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 ちゅーさんと大泉は、植物工場の中を見てまわることにして、真っ白な宇宙服のようなクリーンスーツをつけて、完全に外と隔離された大きなドーム状のバイオ工場をゆっくりと歩いて過ごしていた。大泉の頭の中では、ちゅーさんの魅力的な曲線ときめの細かい肌の感触と『天地創造』という言葉とが行ったり来たりしていた。どうしてもちゅーさんを忘れることができないので大泉はドームに設置されている休VIP用休憩所を見つけて、そこにちゅーさんの手を取って、入っていった。


「そんなに我慢できないんですか。世界の終わりと戦っているのに」とクスッと笑みを漏らすちゅーさんを見て、大泉は、急いでまずちゅーさんのクリーンスーツを脱がし、自分も脱ぎ捨て、テーブルの上にちゅーさんを抱き上げ、いや、押し倒し、そしてすべての感覚を楽しみながら、二人は10分ほどで絶頂に達した。大泉にとっても、ちゅーさんにとっても10分で十分だった。お互いのツボは知りつくしており、息のあった波乗りで二人は満足できた。


「うん、やっとすっきりした。天地創造だな。こりゃ」と笑いながらクリーンスーツを付け、ちゅーさんを手伝い、30分ほどで、元の状況に戻った。

「さて、もう一つの天地創造をさぐるとしますか?」とちゅーさんを再び手で導き、スーツの上からちゅーさんのヒップをなでて楽しみながら、大泉は休憩所を後にした。





 植物工場は外界と完全に隔離されたドームの中で、いろいろな作物を作っている。それは、農業というよりも先端テクノロジーを駆使した楽園のような雰囲気を醸し出していた。しかしながら、今回大泉とちゅーさんは、『天地創造』『X』というキーワードの意味を解明するためにドームにをくまなく観察する必要があり、もうすでに3時間がたっていたが、なんらヒントは見つからなかった。

 一旦、ドクターチャンのオフィースに引き上げ、CIAに送ったデータの解析結果を聴くことにした。部屋にもどると着たときと雰囲気が少し違っていた。だれかが部屋を調べた形跡がある。デスクの上のPCも無くなっていた。それが雰囲気が変わったことの最大の理由だった。



デスクを前にして、大泉は一つのマークが上面に刻まれているのを見つけた。


『X NOT Tough』


刻まれた文字を眺めながら、大泉はちゅーさんの異変にも気がたついていた。後ろを振り向くとちゅーさんはワルサーPPKをこちらに向けている。

両手をそっと上げる大泉。ちゅーさんの顔はこわばっている。大泉は話始めた。時間稼ぎになるかが心配だったが


「なぜ」と大泉。

「わかるでしょ」とちゅーさん。

「いや、分からない。説明を」と大泉は話ながら、デスクから少し身体を離して、いつでもデスクに隠れるように態勢を整えた。

「これは、大アジア国建設のためなの。欧米に今まで思うように世界を牛耳られてきた。だから、今度はアジアが牛耳る。でも日本はいつまでも米国より」と少し揺らぎながらちゅーさんは話した。先を促す大泉。この調子だと引き金はすぐにはひかないだろう。

「日本侵略を考えたけど、無駄。日本をつぶす方が早いと考えて、中国、韓国、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、それに、南アフリカなどが賛同した。近隣諸国の富裕層が一致したの。考えを。それで、8年前から準備を進めていた。私はフリーだけど、CIAに入りこみ、情報を操作したの。そして、おたくの会社も社長をだまして操ったの。ごめんね大泉さん。」と言うとちゅーさんは引き金を引いた。

 銃弾は、大泉の胸にあたった。はじき飛ばされる大泉。デスクの陰に隠れてたおれた。死んだかを確認するためにそっとデスクを回ってきたちゅーさんはそこにだれもいないことに驚き、慌ててドアの方を向く。すると、大泉の右手のペンから放たれた針が目に刺さり、激痛にあがきながら倒れて、数十秒後に息が絶えた。大泉は何もせず、そこをそっとたちさった。ちゅーさんの携帯と鞄だけをもって。





