高級物件のトレンドだそう。別荘の中へ入ってみると、リビングは広く、大きな窓から光が入って明るい室内。土地面積は1100平方メートル、建物面積は250平方メートルで4LDKの間取りです。 軽井沢のこのエリアだとこの規模の別荘は3億〜5億円が相場だそう。この2〜3年で40%上昇しています。

リストインターナショナルリアルティが扱う別荘物件のうち軽井沢の物件は1割以上を占め、そのうち20%がインバウンドだそうです。担当者は「東京に観光で来て少し羽を伸ばして1時間で行ける距離ということでダントツで人気です」と話します。
素敵な別荘でした。私も「良い物件があれば紹介してもらおうかな」と思っていましたが、手も足も出ませんでした…。

別荘の「又貸し」で収益も

海外の方が日本で別荘を買う理由は何でしょうか。円安で日本の不動産価格の割安感が強まっているのに加え、2つの大きな要因があります。一つが観光シーズンにホテルの値段が跳ね上がるうえに、 リゾート地では宿泊は3泊からでないと受け付けないといった条件があるホテルが多い。予約も取りづらい状況です。 自分の別荘なら好きな時に使えます。
実は外国人の別荘購入者は年に数回程度しか利用しないそうです。 「もったいない」と思う方もいるかもしれませんが、こんなカラクリがあります。民泊サイトの広がりで、自分が使わない期間は別荘を貸し出すことが簡単になりました。貸し出し料で収益を上げることができます。ホテル代高騰を受け、貸し出し料も上がっているので、 トータルで見ると「決して高い買い物ではない」というわけです。
北海道のニセコで購入価格3億円ほどのハイクラスな別荘の場合、 貸し出し料は1泊20万~40万円です。 採算をとるのには毎日稼働しても3年近くかかってしまいますが、 人気エリアは値上がりが続いているので、 最終的に別荘を売るという事まで考えればプラスになる可能性が高い。 日本の別荘は中国人にとって一種のステータスになっています。 資産分散も兼ねて、 各地に複数の別荘を持っているという人も多いそうです。

ここで、きょうの方程式です。

「別荘の値上がり=ライフスタイルの変化+インバウンド需要↑」



都会と地方の2拠点生活をしたい人からの別荘需要も高まっています。 首都圏、特に都心部に住んでいる方に、 「自身や子どもの人生の選択肢を増やすきっかけとして地方の暮らしを体験したい」という人が増えています。 といっても、いきなり遠方に移住するのはハードルが高いため、 地方での暮らしを知る体験として別荘が受け皿になってます。Sanu(サヌ)のサブスクでは月5万5000円でも利用できるものが登場しています。 30〜40代の子育て層を中心に、人気を集めているそうです。


リゾートマンションは苦戦

別荘というと頭に浮かぶのが、 リゾートマンションなど集合住宅タイプの物件です。 バブル期、新築時に1戸3000万円を超えるようなマンションもあったそうですが、現在は住宅情報誌で探すとそんな物件が20万〜30万円で売りに出されているものもあります。
値下がりの最大の理由は 「老朽化」 。リゾートマンションは1980〜90年代頃に建築されました。多くは老朽化が進んでいるのです。マンション全体の不具合修繕や 設備更新などのランニングコストが年々かさんでいきます。 さらに リゾートマンションは大浴場やプールを備えるなどが共用部分が豪華。この維持費も無視できず、格安で売りに出す動きが止まりません。


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