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厳密には異なるイタリック体と斜体

カタカナ語ではなく漢字やひらがなで

いくつかの日本語訳を書いてきた中で、筆者が気を付けていることがあります。
できる限りカタカナ語は使わないということです。
例えば

  • Working Group → 作業部会

  • Rule → 決まり

  • Lay out → 配置

などです。ワーキンググループ、ルール、レイアウトとしても通じるのですが、それをするとカタカナ語だらけになってしまうので、漢字やひらがなで表現できる他の言葉がある場合は、その言葉を使用するようにしています。もちろん、アルゴリズムのように明らかにカタカナ語の方が一般的な言葉はそれを利用しています。

Boldは太字、Italicは斜体

フォントの用語だと、そのままCSSなどで使う言葉もあって悩ましいですが、
例えば

  • Bold → 太字

  • Italic → 斜体

といった具合に、カタカナ語を使わないようにしています。ボールド体、イタリック体とはしていません。
特に斜体は、筆者が訳しているMathMLの仕様書の中で、「アルファベット1文字の変数は斜体、アルファベット複数文字の関数名などは通常の字体」という決まりがあるので、よく使用する言葉でもあります。

イタリック体と斜体は厳密には異なる

ただ、イタリック体斜体は厳密には異なります。
『デザインを学ぶ3 文字とタイポグラフィ(エムディエヌコーポレーション発行)』には次のような注釈があります。

欧文のイタリック体(italic)は、立体(roman)をただ傾けたものではなく、はじめから傾斜書体として設計されたものである。欧文で立体を傾けて設計された傾斜文字のことはオブリーク体(oblique)といい、イタリック体とは区別されている。和文文字の「斜体」(slant)は、欧文のように傾斜書体として設計されたものはほとんどなく、多くは立体を傾けたものであり、欧文のイタリック体の概念とは違うものである。

デザインを学ぶ3 文字とタイポグラフィ
(エムディエヌコーポレーション発行)

欧文と和文では書体の作り方が違うので、厳密には、欧文のイタリック体と和文の斜体は違うもののようです。確かに欧文だと、通常の字体からイタリック体に変わったときに、セリフ(文字の線の端のひげのようなもの)の形が変わっていたりします。
ただ、和文書体にイタリック体に相当するものはほとんど無いので、日本語訳の文章の中で、イタリック体と呼ぶべきか、斜体と呼ぶべきかは悩ましいところです。

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