 植物工場からメルセデスで上海空港に向かう大泉。CIAの解析センターから新たな情報が届いたことを知らせるビープ音がなった。音声コントロールで携帯を操作し、画面に情報を表示させる。そして、前の情報と続けてメッセージを読み上げるように指示した。



『天地創造は、新たな秩序を作るために、スクラップアンドビルド、すなわち、今の世界を怖し、そして、新たな支配を作るための暗号。Xはおそらくそのリーダーをさす。今までの解析では、中国の国家主席が想定される。シンガポールのリー・クワンユー首相死後、東アジアの秩序が乱れ始めている。尖閣諸島への中国軍の上陸、台湾への中国によるミサイル攻撃などが発生し、中国によるアジア支配の可能性が高い。ベトナムへの中国からの兵器流入、モンゴル経由での闇経済や核兵器情報の流出を示す情報も多数見られる。危険度最高レベル。以上』



 大泉は、上海空港に向かいながら、次のアクションについて思案していた。上海空港のDEPARTUREフロアーのカウンターでチェックインを済ませ、ボーイング777に乗り込む。窓側のシートに座ると隣にタイトなピンクのワンピースを身につけたチャーミングな女性が座り、一瞬微笑みかけてきたので、大泉はニコッと返し、窓に目をやった。





 上海から東京にはもどらず、神戸に向かった。神戸の研究所に入り自分のオフィスでCIAから送られてきたデータをつぶさにみることにしたのだった。そこでだったらおそらくだれも大泉を襲わないだろうとかんがえたのだった。


 オフィスのデスクに着くと、大泉は大急ぎで携帯メッセージを妻に送り、今無事で、仕事が忙しく、家に帰れないとだけ伝えた。そして、ノートPCでデータの解析に取り掛かった。

 データ解析には、恐ろしく複雑なストーリーを考える必要があることがわかってきたので、かれこれ2時間奮闘していたが、納得のいく結論には至ることができなかった。そこに、例のCIAの男からショートメールが入った。


「すぐにそこを出て、シンガポールに向へ。シンガポールでエージェントが接触し、次の行動計画を連絡する」


 ノートPCとキャリーを持って、関西空港に向けてハイヤーを飛ばしながら、大泉はひょっとするともう戻れないのかもしれないと感じていた。なぜ、こんなことに巻き込まれたのかよくわからないでいる。しかし、仙台と北九州での出来事が大泉を突き動かしていた。ブルーダイヤモンドの行方。新しい放射性物質を使った爆弾。そして、東アジアの危機。これは大泉の手に負えるものではないが、シンガポールに向かうしかなかった。そろそろ応援が必要だ、それもそうとうのプロの。と大泉は心底思い。CIAの男にメイルを打った。



 すぐに返信があり、『シンガポールのエージェントに託した。相談しろ。』だった。





 シンガポール空港で、サムというエージェントと落ち合い、彼のBMWで空港に隣接されている倉庫地区に向かった。そこに着くまでに大筋、今までの出来事をブルーダイヤモンドが大量破壊兵器として使われていることをつきとめたので、その阻止が今回のミッションだとうことをお互いに確認した。

港湾地区の青色に塗られた倉庫に入っていくとその中に2人の黒服がいた。一人は女性、一人は黒人。3つの大型ディスプレーに映されているはどこかわからないが、明らかに北九州でみたブルーダイヤモンドを使った同じ装置だった。

なぜ、ここCIAのベースにあるのか不思議だと、大泉は感じたが何も言わないでいた。



「サム。あの装置は北九州で見た、放射性兵器だ、ほら、植物に放射性物質を植えるけるのと、もう一つは仕組みはわからないが、放射性爆弾だ。どこにあるんだ。」と大泉はディスプレーを見ながら問いただした。

「あれは、シンガポール政府の生産科学研究センターのドクター・チャンが指揮していた先端動植物変換研究Grの地下研究室だ。わかるだろ」とサムはそっけなく返した。





 ドクター・チャンは、シンガポールで植物を放射性兵器に作り変える研究をしていた。チャンが指揮して上海工場を作ったのは事実で、結局、はじめっから仕組まれていたのだと理解した大泉は、少し自分が情けなかった。その時に気がついていれば、ここまで追い詰められなかったはずだと、後悔の念が強く心にもたげていた。

