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20年以上前のレトロカー、新車発売時より高いワケ

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。今日のテーマは「レトロカー価格上昇 新車購入時より高くなるワケ」です。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

BSテレ東「日経モーニングプラスFT」はこちら▼

スカイラインGT-Rは発売時の2倍以上

レトロカーも中古車の一種で旧車ともいわれます。製造から数十年が経過した車を呼ぶことが多いようです。さらに古い車は「クラシックカー」「ビンテージカー」などと呼ばれますが、それぞれに明確な定義はありません。今回取り上げる車は製造から20年以上たった国産の人気モデルです。
「新車より高い」。どれぐらい高くなっているんでしょうか。旧車を専門に扱う「旧車王」というサービスを展開するカレント自動車によると、日産のスカイラインGT-R(BNR34)は発売当時の価格がおよそ500万円だったものが、現在は1200万円となっています。トヨタのスープラRZ-S、AE86も発売時の価格より高くなっています。

人気の理由について買取事業部の清水篤朗副部長は「発売当時は若くて憧れていた人が年齢を重ねて購入されるというパターンがあります。今の車と違って、見た目が角ばっていて格好いいデザインなので若い人にも人気です」と話します。

消えゆくマニュアル車に愛着も

現在はエコカーブーム。省エネや環境にやさしいといった点が車のアピールポイントになっています。1980~90代の車はパワーやカッコよさが最大の魅力でした。この当時はお金もなかった若者だった層が、憧れで買っていきます。車を運転している感覚が好きな人にはマニュアル車を愛する人もいますが、新しく発売されるマニュアル車は減る一方。これから電気自動車(EV)へのシフトが進むとさらに少なくなります。こだわりのある人が市場に残っている数少ないマニュアル車を競って買うことで値段が上がっていく構図です。

最大市場アメリカでも人気に

さらに世界最大の自動車市場、アメリカでも日本車の旧車は人気なんです。実はアメリカには「25年ルール」というものがあるんです。「安全」のためにという名目で右ハンドルの車の登録や走行を認めていません。右ハンドルの日本やイギリスの車が輸入できないわけですが、製造から25年たつと「クラシックカー」として輸入が認められ、公道を走ることもできます。

日本の旧車が注目されたのが、1989年に製造された日産のスカイラインGT-Rに25年ルールが適応されるようになった2014年頃といわれています。世界のカーレースの活躍やゲームの「グランツーリスモ」、アクション映画「ワイルドスピード」の影響が大きいといわれています。
日本の車は以前からアメリカでも人気でした。最初は「値段も安く、燃費がいいい」「故障が少ない」といった理由でした。1980年代に入ってからアメリカの人が「カッコいい」「イケてる」と思う日本のスポーツカーが続々と登場、「25年ルール」の縛りがなくなった今、アメリカで販売好調になっています。
ここで値段の方程式です。

旧車・レトロカーの値上がりは、昔の車や今の車と違うスタイルへの憧れ、に加えて、マニュアル車の減少で、運転を楽しみたい人が手に入れたいと
競って買っていることと、25年ルールが終わってアメリカからの購入が増えているということだったんですね。

現在は投機目的の人が希少性のある車を買っていてさらに値上がりしているということもあるようです。

こちらのグラフのスカイラインGT-R(BNR34)は1999年に登場しました。25年ルールが2024年以降に適用されます。アメリカからの買いが入るのを見込んだ投機的な購入もあり、盗難事件も増えています。
現在、旧車市場に吹いている追い風。いつまで続くのでしょうか。カレント自動車の清水さんは「コロナも回復基調にありますし、それからアメリカの中古車販売大手のカーバナの株価もすごく落ちています。コロナによるここの2~3年の高騰は収束して、これから下がっていく傾向かなと考えています」と話しています。



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