癌サバイバーのこと。


私の職場には癌サバイバーがいる。
私が1年休職している間に診断され、
摘出手術も行っていたらしい。

私が復職した時には、
同じようにまた働いていた。
病気で入院したことは聞いていたが、
その頃はまだ病名までは聞いていなかった。

彼女は元々体格が良く、
毎月繁忙後の金曜日には
お菓子を配ってくれていた。
でもすごく痩せた気がする。
お菓子を配りに来ることもなく、
よく1人で旅行する方だったのに
それもなくなったようでおみやげもなかった。

けれど担当は少しだけ違うので、
毎日見てはいるし打ち合わせも一緒にするけど
そんなに気にしなくて、咳をたくさんしているけれど元々喘息があると聞いていた。
いつもマスクをしているし、ご飯を食べたらたまにお昼寝しているような人。

2024年に入って、
彼女の声は小さく、かすれ気味になっていた。
変なところで言葉を切ったりすることがあった。
今思えば、だけど。

MTG中に彼女に近しい社員が、
あの人本当に体調悪いと思う。入院するんじゃないかな。と言った。

その後よく観察すると、
質問しに行っても答えはそっけなく、
時々席でうつむいて30分くらいフリーズしていることがある。
声が出ないから…と話すことを避けていた。
どう見ても辛そうに見えてきた。
うっすら察するのは、
入院しても完治してないんだ…。ということ。

あの人の病名知ってる?と同僚に聞いたところ、
「女性系の癌だよ」
と言われ、人間ドックが好きですぐに予約日をお知らせしてくれる人だったことも思い出した。

4月に私とその同僚は、彼女と同じ担当になった。
彼女以外の同じ担当の社員は異動したので、どうしても彼女に質問せざるを得ない。
が、彼女はつらそうに俯いている。
話す時は辛そうにマスクをずらす。
びっくりするくらいやつれていた。

彼女は私たちに仕事を教えるまもなく
再入院した。5月には戻ると言っていた。
病院に行くので休みます、と電話を受けた時は、正直泣きそうになった。

ふと職場の飲みの場で、
そういえば…と彼女の話をした。
5月に戻ってきますか?って。
そしたら、少し延びそうって今日連絡来たんだ、と。
その時に、もう腹水を2回抜いているとも聞いた。

癌患者の腹水ともなれば、
もう状態は大体わかる。
咳をしてたのは、肺に転移してたのかもしれない。
彼女は抗がん剤治療もしたはずで、再入院だ。

あまりつながってほしくない点と線が綺麗に繋がっていた。
上司にも、心配です。病名を聞きました。
と伝えたら静かに同意して遠くを見て黙った。
上司の補佐は、
分かってるけどみんな口にしないようにしてる。
と言った。

確かに個人情報だし、
不安を煽るので言いふらす必要はないと思うが、
もっと早く言ってくれれば引き継ぎできたのに
とか、いつ辞めてもおかしくない、くらい言ってくれれば察するのに。
辞めるって別に、自宅療養するのかなくらいで済むしさ。
もっと心配したかったしもっと気遣いたかった。
変に甘やかす意味でなく。

でも彼女は多分ギリギリまで出勤していた。
治療費のためだろうか?家族のためだろうか。
彼女のことばかり考えている。

そして同時に、
父の癌闘病も思い出すのだ。
ほとんど毎晩のように泣いている。

苦手なのだ、3.11の津波の映像とか
京王線の中で走る人たちの映像、
人がパニックになったり苦しむ姿。

父の苦しんでいた最後の姿が
昨日のことのよう思い出される。

彼女は診断の後、何を考えていたのだろう。
彼女は今、苦しんでいないだろうか。
ご家族も本人もきっと苦しいよね、
最愛の、2人で暮らしている娘さんが亡くなったら。
どんな気持ちで会社に来ていたのだろう。
まだ早い。人生100年なんて嘘じゃんか。

そんなことをたくさん考えている。
マクドナルドとかケンタッキーとかジュースは
控えなきゃなあ…
今の食生活が、10年後の自分の姿に反映されるんだよなぁ。

どうか彼女が、
望む未来を願っている。
私は今を大切にする。
今できることは絶対にする。
明日死んでも生きててよかったって思えるように
生きていきたいな。

あと癌怖いから医学頑張ってほしい😭

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