中央のディスプレーには、ブルーの光を放つチャンバーとその光を誘導するパイプが四方に出ていることが分かった。そして、周りの作業員の服装から、放射性が漏れ出していることは想定していないのは明らかだ。北九州の工場に侵入した時、若干ガイガーカウンターが触れたので長時間は人体に影響があるはず。



「で、どうするんだ。ブルーダイヤモンドと放射性物質、ん、兵器の行方を探すのが仕事のはずでひょっとしたら、誰かがあそこに侵入しないといけないと思いますけど」と、サムの方に目配せしながら大泉は、淡々として、言い渡した。が、内心は、もうそろそろ嫌だなと思っている。

「それでは、作戦を説明しましょう。大泉さん。もちろん、あなたが来る前から侵入作戦を検討してきました。まず、生産技術研究センターに大泉さんは正面から挑んでください。受付に行ってドクター・チャンと面会したいと伝えてください。20秒ぐらいするとガードマンが来て、あなたを確保することでしょう。

 そして、その間に私は、空気孔から侵入し、地下の研究室に忍び込みます。そして、ここからですよ。大泉さんは、囚われているところは恐らく地下研究室と同じフロアーのどこかです。そこにじっとしていてください。私が迎えに行きます。そして二人で研究室を調査しましょう。この考えでどうですか。」と大泉に目を向けるサム。


 「そうですか?でももし私が地下でないところに連れて行かれたらどうしますか」と大泉。


「もちろん、どうしようもありません。(とニタニタしながらさらっと言うサム)でも大丈夫ですよ、必ず地下に連れて行かれますから。大丈夫です」とサムは大泉にニヤとしながら答え、そして、武器が並べられているテーブルに移動した。突撃銃US XM29とM45、それに手榴弾を携行した。大泉もそれに習いM45とワルサーPPKを選んだ。射撃訓練はもう既に済んでいた。





シンガポール市内の生産技術研究センターの受付に向かう大泉は少しハラハラした。

玄関の自動ドアが開き、正面の受付嬢が、まったくニコリともしないで大泉を待ち構えているようだった。


 「や、神戸の大泉です。ドクター・チャンに会いたいのですが、ご在籍ですか」と周りを警戒しながら、受付の中国系のお嬢さんに声をかける大泉。心臓がばくばくしていた。

「はい、お待ちしておりました。大泉様。ドクター・チャンの指示で、VIPルームへご案内するようにとのことでした。」と受付嬢は大泉の背後に目配せした。もちろん、期待どおり黒服2名がいつの間にか立っていた。どうぞと、エレベーターへ大泉を促した。


エレベーターは予想に反して、下に向かわず、上の方に向かった。結局、最上階のドクター・チャンのオフィースにつれられてきた大泉は予定と違うので、今度は、冷や汗が滲み出してきた。ただ、そこにはチャンは見当たらず、窓辺に椅子が据え付けられていた。窓に向かって座る大泉。そこの後ろに立つ黒服。大泉は観念した。

 そこに、やっとチャンが入ってくる


「大泉さん。突然の来訪。予測してましたよ。なんでしょうか?」と立ち上がろうとする大泉の肩をぎゅっと思った以上ん力で抑えるけるチャン。

「いや、それが、一つ聞きたいことが急にできたので来たんですよ。手を離してくれますか」とゆっくりと喋る大泉。わかったと言うそぶりで手を離すチャン。

「で、どのようなことをお聞きになりたいのですか?ついさっき、あなたについてあまり良くない情報を入手しました。」と大泉の横に立ちながら、薄ら笑いをしているのを窓に映しながら問いかけるチャン。

「何のことです。」と大泉はとぼけるが、黒服の一人が大泉に近づき、いきなり首に注射器を刺して透明の液体を注入した。

ものの10秒後ぐらいに、大泉は頭がクラクラし、めまいがして、意識を失っていた。



 大泉が意識を取り戻した時、想定どおり地下の隔離室に捉えられていた。サムが迎えに来るまで争うことが無駄なことだと言い聞かせ、じっとすることにした。部屋の片隅にあるソファーにゆったりと座り、時間が経つのを待つ大泉。はたしてサムは予定どおりこれるのか、心配しても仕方がないことをよく知っていた。





 大泉は、生産技術研究センターの地下3階の一室に大泉は横たわっていた。


 サムの言う通りだった。しかし、ストーリーの違いは、捕まえるとき睡眠剤を打たれたことだった。

気がついた今でも頭がもうろうとして、ふらふらする大泉だった。



 何とか起き上がり、ドアのところまで行った大泉は、ドアに耳をつけて、外の様子を伺ったが、防音効果が高く、何も伝わってこない。伝わるのはドアの冷たさだけだった。靴の裏に仕込んでおいた、幾つかのパーツを組み合わせて、ペンのようなピストルを作った。これは、先端から、鋭い針が20発発射することができる。針には毒仕込まれ、かするだけで、5秒で相手を死に至らしめることができる。


 気がついてから10分程度経過している時に、ドアがゆっくりとカチと音を立てて開いた。そこにサムがニヤつきながらたたずみ、大泉を手間に記した。ソファーからサムに近づき、M45とワルサーPPKを受け取った。正直、大泉は銃よりペン型毒やが好きだった。九州でも、上海でもこれで命拾いしていた。


 廊下をゆっくりと進む二人。ブルーインパクトが設置されている部屋の前まで来ると、サムがドアが開いている確認するが当然施錠されている。小型の爆薬を取り出しノブにかぶせるように設定するサム。少し離れて、待つと、キュンという音がして、ノブを壊した。対して音がでないのが不思議だったが、大泉はサムに聞くのは控えた。

 そっとドアを開け、中をうかがうが、作業者2名とブルーの光を放つチャンバーが 3台設置され、周囲に光を誘導するファイバーが出ている。その先には、また違う小型のチャンバーが設置され、小型チャンバーは総数32✖️3=96個設置されていた。

 おそらく、放射性兵器だということは中を見なくても容易に想像できた。


 そっと中に入り、サイレンサー付きのM45で作業員2名を狙うサムに、大泉は、眠らせるだけでいいのではとそっと耳打ちした。うなずくサム。そこで大泉は例のペンシルのノブを一捻りして毒を柔らげ催眠モードにしてから、二人の作業者に矢を放った。首に手をやりながら崩れ落ちる作業員2名。サムは大泉に頷き、グッドジョブとつたえた。

 大急ぎで、ブルーインパクトよ小型チャンバーの爆破の準備を進めるサムと大泉だったが、サムは、ブルーインパクト1基と小型チャンバー3基は破壊しないと言い出した。そこに、後3名の男が現れた。びっくりして、3人のしんにゅうしゃにワルサーを向ける大泉。それを制するサム。サムは3人の新人に、ブルーインパクトとチャンバーを指して、搬出を促した。


 搬出後、1階ロビーに出た サムと大泉、エレベータのドアが開いたと同時に地下三階の設備を爆破するサム。その衝撃に驚き、サムと大泉には見向きもせず、1階ロビーの警備は全て階段で地下に向かった。

 ゆっくりドアを抜けて、二人は外に出て、BMWで走り去った。





 放射性物質による大量破壊兵器の研究室を破壊した、サムと大泉は、BMWでシンガポール空港の横の倉庫に設置された司令基地に帰還した。そこには、研究室から奪い去ったブルーインパクト1基と小型チャンバー3基が置かれていた。放射線シールドで覆われた中におかれたブルーの光を放つ物体を大泉はキミ悪く見つめていた。


「大泉さん、ご苦労さん。そろそろ次のステップに進まないといけない。ブルーインパクトの弱点を見つけて無効化する手段を手に入れること。そして、ドクター・チャンを捕まえて、大アジア国建設を阻止することなんだが、何かアイデアあるか」とサムは、M45を解体して手入れしながら、大泉を見ずに問いかけた。疲れたが、まだ終わってないことは理解していた大泉は、まず、ドクター・チャンの研究室に張り巡らされているコンピュータネットワークへのハッキングを提案した。そこに必ずヒントがあるはず。


 それから、日本での大災害は免れたものの放射性食料により被爆した人の治療法を探し出すことも必要だと大泉は考えていた。

まずは、チームのシステムエンジニアにお願いして、生産技術研究センターのコンピュータに入り込み、ドクター・チャンのサーバーを探し出してもらうことにした。


 センターのコンピュータへの侵入は簡単に進み、巨大なサーバーの全容が分かり始めるのに1時間程度で済んだ。ドクター・チャンの情報はかなりの量におよんだ。情報探査用プログラムを起動し、必要なキーワードを設定、自動検索をかけてみると次々に新しい情報が手に入り始めていた。


 このコンピュータは最新の量子工学とバイオケミカルの融合されたシステムで、人間の脳を模擬した作りになっていることがすぐにわかった。そうだとすると、情報の蓄積がイメージや構造で行われていることも想像できた。しかも、情報処理速度は計り知れず、人間の脳の構造と思考と同列であることが想定できた。


 治療法のための情報を探し出すことが目的でコンピュータ内の探索を始めたのだったが、ドクター・チャンが今どこにいるの情報が突然見出すことができた。南沙の人工島に設置された新しい基地にいることがわかってきた。



 情報を解析した結果、南沙の人工島が、謎の組織の基地になっている。中国政府が人工島を造ったのは大アジア国建設の際、ここを攻撃基地にして、アジア全域を抑えるためだった。南沙からだと、中距離戦闘機で日本、韓国、インドネシア、タイ、インドまでカバーできる。


 そして、さらに調べるとモンゴルの鉱山から産出されるブルーダイヤモンドは、ここの生産技術研究センターの研究室でドクター・チャンが、コントロールしていたことがわかってきた。シンガポールを開発拠点とし、攻撃基地として南沙を使う。さらに資金収集として、上海、ドバイ、ロンドンをそれぞれ拠点として大規模な資金集めが進められていることも見えてきた。そして、その活動に、アジアの3富豪が強く関与していることもおぼろげながらわかりつつあった。上海の黒幕・イーサン、シンガポールの投機家ソニア、日本の権三。このメンツがシンジケートの投資家として高い地位を持っているようだった。権三はについてサーチしたが、インターネットでは皆目分からず、おそらくヤクザ系ではないかと思われる。表社会の人間ではないと感じる大泉だった。


 お金の流れは大泉には不慣れなので、サムからCIAに追跡を依頼し、一旦、脳裏から忘れることにした。サムと大泉は、本来の任務である、ブルーインパクトの確保破壊とドクター・チャンの確保、さらにシンジケートを破壊するための情報収集に力を割くことにした。


 大泉は、物の流れをもう少し整理したかった。モンゴルの鉱山からブルーダイヤモンドが採掘され、上海、シンガポール、北九州、東北、南沙、にそれぞれ運ばれている。全て目的が違うはずで、どのような動きになっているのか、全体像を掴みたかった。


 東北では、結局、ビジネスジェットでブルーダイヤモンドはどこかに運び出されている。おそらく、航続距離から中国の方だとは思うが、その確証は結局得られてない。シンガポールのコンピュータを完全に抑えるためには、生産技術研究センターを確保する必要があった。まだ、あそこのコンピュータは動いている。研究室は破壊したが、コンピュータ管理室は被害に遭っていない。シンガポール政府は許可しないだろうから、ハッキングによる完全乗っ取りを行うしかなかった。

 サムと大泉は、CIAのハッキングセクション(本来ならあってはならないが、この世界では常識だ)と機密衛星回線で接続し、協力して完全ハッキングを行うことにした。






 10数分後、ハッキングセクションから、コンピュータを完全に乗っ取ったと連絡が入り、シンガポールの空港脇の倉庫の臨時基地の巨大スクリーンにおびただしいデータが流れ込み始めていた。


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